外肋間筋の概要
肋骨と肋骨の骨間部に張る呼吸筋群。外肋間筋は吸気に主働、内肋間筋(骨間部)は努力呼気に主働します。外肋間筋は各肋間ごとに存在する短い筋束の集合で、上位肋骨の下縁→直下の肋骨上縁へ走行。収縮で下位肋骨を前上方へ引き上げ、胸郭を拡大(胸式呼吸)させます。
基本データ
| 項目 | 内容 |
| 支配神経 | 肋間神経 |
| 髄節 | Th1-11 |
| 起始 | 上位肋骨の下縁(肋間溝付近) |
| 停止 | 下位肋骨の上縁 |
| 線維方向 | “手をポケットへ”方向(上後方→下前方) |
| 動作 | 吸気:肋骨挙上 → 胸郭拡大(胸式呼吸の主筋の一つ) |
外肋間筋と内肋間筋の違い

-
外肋間筋:上後方→下前方。吸気で肋骨を前上方へ。
-
内肋間筋(骨間部):上前方→下後方。努力呼気で肋骨を下制。
-
内肋間筋の肋軟骨間(傍胸骨部):吸気に寄与する重要な例外。
呼吸運動での役割
-
安静吸気:横隔膜+外肋間筋。
-
努力吸気:横隔膜+外肋間筋+補助筋(斜角筋群/胸鎖乳突筋/肋骨挙筋/上後鋸筋/大胸筋・小胸筋/僧帽筋/肩甲挙筋/脊柱起立筋 など)。
-
努力呼気:内肋間筋(骨間部)/肋下筋/胸横筋/腹筋群(内外腹斜筋・腹直筋・腹横筋)/下後鋸筋 など。
アナトミートレイン(筋膜連結の機能的ライン)
- LL(Lateral Line)上の要素。円背・下位肋骨の内巻きが強い症例では、側胸壁のスライド改善や下位肋間の伸張が姿勢矯正に有効なことがある。
セルフケア & 臨床のコツ
側胸壁オープナー(ストレッチ)
-
立位/座位で伸ばしたい側の手を頭上へ。
-
反対側へゆっくり側屈し、側胸壁に鼻から3–4秒吸気 → 口から4–6秒呼気。
-
5呼吸 × 2–3セット。鋭痛・息苦しさがあれば中止。
触診/介入のヒント
-
肋骨間の溝を指腹でとらえ、吸気で広がる方向を感じながら皮下〜筋膜スライドを促す。
-
**肋横関節(後方)や肋軟骨連結(前方)**の可動性、胸椎伸展・回旋との連動も併せて評価。
最終更新:2025-10-13

