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大胸筋

この記事では、大胸筋(pectoralis major)に関する充実したデータを閲覧できます。

大胸筋の概要

大胸筋の起始停止

大胸筋は胸部全体表層に位置する筋肉で、ラテン語のpectus(胸)とmajor(大きな)に由来しています。

鎖骨部(上部)、胸肋部(中部)、腹部(下部)の三つから構成されており、胸肋部に関しては胸骨部と肋骨部に分かれている場合も多いです。

白筋線維が非常に豊富な筋肉のため、筋力トレーニングにてすぐに肥大化しやすく、運動のモチベーションを維持しやすい筋肉ともいえます。

大胸筋が過度に緊張していると「猫背」となり、肩関節拘縮を引き起こす原因になりやすいです。

大胸筋

基本データ

支配神経 内側及び外側胸筋神経
髄節 C5-T1
起始 ①鎖骨部:鎖骨の内側半分

②胸肋部:胸骨前面、第2-6肋軟骨

③腹部:腹直筋鞘の前葉

停止 上腕骨の大結節稜
栄養血管 胸肩峰動脈 (胸筋枝)
動作 上方:肩関節の水平内転,内旋,屈曲、吸気の補助

下方:肩関節の水平内転,内旋,内転、吸気の補助

肩挙上時は屈曲から伸展作用に変化する

筋体積 676
筋線維長 18.7
速筋:遅筋(%) 57.342.7
筋連結:広頚筋、広背筋、三角筋、上腕二頭筋、小胸筋、上腕三頭筋、小胸筋、上腕二頭筋、腹直筋、対側大胸筋、胸鎖乳突筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋

運動貢献度(順位)

貢献度

水平内転

肩関節内転

肩関節内旋

肩関節屈曲

1 大胸筋 広背筋 肩甲下筋 三角筋(前部)
2 三角筋(前部) 大胸筋(下部) 大胸筋 大胸筋(上部)
3 上腕二頭筋 大円筋 広背筋 上腕二頭筋
4 上腕三頭筋(長頭) 大円筋 前鋸筋

ポジション別にみる大胸筋作用の変化

下垂位

90度屈曲位

90度外転位

鎖骨部 屈曲・内旋 水平内転 水平内転
胸肋部 内旋 伸展・内転・内旋 内転・内旋
腹部 ほとんど機能せず 伸展 内転・内旋

大胸筋は非常に筋断面積が広い筋肉であるため、強力であるのと同時に、その作用がポジションや部位毎で異なる傾向にあります。

上方線維は肩関節の屈曲に作用するのに対し、下方線維は肩関節の内転に作用します。また、肩関節挙上時は反対に伸展作用を有します。

大胸筋は野球のバッティング動作などでとくに活躍し、構えから振り抜くポジションによって活躍する部位も変化するようになります。

大胸筋の触診方法

大胸筋鎖骨部(上部)

大胸筋鎖骨部

写真では、肩関節外転位からの水平屈曲運動にて、大胸筋鎖骨部線維を触診しています。

大胸筋鎖骨部

 大胸筋胸肋部(中部)

大胸筋胸肋部

写真では、肩関節外転位からの水平屈曲運動にて、大胸筋胸肋部線維を触診しています。

大胸筋胸肋部

 大胸筋腹部(下部)

大胸筋腹部

写真では、肩関節の内転運動にて大胸筋腹部線維を触診しています。

大胸筋腹部

ストレッチ方法

大胸筋のストレッチング

壁に前腕をつき、体幹を反対方向に回旋して肩関節を水平外転していきます。

肩関節の外転角度で伸張部位が変化し、外転60度では鎖骨部、外転90度では胸肋部、外転120度では腹部が最も伸張されます。

筋力トレーニング

大胸筋の筋力トレーニング

仰向けでダンベルを把持し、天井に向けて挙上ていきます。

両手の幅を広くすると大胸筋を、狭くすると上腕三頭筋が選択的に強化できます。

大胸筋の筋力トレーニング2

いわゆる腕立て伏せ(プッシュアップ)運動です。

大胸筋を選択的に強化するためには手を肩幅より広くつき、肘を外側に曲げるようにします。

アナトミートレイン

アナトミートレイン|SFL|スーパーフィシャル・フロント・ライン

大胸筋は三つの筋膜経線に属しており、まず最初にSFL(スーパーフィシャル・フロント・ライン)があります。

このラインは実際には大胸筋を覆っているわけでなく、起始部付近にある胸骨筋がラインを繋げており、間接的に関与している程度です。

 アナトミートレイン|SFAL|スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン

次にSFAL(スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン)がありますが、こちらが大胸筋のメインの筋膜になります。

大胸筋や広背筋がSFALの起始となり、先端にある手指屈筋群の停止部までを筋膜によって連結させ、安定した動きを可能としています。

アナトミートレイン|FFL|フロント・ファンクショナル・ライン|大胸筋

最後にFFL(フロント・ファンクショナル・ライン)ですが、こちらもSFAL同様に大胸筋の重要なラインになります。

長内転筋から身体中心を交差して流れてきた筋膜の動きは、腹直筋の外側縁または外腹斜筋の内側縁を通過して大胸筋の下縁に伝えられます。

この一連の流れがあるからこそ、速くボールを投げるような滑らかな力の伝達が可能となります。

マッサージ方法

患者に背臥位をとってもらい、術者は二指圧迫法(母指と四指で摘む)を用いて、大胸筋の停止付近(上腕骨内側)を圧迫し、緊張が緩むまで待ちます。

徐々に指を下内方にずらしていきながら、より多くの筋線維を圧迫しながらマッサージを実施していきます。

二指圧迫法が実施できない中心部の筋肉に対しては、筋線維の走行に沿いながらストリッピングを加えていき、硬結部を見つける度に持続圧迫を加えます。

関連する疾患

  • 随意性肩関節脱臼
  • 肩関節拘縮 etc.

随意性肩関節脱臼

随意性肩関節脱臼例では、大胸筋の過剰収縮が、骨頭の前方脱臼の重要な要因になります。

通常、肩関節の前方脱臼は転倒などの外力により、肩関節が外転・外旋・水平伸展を強制された際に骨頭が前方へ押し出されることで生じます。

それに対して、大胸筋が問題の場合は、過剰な収縮で上腕骨が前方に引き寄せられることが原因で脱臼が起こるため、随意性肩関節脱臼といいます。

肩関節拘縮

大胸筋の過緊張と不良姿勢

大胸筋が過度に緊張すると肩関節が前内方に引き寄せられ、肩甲骨は外転し、胸椎は過度に後彎して猫背姿勢となります。

猫背と肩関節拘縮

実際にやってみるとすぐにわかりますが、胸椎が過度に後彎した姿勢では肩関節が最終域まで挙上できません。

肩関節に拘縮(可動域制限)が存在している状態で挙上運動を続けると、軌道パターンが崩れてインピンジメント症候群などを引き起こします。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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