烏口腕筋

この記事では、烏口腕筋(coracobrachialis)に関する充実したデータを閲覧できます。

烏口腕筋の概要

烏口腕筋の起始停止

烏口腕筋は上腕内側深層に位置する筋肉で、近位部は上腕二頭筋短頭腱と癒合し、共同腱として烏口突起に付着しています。

烏口腕筋は肩関節の屈曲・水平内転・内転といった作用を持っていますが、いずれも貢献度は小さいです。

肩関節最大屈曲位ではベクトルが変化して伸展に作用し、肩関節外転・外旋位では上腕骨頭を前方から支持します。

深層筋の多くは関節運動よりも関節安定化への貢献度が高く、烏口腕筋も肩関節屈曲よりも骨頭を関節窩に安定させる作用がメインになります。

基本データ

支配神経 筋皮神経
髄節 C5-7
起始 肩甲骨の烏口突起
停止 上腕骨の内側中央
栄養血管 上腕動脈
動作 肩関節の屈曲,水平内転,内転
筋体積 80
筋線維長 4.6
筋連結 上腕二頭筋、小胸筋、上腕筋、上腕三頭筋

運動貢献度(順位)

貢献度

肩関節屈曲

1 三角筋(前部)
2 大胸筋(上部)
3 上腕二頭筋
4 前鋸筋

※烏口腕筋の主な働きは肩関節屈曲ですが、4番手にも入らない貢献度の低い筋肉です。

烏口腕筋の触診方法

烏口腕筋

触診する上で必要なことは、同じく烏口突起に付着部を持つ上腕二頭筋短頭や小胸筋の運動参加を防止することです。

写真では、肩関節60度外転・軽度外旋位、肘関節は屈曲位からの肩関節内転運動にて烏口腕筋の収縮を停止部で触知しています。

烏口腕筋を触知できるのは上腕骨の近位1/2までで、それより先は上腕筋に触れるようになります。

上腕二頭筋短頭との鑑別は、腹側を走行する細い筋線維が短頭に対して、背側の太い筋線維が烏口腕筋になります。

ストレッチ方法

烏口腕筋のストレッチング

肩関節をやや伸展・外転・外旋位、肘関節を屈曲位とし、壁に手をつきます。

その状態から肩関節の水平外転を増大させるようにして、烏口腕筋をストレッチングしていきます。

圧痛点と関連痛領域

烏口腕筋の圧痛点と関連痛領域1

烏口腕筋の圧痛点は起始部(烏口突起の直下)と筋腹中央の筋皮神経が貫通している部位に起こります。

烏口突起は、①上腕骨、②肩甲骨、③胸郭といった3方向の複雑な相互作用を受ける部位であり、小胸筋や上腕二頭筋短頭も付着しています。

そのため、指で押すことによって圧痛を認める場合が非常に多く、それが一般的な所見となります。

烏口腕筋の攣縮で筋皮神経が圧迫されると、その後に分岐する前腕外側皮神経の領域に知覚異常が起こります。

アナトミートレイン

烏口腕筋はDFAL(ディープ・フロントアーム・ライン)の筋膜経線上に位置している筋肉になります。

このラインによって母指側まで痛みが波及する場合があります。

アナトミートレイン|DFAL|ディープ・フロントアーム・ライン

関連する疾患

  • 烏口突起炎
  • 肩関節周囲炎
  • 反復性肩関節脱臼再建術後
  • 筋皮神経麻痺 etc.

烏口突起炎

烏口突起に付着する筋肉1

烏口突起炎は肩関節周囲炎などに付随して起こりやすく、烏口突起の周囲に圧痛が認められます。

その中でも、烏口突起の上方に位置する靱帯に圧痛が強いか、下方に存在する筋肉に圧痛が強いかは鑑別しておく必要があります。

反復性肩関節脱臼の手術

烏口腕筋が肩関節外転・外旋時に上腕骨頭を前方から支えることは前述しましたが、手術においてもその役割は重要となります。

Boychev法では、烏口突起を切離したあとに肩甲下筋の下方をくぐらせ、再度、烏口突起に骨接合していきます。

もうひとつにBristow法がありますが、こちらは烏口突起を切離したあとに骨片を肩関節前下方部に移植します。

筋皮神経麻痺

筋皮神経と烏口腕筋

筋皮神経は烏口腕筋の筋腹を貫通しており、貫通後は上腕二頭筋と上腕筋に分布し、その後は前腕外側皮神経となります。

そのため、烏口腕筋に過度な緊張が存在すると筋皮神経麻痺を起こし、肘関節屈曲力の低下や、前腕外側の知覚異常を起こします。

烏口腕筋は結帯動作時に伸張されますので、その際に前腕外側に疼痛を訴えるケースでは烏口腕筋による神経絞扼が疑います。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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