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大腿骨寛骨臼衝突症候群(FAI)のリハビリ治療


大腿骨寛骨臼衝突症候群(Femoroacetabular impingment:FAI)のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

FAIの概要

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FAIは、大腿骨頚部の肥厚や寛骨臼の過被覆などの骨形態異常によって、両者がimpingment(衝突)を起こし、股関節の疼痛と運動制限をきたした状態です。

股関節インピンジメント症候群や大腿骨寛骨臼衝突症候群などと呼ばれることもありますが、臨床ではFAIと呼ばれることが一般的です。

変形性股関節症の前期症状として出現しますが、単純X線検査で関節裂隙の狭小化がみられないうちから痛みを誘発するため、以前は原因がよくわからずに見過ごされていました。

それが2003年にGanzらによってFAIの概念が報告され、その後の研究ではスポーツ習慣のある若年者の股関節痛の大半がインピンジメントによる関節唇損傷であったことが報告されています。

症状としては、しゃがみ込むような股関節の深い屈曲位で股関節に痛みを訴えます。

FAIの分類

FAIは形態別に、①カム型、②ピンサー型、③コンバインド型の三つに分類されます。

カム型は20-30歳代の男性に、ピンサー型は30-40歳代の女性に好発するのが特徴です。どちらも明確な発生原因はわかっていません。

発生頻度はカム型、コンバインド型、ピンサー型の順に多く発症します。

1.CAM型(大腿骨頚部の肥厚)
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2.Pincer型(寛骨臼の過被覆)
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3.Combined型(合併)
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部位別の疼痛と原因

FAIは大腿骨頭と臼蓋(関節唇)の衝突が繰り返すことで損傷し、痛みを誘発することになります。

とくに障害を受けやすいのは前上方の股関節唇で、痛みは太ももの付け根(鼡径部)あたりに現れます。

股関節痛はL3デルマトームに関連することから、大腿前面から膝部にかけて放散痛が起こる場合もあります。

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避けるべき動作について

FAIは股関節唇が損傷することで起こることは説明しましたが、患部の安静がとれずに衝突を繰り返すと関節軟骨まで損傷することになります。

関節軟骨が損傷すると関節裂隙は狭小化し、変形性股関節症に進行していくことになります。

症状の進行を避けるためにも衝突動作は回避すべきであり、そのためにも股関節を深く曲げるような動作は行わないように指導する必要があります。

とくに股関節の「屈曲・内転・内旋」の複合運動は大腿骨頸部前方と寛骨臼が最も接触しやすくなるため、痛みの誘発検査としても用いられます。

それは同時に、日常生活において最も避けるべき動作のひとつであるといえます。

画像検査による診断

画像検査では、まずは両股関節の正面像と大腿骨軸位像側面像(軸写像)の2方向を単純X線検査にて撮影します。

確認すべきは、①大腿骨頸部の肥厚、②寛骨臼の過被覆、③臼蓋の後捻の三つです。後捻に関しても、インピンジメントを起こす原因となるので注意して観察します。

上記の三つのポイントのどれかが当てはまり、股関節の深屈曲で痛みが生じ、関節裂隙の狭小化がみられない場合にFAIを強く疑うことができます。

MRI検査では、股関節唇や軟骨の状態まで確認できますので、FAIが疑われる場合は必ず撮影し、損傷の有無や程度についても評価します。

保存療法と手術療法

まずは原則として保存療法が適応され、薬物療法や患部の安静にて炎症(痛み)が引くのを待ちます。

痛みが治まったら再発しないように今後の生活設定を考えていき、インピンジメントをなるべく起こさない動作指導を行っていきます。

保存療法にて痛みが改善せず、症状が進行している場合は手術療法が適応となります。

手術は関節鏡手術で一般的に行われ、大腿骨頚部の肥厚部分と臼蓋の過被覆部分を削り、関節唇を縫いつけていきます。

最後にインピンジメントが消失したことを確認して手術は終了します。FAIが原因であった場合は、術後に痛みは消失します。

術後のリハビリテーション

FAIに対する手術は一般的に有効とされますが、すでに関節裂隙の狭小化を伴う変形性股関節症の発症例では、痛みの改善がない場合も多いことが指摘されています。

そのため、手術に関しては進行する前に実施するほうが、スポーツ復帰などの予後を考えると有効である可能性があります。

一般的に術後は部分荷重がとられ、5-8週間ほどかけて全荷重に移行していきます。競技復帰には少なくとも4-5ヶ月が必要とされています。

術後は変形性股関節症を発症しないためにも、股関節のケアや周囲筋の強化、柔軟性の獲得は必須といえます。

炎症コントロール

全荷重や競技復帰を許可する際に、その指標のひとつとなるのが炎症(痛み)の有無です。

完全に痛みが治まっている状態で負荷を与えなければ、炎症が再燃して関節軟骨が摩耗し、変形性股関節症に進行します。

それを避けるためにも常に負荷はコントロールしていき、無理のない範囲で徐々に負荷を高めていく必要があります。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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