神経運動器協調トレーニング(NMT)とは
神経運動器協調トレーニング(Neuromuscular Training:NMT)とは、
神経系と運動器(筋・関節・骨格)との協調性を高めるためのトレーニングです。
単なる筋力強化ではなく、**姿勢制御・バランス・予測的姿勢調整**を改善することを目的としています。ここでは、足部〜下肢を中心に神経―筋の協調を高める具体ドリルを解説します。
目的(4本柱)
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足指による地面把握:接地の安定を作る“最初の歯車”。
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遠心性収縮による衝撃吸収:着地・減速でのブレーキ性能。
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支持足機能(予測的姿勢調整):蹴る/投げる前に身体の揺れを先回りで制御。
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外乱への姿勢制御:不意の揺れ・滑りに即応するバランス能力。
主要ドリル(回数は目安。痛み0〜2/10で調整)
1) 足指・足底の把握力
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足指じゃんけん:各形5秒保持×5回。
- 座位:足の指でボールを掴みとり、となりに置いた入れ物の中に移す
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座位:タオルギャザー:1枚たぐり切り×2セット。
2) 遠心性(Eccentric)での衝撃吸収
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カーフレイズEcc:つま先立ち→3–4秒で踵を下ろす×10〜12回×2。
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ゆっくり座る(椅子へコントロールド・シット):8〜10回×2。
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ステップダウン(台10–20cm):3–4秒で降ろす×8回×2。
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軽いジャンプ→静かな着地:5回×2(痛みゼロの日のみ)。
3) 支持足機能(APAs)
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前後ランジで体重移動:前→後へゆっくり荷重×6往復×2。
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四股のように片脚リフト→ゆっくり接地:左右10回×2。
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ボール足乗せドリル:足で小さく多方向ロール→すぐ戻す(支持足で制動)30秒×2/側。
4) 外乱への姿勢制御
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不安定面での両脚立ち(半円筒/お椀型ボード等):30秒×2。
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第三者が軽い外力を与える中での立位保持:15–20秒×3。
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不安定面+キャッチボール:30秒×2(後期)。
器具がなくてもOK:畳や厚手マット=“柔らかい床”、タオル・ペットボトル=“簡易道具”として代用できます。
進め方のコツ
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痛みルール:鋭い痛み・不安定感は中止。張りは2/10以内。
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順序を守る:足指→足関節→膝→股関節→体幹の“上行連鎖”。
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小さく始めて段階的に:可動域と難度を少しずつUP。
評価方法
1.足指・足底の把握力
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足指把握テスト:タオルギャザー。タオル1枚を何秒でたぐれるか。
2) 遠心性(Eccentric)での衝撃吸収
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片脚バランス(床 or 柔らかい面):目標30秒ノーミス。
3) 支持足機能(APAs)
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ステップダウン:健側下肢を台の上から下に降ろす。膝が内に入らず、音なく接地できるか。
4) 外乱への姿勢制御
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ジャンプ着地:股・膝が同時に曲がり、上体が前に流れないか。
安全上の注意
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急性期の腫れ・熱感・強い痛みがある日は中止。
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前十字靱帯損傷・重度足関節不安定など既往がある場合は医療者/トレーナー監督下で実施。
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競技前は短時間・軽負荷、競技後や別日にしっかり実施。
研究的背景(要旨)
NMTは足関節捻挫や膝前十字靱帯損傷の発生率低下、着地・減速動作の力学改善が複数研究で示されています。実戦的な遠心性制御+バランス+支持足先行作動の組み合わせが鍵です。
よくあるQ&A
Q1:どれくらいで効果が出ますか?
A:週3〜5回で2〜4週ほどでバランスや足指の使い方に体感の変化が出やすいです。競技動作の安定は6〜8週を目安に。
Q2:器具がないとできませんか?
A:不要です。タオル、壁、階段、畳で代用可。不安定面は折り畳みマットや丸めたバスタオルでOK。
Q3:何を優先すべき?
A:まず足指の把握力と遠心性の減速。その上で支持足の予測的制御→外乱対応の順に。
Q4:痛みが出たら?
A:その種目は即中止。負荷・可動域を下げ、痛みが0〜2/10に収まるメニューへ戻しましょう。
Q5:チーム練習にどう入れる?
A:ウォームアップに足指ドリル1種+カーフEcc+片脚バランス(各30–45秒)を毎回固定で入れるのが効率的。
最終更新:2025-10-10
:足指・足底の把握力:タオルギャザー-300x300.png)
:遠心性(Eccentric)での衝撃吸収:カーフレイズ-200x300.png)
:支持足機能(APAs)-300x300.png)
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