スウェイバックの原因と治し方

不良姿勢の代表である「スウェイバック」の原因と修正方法について、わかりやすく解説していきます。

スウェイバックとは

アライメント
骨盤後傾、骨盤の重心線は前方偏位、胸椎後弯の増強、腰椎の平坦、股関節の過伸展、膝関節の過伸展
優位または短縮しやすい筋 延長または弱化しやすい筋
頸部深部屈筋群
大腿筋膜張筋 大殿筋
腸脛靭帯
ハムストリングス 大腿四頭筋の広筋群
内腹斜筋 外腹斜筋
 − 脊柱起立筋

上の表は、左右で拮抗する筋肉を示したものです。

スウェイバックは中高年者に多い姿勢であり、姿勢保持を非収縮要素(筋肉の緊張以外)に依存していることが特徴です。

そのため、姿勢保持筋(脊柱起立筋や大殿筋)の筋力が低下しており、片脚立位を保つことができない場合が多いです。

スウェイバックによる問題

加齢で衰えやすい筋肉と老人姿勢

老人になると姿勢を保持するための筋肉が衰えやすく、その中でも大殿筋の萎縮は著しい状態となります。

大殿筋が弱化するとハムストリングス(とくに大腿二頭筋)が代償的に股関節の伸展作用を担うことになり、その状態が続くと疲労を招きます。

ハムストリングスの慢性的な疲労状態は膝関節の伸展制限や屈曲制限(攣縮)をきたし、さらには筋痙攣を起こしやすくなります。

また、大殿筋の弱化は繋がりを持つ腸脛靭帯を硬くし、さらに腸脛靭帯を通じて連結する大腿筋膜張筋が代償的に緊張します。

そのため、スウェイバックの人は大腿外側の腸脛靭帯が非常に硬く、押すと強い痛みを訴えることが多いです。

腸脛靭帯には外側広筋の一部が起始しているため、硬結すると外側広筋が硬くなり、さらに外側広筋が停止する外側膝蓋支帯も硬くなります。

膝蓋骨は外側上方に偏位し、内側広筋は弱化していき、大腿二頭筋の緊張と内側広筋の弱化で下腿外旋位となって変形性膝関節症をきたします。

脊柱起立筋が弱化すると骨盤は後傾し、腰椎の前弯が減少して圧迫骨折をきたしやすくなり、進行すると円背を起こします。

骨盤後傾は腹筋群を優位な状態とし、内腹斜筋の緊張状態を招くことになり、腸骨稜上で強い圧痛を見つけることができます。

スウェイバックの治し方

最初に説明したように、スウェイバックは姿勢保持を筋肉の収縮に頼らずに保持している状態が基盤にあります。

そのため、姿勢を矯正するためには筋力トレーニングを実施することと、筋肉の緊張によって姿勢を保持する意識付けが必要です。

筋力トレーニングで鍛えるべき筋肉は、①大殿筋、②大腿四頭筋の広筋群(とくに内側広筋)、③外腹斜筋の3つになります。

弱化している筋肉の拮抗筋は短縮しているケースが多いため、トレーニングの前にストレッチングを行うことが大切です。

膝関節に痛みがあり、外側膝蓋支帯が硬くなっているケースでは、膝蓋骨モビライゼーションを実施してから内側広筋を鍛えてください。

①股関節を鍛える

大殿筋の拮抗筋となる大腿筋膜張筋は短縮しているケースが多く、それによって腸脛靭帯の柔軟性が失われています。

そのため、大殿筋を鍛える前に大腿筋膜張筋を伸張しておくことが大切です。

方法としては、側臥位にてストレッチ側の膝関節を伸展してベッドの端から垂らし、股関節を伸展・内転・外旋していきます。

大腿筋膜張筋が十分に伸張できたら、次は拮抗筋である大殿筋をトレーニングしていきます。

方法としては、腹臥位にて両膝を屈曲させた状態から、両側の大殿筋を使って股関節を伸展させる方法があります。

大殿筋を中心に鍛える場合は、腹筋群を収縮させて行うことにより、脊柱起立筋の代償を防ぐことができます。

膝関節が伸展するとハムストリングスが代償的に収縮するので、必ず90度以上曲げてから実施することが大切です。

ハムストリングスの疲労が強いケースでは、運動中に攣る(筋痙攣)ことが多いので、攣りそうになったら中止してください。

背臥位で膝関節を屈曲させた状態からお尻を上げる運動で、膝関節の屈曲角度を大きくすることで大殿筋への負荷を高めることができます。

慣れてきたら片脚を浮かせた状態でブリッジングを行うことにより、より強力にトレーニングが可能です。

②膝関節を鍛える

大腿四頭筋(広筋群)の拮抗筋となるハムストリングスは短縮しているケースが多いため、大腿四頭筋を鍛える前に伸張しておくことが大切です。

方法としては、伸ばしたい側の下肢をベッドに乗せて、クッションを膝下に置いた状態から体幹を前に倒していきます。

クッションを入れる理由としては、膝窩筋や斜膝窩靱帯、脛骨神経、後方関節包などの伸張痛が入らないようにするためです。

ハムストリングスが十分に伸張できたら、次は拮抗筋である大腿四頭筋(広筋群)をトレーニングしていきます。

方法としては、椅子に腰掛けた状態で膝関節を伸展させていきます。

足首に重りなどを付けてから実施することで、より効果的にトレーニングしていくことができます。

③体幹を鍛える

姿勢保持筋を鍛えるために片脚立位は有効で、挙上した下肢の股関節を90度屈曲させることで立脚側の大殿筋が強く働きます。

一側の手をまっすぐ前に出した状態にし、その手に反対側の膝を近づけることで外腹斜筋を強化することができます。

片脚立位でなくても、太ももを上げながら意識して歩くことで骨盤後傾を修正することが可能です。

スウェイバックの場合は、内腹斜筋が緊張しているケースも多いので、事前に側臥位で内腹斜筋をマッサージしておくことも有効となります。


vc

他の記事も読んでみる

スキルアップできる本

vc

勉強になる情報をお届けします!

ピックアップ記事

The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
rehatora.net © 2016 Frontier Theme