疼痛誘発組織を見つけるためには浅層から評価する

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触診にて痛みがある組織を見つけていく際には、浅層から評価していくことがセオリーです。

理由としては、最初に深層に触れようとすると必ずその表層にある組織も押すことになり、どこが問題か不明瞭となってしまうからです。

そのため、触診する際は押している部分がどの組織の層であるかをイメージしながら、圧痛の有無を確認していくことが必要となります。

痛みのある層について

疼痛誘発組織の層を大きく分類するなら、①皮膚、②浅筋膜、③深筋膜、④筋肉、⑤骨(骨膜や関節包)に分けられます。

筋肉が重なり合っている部分では、筋肉の深層にさらに深筋膜が存在していることもあるので、触診する部位でその構造はさらに複雑化します。

場所によっては脂肪体や靱帯、神経などを圧迫した痛みであるケースも考えらられるので、ある程度の解剖も理解しておく必要があります。

痛みのある層を評価する

皮膚については視診で損傷の有無がわかるので、可能なら直接に目で見てから皮膚の状態を確認します。

変性がみられるようなら、皮膚に刺激を入れることで普段の痛みが再現できるかを聴取してください。

次いで「浅筋膜」ですが、厳密には筋膜と呼ぶには程遠い存在であり、筋肉とは直接的な関わりはありません。

近年は浅筋膜よりも英語の「Superficial fascia」と表現されることが多く、皮下にある浅層の結合組織と理解しておいたほうが適切です。

浅筋膜は身体を形作っている組織であり、太っているヒトでは、その皮下脂肪までを含めたものになります。

触診方法としては、皮膚から皮下脂肪までをつまみ上げ、そこから前後(左右)に揺らすようにして滑走性と痛みの有無を確認します。

それで痛みが再現できるようなら、浅筋膜レベルの問題であると予測できます。

次いで「深筋膜」ですが、深筋膜の深層には皮下脂肪はありませんので、筋肉のみを形どった、全身を覆っている部分になります。

浅筋膜も深筋膜も全身を覆っているボディースーツのようなものですが、深筋膜のみではそのヒトの形を表現することはできません。

ただし、どちらも滑走不全が存在すると離れた部位(全身)に痛みが波及する可能性があるので、全身を繋げている重要な組織に変わりありません。

触診方法としては、筋肉の浅層に圧を加えて、押圧した指が深筋膜からズレないように注意しながら前後左右などに滑走させていきます。

筋肉の浅層だけでなく、筋間中隔(例えば胸腰筋膜深葉など)も深筋膜なので、身体の横断面についても知っておくことが大切です。

その際に滑走不全や痛みが再現できるようなら、深筋膜レベルの問題であると予測できます。

次いで「筋肉」ですが、痛みの原因としては、筋肉の緊張増大や筋線維の一部に索状硬結(トリガーポイント)が形成されることで起こります。

可能なら指先で筋線維束をつまむようにして、筋外膜だけではなく、筋周膜や筋内膜にまで限局的な刺激を入れて圧痛の有無を確認していきます。

最後に「骨(骨膜や関節包)」ですが、骨は硬いので他の組織と間違えることはほとんどありませんが、いくつか注意が必要な場所があります。

例えば、脛骨内側には筋肉が存在しないために容易に骨に触れることができますが、そのときに触れているのは皮膚と骨だけではありません。

前述したように深筋膜や浅筋膜も全身を覆っていますので、実際はそれらの組織にも刺激を加えていることになります。

シンスプリントに対して深筋膜へのアプローチが有効とされているのは、骨膜の問題だけでなく、表層の深筋膜が影響しているからと考えられます。

以上のことから、疼痛誘発組織を見つけるためには、表層から組織をイメージして触診していくことが重要といえます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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