大腿骨寛骨臼衝突症候群(FAI)のリハビリ治療

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大腿骨寛骨臼衝突症候群(Femoroacetabular impingment:FAI)のリハビリ治療に関して解説していきます。

FAIの概要

FAIは股関節インピンジメント症候群とも呼ばれ、股関節を動かした際に大腿骨頭と寛骨臼が衝突する状態をいいます。

原因としては、①大腿骨頸部の肥厚、②寛骨臼の過被覆、③後方関節包の短縮、④関節の不安定性などが挙げられます。

変形性股関節症の前期症状として出現し、単純X線検査では関節裂隙の狭小化が認められないうちから痛みを誘発します。

若年のスポーツ習慣者の股関節痛の多くがFAIによる関節唇損傷であり、しゃがみ込むような股関節の深屈曲位で痛みを訴えるのが特徴です。

FAIの分類

FAIは骨の形態別に、①カム型、②ピンサー型、③コンバインド型の三つに分類されます。

カム型は20〜30歳代の男性に好発し、ピンサー型は30〜40歳代の女性に好発することが報告されています。

どちらも明確な発生原因はわかっていませんが、男性は周囲組織のタイトが、女性は関節の不安定性が関与していると考えられます。

発生頻度はカム型、コンバインド型、ピンサー型の順に多く発症します。

1.CAM型(大腿骨頚部の肥厚)
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2.Pincer型(寛骨臼の過被覆)
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3.Combined型(合併)
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部位別の疼痛と原因

FAIは大腿骨頭と臼蓋(関節唇)の衝突が繰り返すことで損傷し、痛みを誘発することになります。

とくに障害を受けやすいのは前上方(腹頭側)の股関節唇で、痛みは太ももの付け根(鼡径部)あたりに現れます。

股関節痛はL3デルマトームに関連することから、大腿前面から膝部にかけて放散痛が起こる場合もあります。

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避けるべき動作について

FAIは股関節唇が損傷することで起こることは説明しましたが、患部の安静がとれずに衝突を繰り返すと関節軟骨まで損傷します。

関節軟骨が損傷すると関節裂隙は狭小化し、変形性股関節症に進行していくことになります。

症状の進行を避けるためにも衝突動作は回避すべきであり、そのためには股関節を深く曲げるような動作は行わないように注意します。

とくに股関節の「屈曲・内転・内旋」の複合運動は大腿骨頸部前方と寛骨臼が最も接触しやすくなるため、痛みの誘発検査としても有用です。

画像検査による診断

画像検査では、まずは両股関節の正面像と大腿骨軸位像側面像(軸写像)の2方向を単純X線検査にて撮影します。

確認すべきポイントは、①大腿骨頸部の肥厚、②寛骨臼の過被覆、③臼蓋の後捻の3つになります。

上記のどれかが当てはまり、股関節の深屈曲で痛みが生じ、関節裂隙の狭小化がみられない場合はFAIを強く疑うことができます。

MRI検査では、股関節唇や軟骨の状態まで確認できますので、FAIが疑われる場合は必ず撮影して損傷の有無や程度についても評価します。

リハビリテーション

関節唇損傷にて炎症がある場合は、股関節の運動時に痛みを伴いやすので、患部の安静を保つようにして痛みが落ち着くのを待ちます。

カム型の場合は、股関節の後下方関節包に短縮が存在している可能性が高いので、関節包のストレッチングを実施していきます。

方法としては、背臥位にて股関節を90〜100度に屈曲させて、セラピストは大腿骨頭を背尾側に押し込んで後下方関節包を伸張します。

自主ストレッチの方法としては、患者に四つ這いの姿勢をとってもらい、大腿骨に荷重をかけて骨頭を背尾側に押し込ませます。

そこから可能な範囲(関節唇を挟み込んで痛みが出ない範囲)で股関節を屈曲していくことで、後下方関節包を伸張していきます。

ピンサー型の場合は、腸腰筋や大殿筋の収縮不全によって、股関節に不安定性を伴っている可能性が高いです。

収縮不全を起こす原因には、前方関節包に過剰な可動性があって腸腰筋が延長していたり、ハムストリングスの優位や大腿筋膜張筋の短縮による大殿筋の機能不全などが挙げられます。

手術療法

上記に挙げた保存療法(リハビリテーション)にて痛みが改善せず、症状が進行している場合は手術療法が適応となります。

手術は関節鏡手術で一般的に行われ、大腿骨頚部の肥厚部分と臼蓋の過被覆部分を削り、関節唇を縫いつけていきます。

FAIに対する手術は一般的に有効とされますが、すでに関節裂隙の狭小化を伴う変形性股関節症の発症例では、痛みの改善がない場合も多いことが指摘されています。

そのため、手術に関しては進行する前に実施するほうがスポーツ復帰などの予後を考えると有効である可能性があります。

一般的に術後は部分荷重となり、5〜8週間ほどで全荷重に移行し、競技復帰には少なくとも4〜5ヶ月が必要とされています。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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