この記事では、内腹斜筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
内腹斜筋の概要
内腹斜筋は外腹斜筋の深層に位置する筋肉で、語名はinternal(内側の)とoblique(傾いた)で構成されます。
腸骨稜を中心に扇状の筋線維が外腹斜筋と直角に走行しているため、内腹斜筋は同側回旋に、外腹斜筋は反対側回旋に貢献します。
また、体幹の動きに加えて外腹斜筋や腹横筋などと共に内臓を納める腹壁を形成し、外傷から内臓を守る働きがあります。
※腹部の断面図 |
内腹斜筋は外腹斜筋の深層にあり、腹直筋の外側(腹直筋鞘)に停止します。
日常生活では腹圧を高める排便や咳などのときに働き、スポーツではゴルフや野球のスイングなどの体幹を捻る動作で活躍します。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | ①肋間神経(胸腹神経および肋下神経)(Th10-12)
②腸骨下腹神経(L1) ③腸骨鼠径神経(L1) |
起始 | ①胸腰筋膜深葉,上前腸骨棘
②鼠径靱帯 ③腸骨稜の中間線 |
停止 | ①第10-12肋骨の下縁(上部)
②腹直筋鞘(中部) ③精巣挙筋(下部) |
動作 | 体幹の側屈(同側)、回旋(同側)、屈曲(胸郭の引き下げ) |
筋体積 | 73㎤ |
筋線維長 | 5.4㎝ |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
体幹屈曲 |
体幹側屈 |
体幹回旋 |
1位 | 腹直筋 | 外腹斜筋 | 内腹斜筋(同側) |
2位 | 外腹斜筋 | 内腹斜筋 | 外腹斜筋(反対側) |
3位 | 内腹斜筋 | 腰方形筋 | 脊柱起立筋 |
4位 | - | 脊柱起立筋 | 回旋筋 |
内腹斜筋の触診方法
写真では、触診側への体幹回旋と屈曲運動にて内腹斜筋を収縮させ、腹直筋の外側部にて触知しています。
ストレッチ方法
うつ伏せで骨盤を床につけたまま、両手をついて上体を起こし、伸張したい内腹斜筋がある方の反対側に体幹を回旋・側屈していきます。
筋力トレーニング
膝立て位の仰向けとなり、両手は頭部のうしろで組み、そこから上体を起こしていきます。
その際に、鍛えたい内腹斜筋がある方に体幹を回旋・側屈していきます。
腹筋群を鍛えるトレーニングで起き上がり運動を実施する場合は多いですが、屈曲初期では腹直筋が、後期では大腰筋が活躍します。
また、足部を固定すると大腿直筋が主に活動します。
腹斜筋を選択的に鍛えるためには、足部は固定せずに屈曲中期にて体幹を止めて、回旋動作を加えることで強力に負荷を与えることができます。
関連する疾患
- 脊髄損傷
- 頚髄症性不全四肢麻痺
- 慢性腰痛
- 肉離れ etc.
肉離れ
急激に体幹を回旋させる動作のあるスポーツ(野球の投手・ゴルフ・テニス)では、しばしば腹斜筋の肉離れによる傷害が起こります。
非常に稀ではありますが、一度起こると再発しやすくなるため、復帰までに1ヶ月以上はかかり、リハビリを要することになります。