【通所リハビリ】生活行為向上リハビリテーション実施加算の算定要件(要介護)

通所リハビリテーション(デイケア)において、生活行為向上リハビリテーション加算を算定する場合の要件に関する情報を掲載しています。

生活行為向上リハビリテーション加算の単位

報酬項目 単位
生活行為向上リハビリテーション実施加算/月 開始日から3月以内 2000
3月超6ヶ月以内 1000
生活行為向上リハビリテーション実施を継続した場合(基本利用額を6ヶ月間減算)/日 85/100

加算の算定要件

生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定するためには、以下の5つの要件を満たしている必要がある。

  • 生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士又は生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士若しくは言語聴覚士が配置すること
  • 目標及びリハビリテーションの実施頻度、実施場所及び実施時間等が記載された生活行為向上リハビリテーション実施計画書を作成すること
  • 当該リハビリテーションの終了前1月以内にリハビリテーション会議を開催し、目標の達成状況及び実施結果を報告すること
  • リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を算定していること
  • 短期集中個別リハビリテーション実施加算又は認知症短期集中リハビリテーション実施加算を算定していないこと

留意事項

①「生活行為」とは、個人の活動として行う排泄、入浴、調理、買物、趣味活動等の行為をいう。
②本加算におけるリハビリテーション(以下「生活行為向上リハビリテーション」という。)は、加齢や廃用症候群等により生活機能の1つである活動をするための機能が低下した利用者に対して、当該機能を回復させ、生活行為の内容の充実を図るための目標と当該目標を踏まえた6月間のリハビリテーションの実施内容をリハビリテーション実施計画にあらかじめ定めた上で、計画的に実施するものであること。
③生活行為向上リハビリテーションを提供するためのリハビリテーション実施計画の作成や、リハビリテーション会議における当該リハビリテーションの目標の達成状況の報告については、厚生労働大臣が定める基準第28号イによって配置された者が行うことが想定されていることに留意すること。
④通所リハビリテーション計画の作成に当たっては、注10の減算について説明した上で、当該計画の同意を得るよう留意すること。
⑤本加算の算定に当たっては、リハビリテーションマネジメント加算の算定が前提となっていることから、当該加算の趣旨を踏まえ、家庭での役割を担うことや地域の行事等に関与すること等を可能とすることを見据えた目標や実施内容を設定すること。
⑥本加算は、6月間に限定して算定が可能であることから、利用者やその家族においても、生活行為の内容の充実を図るための訓練内容を理解し、家族の協力を得ながら、利用者が生活の中で実践していくことが望ましいこと。また、リハビリテーション会議において、訓練の進捗状況やその評価(当該評価の結果、訓練内容に変更が必要な場合は、その理由を含む。)等について、医師が利用者、その家族、構成員に説明すること。
⑦リハビリテーション実施計画に従ったリハビリテーションの評価に当たっては、利用者の居宅を訪問し、当該利用者の居宅おける応用的動作能力や社会適応能力について評価を行い、その結果を当該利用者とその家族に伝達すること。なお、当該利用者の居宅を訪問した際、リハビリテーションを実施することはできないことに留意すること。

提供終了後の減算について

生活行為向上リハビリテーションの提供を終了後、同一の利用者に対して、引き続き指定通所リハビリテーションを提供することは差し支えないが、通所リハビリテーション計画の作成に当たって、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、同意を得る際には、6月以内の期間に限り、1日につき所定単位数の100分の15に相当する単位数が減算されることを説明した上で、当該計画の同意を得るよう留意すること。

Q&A(厚生労働省通達)

Q.生活行為向上リハビリテーション実施加算の取得が可能となる期間中に、入院等のためにリハビリテーションの提供の中断があった後、再び同一事業所の利用を開始した場合、再利用日を起算点として、改めて6月間の算定実施は可能か。
A.生活行為向上リハビリテーション実施加算は、生活行為の内容の充実を図るための目標を設定し、当該目標を踏まえたリハビリテーションの実施内容等をリハビリテーション実施計画にあらかじめ定めて、利用者に対して、利用者の有する能力の向上を計画的に支援することを評価するものである。入院等により、活動するための機能が低下し、医師が、生活行為の内容の充実を図るためのリハビリテーションの必要性を認めた場合に限り、入院前に利用していたサービス種別、事業所・施設にかかわらず、再度利用を開始した日から起算して新たに6月以
内に限り算定できる。
Q.生活行為向上リハビリテーション実施加算に係る減算について対象事業所となるのは、当該加算を取得した事業所に限ると考えてよいか。
A.貴見のとおりである。
Q.生活行為向上リハビリテーション実施加算の算定要件について「利用者数が理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の数に対して適切なものであること」とあるが、具体的には、人員基準を満たすか否かが判断基準となるのか。
 A.人員基準を満たすか否かに関わらず、生活行為向上リハビリテーションを実施する上で、適切な人員配置をお願いするものである。
Q.生活行為向上リハビリテーションの算定要件について、「生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験」、「生活行為の内容の充実を図るための研修」とあるが、具体的にどのような知識、経験、研修を指すのか。
A.生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識や経験とは、例えば、日本作業療法士協会が実施する生活行為向上マネジメント研修を受講した際に得られる知識や経験が該当すると考えている。生活行為の内容の充実を図るための研修とは、

  1. 生活行為の考え方と見るべきポイント、
  2. 生活行為に関するニーズの把握方法
  3. リハビリテーション実施計画の立案方法
  4. 計画立案の演習等のプログラム

から構成され、生活行為向上リハビリテーションを実施する上で必要な講義や演習で構成されているものである。例えば、全国デイケア協会、全国老人保健施設協会、日本慢性期医療協会、日本リハビリテーション病院・施設協会が実施する「生活行為向上リハビリテーションに関する研修会」が該当すると考えている。

Q.短期集中個別リハビリテーション実施加算と認知症短期集中リハビリテーション 実施加算(Ⅰ)・(Ⅱ)を3ケ月実施した後に、利用者の同意を得て、生活行為の内容の 向上を目標としたリハビリテーションが必要であると判断された場合、生活行為向上リ ハビリテーション加算のロに移行することができるのか。
A.可能である。ただし、生活行為向上リハビリテーションの提供を終了後、同一の利用者 に対して、引き続き通所リハビリテーションを提供することは差し支えないが、6月以内 の期間に限り、減算されることを説明した上で、通所リハビリテーション計画の同意を得 るよう配慮すること。
Q.平成 19 年 4 月から、医療保険から介護保険におけるリハビリテーションに移行し た日以降は、同一の疾患等に係る医療保険における疾患別リハビリテーション料は算定 できないこととされており、また、同一の疾患等について介護保険におけるリハビリテ ーションを行った月は、医療保険における疾患別リハビリテーション医学管理料は算定 できないこととされている。この介護保険におけるリハビリテーションには、通所リハ ビリテーション及び介護予防通所リハビリテーションが含まれているが、 ①通所リハビリテーションにおいて、「リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)」、「リ ハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)」や「短期集中個別リハビリテーション実施 加算」、 ②介護予防通所リハビリテーションにおいて、利用者の運動器機能向上に係る個別の計 画の作成、サービス実施、評価等を評価する「運動器機能向上加算」を算定していな い場合であっても、同様に取り扱うのか。
A.貴見のとおり。 通所リハビリテーションにおいて、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)、リハ ビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)や短期集中個別リハビリテーション実施加算を算 定していない場合及び介護予防通所リハビリテーションにおいて、運動機能向上加算を算 定していない場合であっても、介護保険におけるリハビリテーションを受けているもので あり、同様に取り扱うものである。
Q.生活行為向上リハビリテーション実施加算の取得に当たっては、利用者の居宅を訪問し、当該利用者の居宅における応用的動作能力や社会適応能力について評価を行い、その結果を当該利用者とその家族に伝達することとなっているが、そのための時間については、通所リハビリテーションの提供時間に含めるということで良いか。
A.通所リハビリテーションで向上した生活行為について、利用者が日常の生活で継続できるようになるためには、実際生活の場面での適応能力の評価をすることが重要である。したがって、利用者の居宅を訪問し、当該利用者の居宅おける応用的動作能力や社会適応能力について評価を行い、その結果を利用者とその家族に伝達するための時間については、通所リハビリテーションの提供時間に含めて差支えない。
Q.短期集中個別リハビリテーション実施加算又は認知症短期集中リハビリテーション 実施加算(Ⅰ)若しくは(Ⅱ)を3月間取得した後に、生活行為向上リハビリテーショ ン実施加算ロを3月間実施した場合であって、その後、同一の利用者に対して、通所リ ハビリテーションの提供を行う場合、減算期間は何月になるのか。
A.減算については、生活行為向上リハビリテーション実施加算を取得した月数と同月分 の期間だけ実施されるものであり、本問の事例であれば3月間となる。
Q.生活行為向上リハビリテーション実施加算を取得し、その後、同一の利用者に対し て、通所リハビリテーションの提供を行い、減算が実施されている期間中であったが、 当該利用者の病状が悪化し入院することとなった場合であって、病院を退院後に再度同 一事業所において、通所リハビリテーションを利用することとなった場合、減算はどの ように取り扱われるのか。 また、減算期間が終了する前に、生活行為向上リハビリテーション実施加算を再度取 得することはできるのか。
A.生活行為向上リハビリテーション実施加算は、加齢や廃用症候群等により生活機能 の1つである活動をするための機能が低下した利用者に対して、当該機能を回復させ、 生活行為の内容の充実を図るための目標と当該目標を踏まえた6月間のリハビリテー ションの実施内容をリハビリテーション実施計画にあらかじめ定めた上で、計画的に リハビリテーションを提供することを評価したものである。 当該加算に関係する減算については、6月間のリハビリテーションの実施内容を当 該実施計画にあらかじめ定めたものの、その後、同一利用者に対して、通所リハビリ テーションを利用することとなった場合、当該加算を取得した月数と同月分の期間だ け実施されるものである。例えば、5月間取得した場合は、5月分の期間だけ減算さ れる。 したがって、当該利用者の病状が悪化し入院することとなった場合は、あくまでも 減算が中断されたものであり、病院を退院後に再度同一事業所において、通所リハビ リテーションを利用することとなれば、必要な期間の減算が再開されることとなる。
生活行為向上リハビリテーション加算の算定要件
また、生活行為向上リハビリテーション実施加算と、それに関連する減算について は、一体的に運用がされているものであることから、当該加算は減算の終了後に再取 得が可能となる。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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