要約(忙しい人向け)
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仙腸関節(SIJ)の可動性は数度以下・数mm以下の微小運動で、「ズレ(大きな亜脱臼)」という表現は科学的には不適切。Lippincott Journals+2PubMed+2
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SIJ関連痛は関節内由来だけでなく、**後方靱帯群(Long Dorsal SI Ligament など)**の過負荷でも生じ得る。RePub+1
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診断は**単発テストではなく“痛み誘発テストのクラスター”**で確率を高める(Laslett)。Physiotutors+1
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介入は①教育(過度な“ズレ”物語の修正)②荷重管理③力学的安定性(force closure)の再学習④必要に応じ骨盤ベルトや徒手+運動の組合せ。PubMed+2PMC+2
1. 仙腸関節の“事実”を整理
どれくらい動く?
ロエントゲン・ステレオフォトグラメトリ(RSA)研究では、回旋≒0.8–3.9°、並進≒0.1–1.6mm程度の微小運動にとどまると報告。大きな“ズレ”を前提にした説明は支持されません。Lippincott Journals
痛みの発生源は?
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関節内:滑膜性部分の炎症・剪断。
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後方靱帯群:Long Dorsal SI Ligament(PSIS尾側内側)などの過負荷・圧痛。妊娠関連骨盤帯痛(PGP)で高頻度。RePub+1
2. 症状のパターン(“どこが痛む?”の目安)
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Fortin’s area:PSISの1cm内側下方へ指差す“フォルタン・フィンガーテスト”はSIJ関連痛の示唆所見。確定ではないが有用。PubMed+1
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下臀部~大腿後外側に放散することもあるが、**神経症状の優位(しびれ・感覚低下・筋力低下)**が強い場合は腰椎由来の鑑別を優先。
3. 評価:単発ではなく“クラスター”で確率を上げる
Laslettの痛み誘発テスト(代表5つ)
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Distraction 2) Thigh Thrust 3) Compression 4) FABER 5) Gaenslen
3/5陽性など複数陽性の組合せで鑑別精度が向上。単発では当てになりにくい。Physiotutors+1
補助所見
メモ:画像検査は構造疾患の除外が中心。診断的ブロックがゴールドスタンダードだが侵襲的で、通常は臨床所見の重ね合わせで運用する。spine.org
4. 実用モデル:“ズレ直し”ではなく“荷重の通し方”の再学習
4-1 教育(ペインサイエンス)
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「関節がズレ続けている」という恐怖を減らし、活動回復を優先。
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長時間同一姿勢・片脚荷重の偏り・反復捻転がトリガーになりやすい。
4-2 荷重管理(Acute → Return to Activity)
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痛み増悪動作の回数×負荷を調整(“ゼロにしない・過負荷にしない”)。
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座位:坐骨で均等荷重、骨盤後傾固定の長時間化を避ける。
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立位:両脚支持→患側前方ステップの順で安定探索。
4-3 Force closureを高める運動(初〜中級)
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呼吸×骨盤底筋×腹横筋:仰臥位で息を吐きながら下腹部~骨盤底の穏やかな収縮。脊柱の過伸展を避ける。
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大殿筋・ハムの協調:ヒップヒンジ(短可動域)→ヒップリフト(等尺保持10–15秒)。
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前額面安定:サイドプランク(膝曲げ)→シュミット歩行(ミニバンドで側方歩行)。
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体幹‐肩帯連鎖:ラットプル系の軽負荷で胸郭-骨盤の締結(胸郭の過伸展はNG)。
4-4 妊娠・産後の骨盤帯痛(PGP)における骨盤ベルト
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痛み軽減・許容度の点で、柔軟タイプが有利との報告(個人差あり)。運動・教育との併用が前提。PMC+1
4-5 徒手療法の位置づけ
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短期の症状緩和と運動へのブリッジとして実施(“整復”ではなく可動性と筋出力の入り口作り)。
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施術後は自動運動と日常動作のリトレーニングをセットに。
5. セルフケア3ステップ(1日5〜10分×2〜3回)
Step1:呼吸と骨盤底の同期(2分)
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仰臥位で膝立て。4秒吐く→2秒止める→4秒吸う。吐く時に下腹部と骨盤底を“やさしく”引き込む。
Step2:ヒップヒンジ壁タッチ(3分)
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壁に向かって尻を引く→軽く戻すを繰り返し、腰椎は中間位、大殿筋とハムの張りを感じる。
Step3:ミニバンド・サイドステップ(左右各10歩)
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骨盤水平を保ち、膝は内側へ入れない。痛み0–3/10で管理。
6. 受診・専門介入の目安
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夜間疼痛・発熱・外傷直後・神経脱落(しびれ悪化・筋力低下)などのレッドフラッグ。
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保存療法で6–8週改善なし、活動制限が強い場合は診断的ブロックやRFA等も相談可(専門医判断)。spine.org
7. よくある誤解Q&A
Q1. “骨盤がズレている”と言われました。戻す必要がありますか?
A. SIJは微小にしか動きません。重要なのは荷重の通し方と安定化の再学習です。Lippincott Journals
Q2. 検査一発で分かりますか?
A. 誘発テストのクラスターで総合判断します。単発テストは誤判定が増えます。Physiotutors
Q3. 骨盤ベルトはずっと付けるべき?
A. 痛み軽減や活動再開の補助として使い、運動併用で徐々に卒業するのが基本です。PMC+1
参考・推奨リソース
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SIJの微小運動(RSA研究):回旋2.5°前後・並進〜1.6mm。Lippincott Journals
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システマティックレビュー(3D運動):関節運動は小さく、機能モデルで捉えることが妥当。Institute of Physical Art
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Laslettクラスター:複数陽性で診断精度向上。Physiotutors+1
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PGPガイドライン(欧州):教育・活動・装具・運動の併用を推奨。PubMed
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NASSガイドライン(2023プロトコル):診断・治療の現行整理。spine.org