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アキレス腱をストレッチしても足関節背屈制限が改善しない理由

術後などの不動によってアキレス腱が短縮するとよく言いますが、厳密には腱自体が短縮することはほとんどありません。

筋肉の中でも、腱ではなく、筋腱移行部に存在する筋節(筋肉が伸びるための滑走性を構成する部分)が減少することが短縮の主因です。

さらに下腿三頭筋に関しては、アキレス腱の深部に存在するケーラー脂肪体の柔軟性が足関節背屈制限の改善に深く関係しています。

ケーラー脂肪体

ケーラー脂肪体は、長母趾屈筋とアキレス腱の間隙を埋めるように位置しており、アキレス腱の滑走性向上に寄与しています。

術後などの不動やアキレス腱周囲に炎症が起こると、ケーラー脂肪体は徐々に瘢痕化していき、その役割を失っていきます。

滑走不全の状態で動かし続けると脂肪体や腱に強い摩擦ストレスが加わり、最終的には炎症を起こすことにつながります。

脂肪体には痛みを感知する自由神経終末が存在しているため、損傷するとアキレス腱深部の痛みとして訴えられます。

疼痛による不動や炎症による組織の瘢痕化は、さらなる悪循環を引き起こしますので、ケーラー脂肪体の柔軟性を高めることはとても重要です。

具体的な治療法としては、患者に腹臥位をとってもらい、膝関節を軽度屈曲位、足関節を軽度底屈位に保持した状態で把持します。

施術者はアキレス腱深部(ケーラー脂肪体)を示指と母指でつまむようにし、横方向に動かすようにしながらストレッチしていきます。

この動作を上下に高さを変えながら反復していき、脂肪体の柔軟性が改善するまで実施していくことが大切です。

施術前に超音波治療器(深部温熱)を実施しておくことにより、治療の効果をより高めることができます。

ここまでを読んだならわかるかと思いますが、アキレス腱のストレッチはケーラー脂肪体の柔軟性を確保したあとに行うことが大切です。

滑走不全が存在したままで歩行量だけが増えていくと、結果的には炎症が起こり、さらに硬くなっていく可能性すらあります。

そうならないためにも、まずはしっかりと動かしやすい環境を徒手療法で整えて、その後に運動療法を展開するようにしてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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