足底腱膜炎“朝の一歩”対策:起床時痛を減らす最短プロトコル

要約

  • 起床直後は**足底腱膜と母趾伸展機構(ウィンドラス)**が硬く、最初の数十歩で痛みがピークになりやすい。

  • 介入は①荷重前ルーチン(1分)→②日中のオフロード→③段階的ローディング(腱の許容量を増やす)の順。

  • テーピング/インソール/ナイトスプリントは“鎮静フェーズのブースター”。走る人は**ケイデンス+5–8%**で接地時間を短縮。


病態の見方(臨床メカニズムの要点)

  • ウィンドラス機構:母趾伸展で足底腱膜が巻き上がり、内側縦アーチが持ち上がる。

  • 起床時痛の理由:夜間の相対不動で腱膜・付着部が短縮/浮腫 → 最初の荷重で急牽引=痛い。

  • 悪化させる因子:足関節背屈制限/母趾伸展制限/硬い床での裸足歩行/走行量の急増/体重増。

鑑別クイック

  • 足底脂肪褥(fat pad)痛:踵中央に点状圧痛、柔らかい面で軽減。

  • Baxter神経絞扼:内側踵〜外側足縁にしびれ、外反母趾や内在筋萎縮併発あり。

  • 距骨下関節/踵骨疲労骨折:叩打痛・ラン後増悪・夜間痛。

  • 炎症性疾患(ASなど)朝のこわばり長時間+多関節症状


介入ロードマップ(4フェーズ)

フェーズA:鎮静+“朝の一歩”対策(1–2週)

目的:起床直後の痛みを下げ、1日の立ち上がりをスムーズに。

  • ベッドサイド1分ルーチン(荷重前)

    1. 母趾基部の自動伸展×10回(手で軽補助、痛み0–2/10)

    2. 腱膜ローリング30–45秒(テニスボールで足底中央を軽圧)

    3. 足首ポンピング×20回(背屈—底屈小振幅)

  • 日中のオフロード

    • ローダイテープ(低伸縮テープで内側縦アーチ支持)/U字パッドで踵圧分散

    • 室内はスニーカー着用(硬床+裸足は回避)

  • 等尺+短可動域

    • 座位ヒールレイズ(1–2秒保持×10–15回×2、日に2–3回)

    • ショートフット(ドーミング) 5秒保持×10回×2

  • 補助具(強い朝痛や長期化例)

    • ナイトスプリント(軽度背屈・母趾伸展位)を就寝時に導入検討

フェーズB:機能回復(2–4週)

目的:腱膜と下腿三頭筋-内在筋の協調を取り戻す。

  • スタンディング・ヒールレイズ

    • 片脚不可なら両脚から:ゆっくり3秒挙上—1秒保持—3秒下降 ×10–12回×2–3

    • 母趾荷重ラインを意識(第1列に押し出す)

  • 母趾伸展モビ+腱膜軽ストレッチ

    • 座位で母趾基部を軽伸展保持15–20秒×3(痛み0–2/10内のみ)

  • 背屈モビ:壁ドリル(膝つま先タッチ) 10回×2(伸展位/屈曲位を両方)

フェーズC:ローディング強化(4–8週)

目的:**腱の許容量(capacity)**を上げ、日常・運動へ対応。

  • 片脚ヒールレイズ:12–15回×3(週3–4)→段差で可動域拡大

  • エキセントリック偏重(痛み0–3/10内):

    • 両脚で挙上→患側片脚で3–4秒かけて下降 ×8–12回×3

  • 足内在筋サーキット

    • ドーミング5秒×10/タオルギャザー10回/母趾屈曲+外転10回を1セット、2–3セット

  • 近位連鎖:ヒップアブダクション・ヒップヒンジ(ミニバンド)各8–12回×2–3

フェーズD:復帰—走行・競技(6–12週)

基準:起床時痛が3/10以下、片脚ヒールレイズ20回、翌日残存痛2/10以下

  • 歩行→ジョグ:10分歩→5分ジョグ×2→10–20分連続ジョグ

  • ランナーのフォーム介入

    • ケイデンス+5–8%(アプリ・メトロノーム)

    • 短いストライド/硬い路面・下り坂は後期に

  • 痛みモニタリングモデル

    • 実施中0–3/10、翌日0–2/10を超えたら量/可動域/速度を1段下げる


テーピング&インソールの使い分け

  • ローダイテープ:即効の体感が出やすい。起床後〜午前中に効きやすい。

  • 既製インソール:内側アーチ支持+踵カップ深めのものから。厚すぎるクッションのみは脂肪褥向け。

  • ナイトスプリント朝痛が強い・慢性化に適応。1–2週間で朝の一歩が楽になれば継続。


よくある“つまずき”と修正

  • 起床直後にいきなり裸足で立つベッドサイド1分を必須化、スリッパでなくスニーカーに。

  • ストレッチを強すぎる → 痛み0–2/10内の軽伸張に留め、等尺→エキセントリックの順。

  • 母趾が使えていない → ドーミング時に**母趾付け根の“押し”**を言語キューで強調。

  • 走行量の戻しが早い → “距離か頻度を一度に1つだけ”増やす(7–10日ごと)。