COPDとは?
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、主にたばこ煙などの有害物質を長期間吸入することで生じる炎症性肺疾患です。
気管支喘息と異なり、基本的に不可逆性の気流閉塞を呈します。
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病態の軸
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気道病変優位:慢性気管支炎タイプ
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肺胞病変優位:肺気腫タイプ(肺胞壁破壊)
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主な危険因子
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外因性:喫煙(最重要)、大気汚染、受動喫煙、粉塵・職業曝露、感染反復 など
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内因性:α₁-アンチトリプシン欠損症、加齢、素因(遺伝・気道過敏性) 等
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参考:日本の死亡統計では2011年に**第9位(16,639人)**と報告。喫煙要因を除くと男女差は小さいとされます(数値は当時のもの)。
主な症状とメカニズム
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労作時呼吸困難(呼気時の気流制限)
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慢性の咳・喀痰
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運動耐容能低下(呼吸筋疲労、動的過膨張、心循環負荷)
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進行例:体重減少、食欲低下、貧血などの全身症状
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二次的な廃用(筋力低下・ADL低下)、不安・抑うつの併発
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検査・診断
1) 肺機能検査(スパイロメトリー)
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気流閉塞の判定:1秒率(FEV1/FVC)<70%(一般に気管支拡張薬投与後値を用いる)
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正常:最初の1秒で80%以上を呼出可能
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COPD:1秒率低下、フローボリューム曲線は呼気側がくちばし状に
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2) 重症度(GOLD相当;%FEV1 予測値)
| Grade | 重症度 | 基準 |
|---|---|---|
| Ⅰ期 | 軽度 | %FEV1 ≥ 80% |
| Ⅱ期 | 中等度 | 50% ≤ %FEV1 < 80% |
| Ⅲ期 | 重度 | 30% ≤ %FEV1 < 50% |
| Ⅳ期 | 最重度 | %FEV1 < 30% |
3) 症状スケール
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MRC息切れスケール
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0:息切れなし
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1:強い労作で息切れ
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2:早歩き/緩い坂で息切れ
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3:同年齢より遅い or 途中休息が必要
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4:100ヤード(約91m)で休息
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5:外出困難/着替えで息切れ
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(修正)Borgスケール:運動中の主観的負担度
4) 画像・理学所見
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X線:肺野透過性亢進、横隔膜平坦化、滴状心
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CT:肺気腫部位(低吸収域)、気道壁肥厚
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視診・触診:胸式呼吸、Hoover徴候(吸気で下部胸郭が内引)、呼気延長、樽状胸郭、頸動脈怒張
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チアノーゼ/ばち状指の確認
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打診:鼓音(過膨張)・横隔膜低位
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聴診:呼吸音低下、痰貯留時の副雑音(水泡音・鼾音
薬物療法(吸入中心)
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気管支拡張薬が基本:LAMA(長時間作動性抗コリン薬)、LABA(長時間作動性β₂刺激薬)、配合剤(LAMA/LABA)
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症例によりICS(吸入ステロイド;増悪が多い場合など)を追加
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併用:去痰薬、鎮咳薬、感染対策(必要時抗菌薬)
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吸入手技の確認が極めて重要(高齢者は介助を考慮)
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低酸素血症が持続する場合は酸素療法を検討(処方は主治医の判断)
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呼吸リハビリテーション(運動療法はエビデンス強)
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日本呼吸器学会の推奨でも運動療法はエビデンスグレードA(運動能力↑、呼吸困難↓、QOL↑、入院減少、不安・抑うつ↓ 等)
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軽症:高めの強度から開始しやすい
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重症:コンディショニング・ADL練習優先+低負荷で漸増
実施メニュー(代表例)
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リラクゼーション:斜角筋・胸鎖乳突筋・大胸筋・僧帽筋の過緊張を低減(楽な体位→筋腱移行部への軽圧・伸張→穏やかな深呼吸)
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口すぼめ呼吸:呼気抵抗で気道虚脱を防止、SpO₂↑/呼吸困難↓(吸:呼=1:5を目安に呼気延長)
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胸郭ストレッチ:棒体操・肩甲帯可動で胸郭拡張→換気効率↑
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全身持久力:エアロバイク/TM/階段昇降を**Borg「ややつらい」**目安で
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筋力トレ:下肢・体幹中心に低~中強度×継続(離脱予防の工夫が鍵)
**急性増悪入院直後の“超早期リハ”**は、再入院や機能改善に必ずしも結び付かず、12か月死亡率の高さが示唆された報告もあります。増悪期は安易に高負荷をかけず、病状の落ち着きと医師の指示を待って段階的に再開しましょう。
補助具・在宅工夫
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電動車いす/シルバーカー:移動時の酸素消費を節約
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在宅酸素:生活動作に応じた流量設定(医師指示)
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エネルギー節約動作:休息を挟む、呼気を合わせて動く、物の配置見直し
栄養(食事のポイント)
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COPDでは努力性呼吸により消費エネルギー↑、一方で**食欲↓**しやすい
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目安:通常の1.2~1.5倍のエネルギー
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少量高頻度(例:1日5回)、ガス産生食品(炭酸・芋類など)を控える工夫
まとめ
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COPDは不可逆性の気流閉塞が主軸。喫煙対策が最重要。
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診断は1秒率<70%、重症度は**%FEV1**で。
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吸入療法+呼吸リハ(強い推奨)+栄養・生活指導が三本柱。
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増悪期の無理な早期高負荷は避け、段階的に再開。
よくある質問(Q&A)
Q1. COPDと喘息の違いは?
A. 喘息は可逆性が特徴(気道過敏)で若年発症も多い。COPDは不可逆性が主体で、喫煙歴の長い中高年に多いです。
Q2. 運動しても大丈夫?
A. 安定期はむしろ推奨。Borgで「ややつらい」程度から始め、SpO₂は90%未満にしないようモニターします。
Q3. 口すぼめ呼吸のコツは?
A. 鼻から吸って口をすぼめて細く長く吐く(1:5目安)。歩行や階段時の呼気に合わせて動作すると楽です。
Q4. 在宅酸素はいつ必要?
A. 目安として安静時低酸素が持続する場合に検討されます(最終判断は主治医)。日内・動作で適正流量が変わることも。
Q5. 禁煙のベストな方法は?
A. 禁煙外来(ニコチン代替/内服薬+カウンセリング)が成功率高め。家族の協力と受動喫煙回避も重要です。
Q6. 体重が落ちます。どうしたら?
A. 少量高頻度・高エネルギー・高たんぱくを意識。息切れが強い日は調理の省力化と食後の休息を。
Q7. 何をしたら増悪を防げますか?
A. 禁煙・ワクチン(インフル/肺炎球菌)・手指衛生・マスク、早めの受診、吸入アドヒアランスの徹底が有効です。
Q8. パルスオキシメーターは何%で注意?
A. 一般目安としてSpO₂ 90%未満は注意。継続的に低い・息苦しい・チアノーゼがあれば速やかに医療機関へ。






