最近なにかと話題のロボットスーツHALについて、すぐに理解できるようにわかりやす解説していきます。
この記事の目次はコチラ
ロボットスーツHALとは
HALとは、Hybrid Assistive Limbの略語になります。
- 混合:Hybrid
- 補助:Assistive
- 四肢:Limb
つまりは、ロボットスーツで四肢を補助するという意味です。これはCYBERDYNEという会社が開発する、身体機能を改善および拡張できる世界初のサイボーグ型ロボットです。
いくつか種類がありますが、この度、その中の医療用下肢タイプが厚生労働省より医療機器としての認可を受けることになりました。
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HALは脳からのニューロンを伝える
パワードスーツや人工筋肉といったものとHALが根本的に異なる点は、脳からの電気信号を読み取って動くところにあります。
その方法として、装着者の皮膚にセンサーを貼り付けて、そこに流れる微弱な電気信号を検出し、その信号を基に筋肉の動きを補助するように働きます。
筋委縮性側索硬化症などの神経疾患においては、筋力低下に伴って歩行が障害されていき、廃用性筋委縮を助長させてしまいます。
その中で、HALを利用した歩行訓練を実施することにより、症状の進行抑制効果が得られることが報告されています。今回は、その効果と安全性が認められての認可となりました。
HALの動作原理
以下は、公式サイトより一部改変しながら簡単にして掲載しています。このような順序で動作するのかという感じで覚えておいてください。
01.歩きたいと考える
まずは歩きたいと考えることで、脳がその動作を実行するために必要な筋肉に対して電気信号を送ります。
02.信号を受け取った筋肉が動く
脳から送られてきた電気信号を筋肉が受け取り、動作に必要な分だけの筋肉を働かせます。
03.信号をHALが読み取る
04.HALが筋肉の動きを補助する
信号を解析したHALが、脳からの指令通りに筋肉を動かせるように補助します。その出力に関しても、細かく思い通りに発揮することが可能です。
05.脳が動きを学習する
適切な運動が行えた場合に、脳はその動作を学習することになります。それを反復しながらフィードバックすることで、最終的にはHALがなくても歩ける状態を目指していきます。
電気信号がなくてもHALは動かせる
HALには電気信号を読み解くサイバニック随意制御システムに加えて、電気信号がなくても動作を補助してくれるサイバニック自律制御システムが存在しています。
これは、脊髄損傷などで電気信号が筋肉まで届かない場合でも、正常な歩行動作をHALが補助してくれるので、歩けるようになるのだと理解していいと思います。
いずれは脊損患者が、自由に街を歩き回れるようになる日もちかいということでしょう。これは本当に素晴らしいことですね。
レンタル料金に関して
HALは現在のところ、個人向けにはレンタルはされていないようです。なので、医療機関や介護施設向けに料金なども設定されています。
下記に掲載する料金は、HAL福祉用(下肢タイプ)のレンタル料金になります。
初期導入費用 | レンタル期間(表示価格は月々の料金:円) | ||||
6カ月 | 1年 | 3年 | 5年 | ||
両脚 | 550,000 | 188,000 | 178,000 | 168,000 | 158,000 |
単脚 | 400,000 | 139,000 | 132,000 | 125,000 | 118,000 |
月々の料金なのでかなり高額に感じられますが、HALは装着者ごとに設定が可能なので、使用する人数が多い病院や施設では、レンタルする価値はあると考えられます。
しかも、HALは専用のアプリケーションを使用することで、装着者の状態を視覚的にも非常にわかりやすく教えてくれます。ちょーカッコいいです。
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病院での使用料金について
実際に病院でレンタルして、患者に使用しているところは結構多いようです。しかし、実費なのでかなり高額な設定となっている場合が多いです。
料金はピンキリですが、120分で18,000円とかに設定している病院もありました。ドイツなどではすでに認可されて使用されているそうですが、60分で5,000円ぐらいが相場らしいです。
今後は医療保険適用となっていく可能性もあるので、料金は大幅に安くなると考えられます。
HALを扱えるのは講習を受けた人だけ
HALを利用したい場合は、CYBERDYNEが指定しているインストラクターの講義を受講している必要があります。
安全性が確認されたとはいえ、あくまで患者に使用するロボットなので、正しい知識を持った方々が運用にあたるべきということですね。