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積極的に骨折の治癒を促進する方法|骨癒合までの日数


骨癒合促進のためのリハビリ治療に関する目次は以下になります。

骨癒合を促進することが課題

骨折に対する手術方法の発展や早期からのリハビリ介入が可能となり、以前よりも社会復帰までの期間が大幅に短縮できるようになりました。

その中で、リハビリの役割も骨折治癒後に残存した機能障害の後療法としての位置づけではなく、積極的な治癒促進として用いられるようになってきています。

ここでは、骨折の治癒を早めるための具体的な方法について解説していきます。

骨癒合までの日数(目安)

骨癒合の日数は、①骨折部の接合、②固定、③血流、④適度な圧迫刺激といった癒合の四条件によって大きく左右されることになります。

また、小児の場合は成人よりも20-30%ほど癒合が早く、反対に高齢者では通常より遅くなる傾向にあります。

下記の表は、各部位の正常過程における骨癒合までの最小値を示しています。大きな骨や骨端部における骨折ほど治癒までの期間が長くなります。

部位 期間 部位 期間
中手骨 2週 脛骨 7週
肋骨 3週 上腕骨頸部 7週
鎖骨 4週 下腿骨 8週
上腕骨 5週 大腿骨 8週
上腕骨体部 6週 大腿骨頚部 12週

骨が折れるための外力について

屍体を用いた実験によると、大腿骨は約300㎏の屈曲力を加えることで骨折が発生したことが報告されています。

また、屈曲力に加えて捻転力を加えると、屈曲力だけを加えた場合と比較して数分の一ほどの外力で骨折が発生したとしています。

階段の下りでは、理論上は膝に体重の7倍もの負荷がかかるとされており、体重50㎏のヒトで350㎏の負荷が加わる計算となります。

しかし実際は筋肉や滑液などによって負荷は分散されるため、骨にはそれほどの負担はかかっていません。

重要なのは外力の大きさではなく、負荷の加わる面積や緩衝作用の有無であり、骨が折れるときはそれらの条件が外れたイレギュラーな場合です。

それは例えば転倒や交通事故などが起きたときであり、骨折がそれらの原因で大半を占めているのもそれが理由です。

骨強度は30歳代をピークに次第に減少していき、70歳代ではピーク時の80%程度になります。強度には骨密度が70%、骨質が30%ほど関与しています。

通常なら骨折しないほどの弱い外力であっても、骨粗鬆症や骨腫瘍などで骨強度が著しく低下していると容易に骨折が起こります。これを病的骨折と呼びます。

閉経後15年で骨量は30%低下する

女性では閉経後の骨量低下が著しく、15年で最大骨量の30%が失われます。

閉経後は骨芽細胞の働きを活性化するエストロゲンの分泌が低下するため、破骨細胞によって壊された部分を補充するだけの骨組織が足りなくなります。

そのようにして徐々に骨質が溶けていき、中の骨密度が低下し、骨が脆くなっていくといった機序を辿ることになります。

骨粗鬆症は成人骨量の70%以下と定められているため、女性の50歳以上では3人に1人が該当するとされています。

骨粗鬆症の原因にはホルモン因子以外にも、運動不足や喫煙習慣、腸からのカルシウム吸収の低下といった要素が挙げられます。

骨折部位の整復方法

骨折箇所に転位がみられる場合は、まずは整復治療が行われます。

方法として、通常は長軸方向に牽引力を与え、さらに骨折の原因となった外力と拮抗する方向へ矯正力を加えていきます。

整復後は再転位を防ぐために、ギプス包帯やシャーレにて固定します。

関節周囲の骨折などで整復位の保持が困難なケースにおいては、持続牽引にて長軸方向に引っ張り、整復位を保持するようにします。

骨折に対する手術療法の分類

1.髄内釘固定

  • 髄内釘はプレート固定ほどの頑強な固定力はない
  • 閉鎖性の操作が特徴であり骨癒合が良好で感染率が低い

2.プレート固定

  • プレートによる圧迫固定法は骨折部を頑強に固定する
  • 組織壊死を最小限に骨癒合を誘導する生物学的固定へと変化している

3.創外固定

  • 解放骨折で患部が汚染されていたときに選択されやすい
  • 仮骨の形成前は完全固定、形成後は軸圧のみを許可する

4.骨移植

  • 骨欠損に対して腓骨や腸骨からの骨移植術が行われる
  • 血行の面で不利な点がある
  • 骨折面の形成と十分な接合面積が期待でき安定性がよい

骨癒合の過程について

骨癒合の過程は、①炎症期、②修復期、③再生期の三つの時期に分類され、これらの期間は一部で同時に進行していきます。

一般的に炎症期が短く、再生期が長い傾向にあります。骨癒合に対する積極的なリハビリ介入では、これらの治癒過程を促進することが必要となります。

1.炎症期

  • はじめに起こる時期であり、全体の10%に相当する
  • 骨膜が破綻し骨折により生じた間隙と髄腔内には血腫が形成される

2.修復期

  • 炎症期の次に起こる時期で、全体の40%に相当する
  • 血腫に新生血管が侵入し軟骨芽細胞は内軟骨性仮骨を形成する

3.再生期

  • 最後に起こる過程であり、全体の70%に相当する
  • 仮骨の再吸収と骨細胞への置換により癒合が完了する

骨癒合を促進するための方法

骨癒合には、①骨折部の接合、②固定、③血流、④適度な圧迫刺激といった癒合の四条件が必要となります。

これの四条件は前述した骨癒合の過程を促進する方向に働くため、骨癒合までの日数を短くすることが可能です。

以下に、その具体的な方法について列挙していきます。

部分荷重による適度な圧迫刺激

骨折部を長軸方向から適度に圧迫することにより、再生期にて仮骨が骨細胞へ置換される働きを促進させる効果を発揮します。

その方法として、最も用いられるのが下肢骨折に対する部分荷重です。修復期にて仮骨が形成されてきたら、徐々に荷重を加えていきます。

荷重量に関しては医師と相談しながらになりますが、仮骨の形成が認められてから、疼痛のない範囲で実施していくことになります。

以下に、荷重練習の方法と下肢にかかる荷重量の目安を記載します。

方法 荷重(目安)
平行棒内 20%
松葉杖 33%
ロフストランド杖 67%
Q杖 70%
T杖 75%

※平行棒内の荷重(目安)は、つま先のみを接地した場合になります。体重計を用いて、患者に荷重量を覚えてもらいながら練習していくことが推奨されます。

電気刺激療法(TENS)

TENSを仮骨形成の前段階である炎症期より実施することで、痛みや骨形成に対して比較的良好な結果が得られることが報告されています。

また、末梢血液循環の改善や周囲筋の萎縮予防にも効果が期待できます。

電極の配置は、骨折部位をサンドウィッチするように挟み込み、80Hz(パルス幅50μsec)で感覚閾値前後で実施します。

頻度は1日2回、毎回30分、3日間続けることが推奨されています。

超音波による非温熱効果

超音波はコラーゲン含有量が高い組織ほど吸収率が高く、その中でも骨は最も吸収しやすい部位に属しています。

通常、超音波治療の出力には1MHzと3MHzが用いられますが、骨は最深部にあるために深達性の高い1MHzを利用することになります。

治療効果として、細胞内カルシウムの増加や線維芽細胞による蛋白合成率を高める働きがあるため、修復期の仮骨形成を促進する効果が期待できます。

超音波治療を実施することで骨癒合までの期間を40%ほど短縮できたとの報告もあり、とくに難治性骨折に対しては有効であるとしています。

頻度は1日1回、毎回20分、骨癒合が完了するまで実施することが推奨されています。

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引用元:TEIJIN MEDICAL WEB

患部外トレーニング

骨折部の癒合には接合や固定が不可欠ですが、これらは癒合に必要な血流を阻害してしまう方向に働いてしまいます。

その対策として、患部の動きに影響を与えない周囲の筋肉をトレーニングすることにより、患部への血行を促進するように働きかけていきます。

ここに関してはリスクも伴いますので、骨折部が離開する方向に働く筋肉が収縮しないように最善の注意をはらっていく必要があります。

まとめ

以上のことをまとめると、骨折初期の炎症期にはTENSや患部外トレーニング、修復期には超音波療法、再生期には適度な圧迫刺激が効果的といえます。

前述したようにそれぞれの時期はオーバーラップしますので、これはあくまで目安であり、必要に応じて使い分けていいかと思います。

骨癒合の促進に関する研究は進んでおり、以前はベッカム選手が酸素テントを使用したことも話題になりました。(効果は不明です)

今後も医学の進歩とともに効果的な治療法が確立していくはずなので、最新の治験を取り入れながら積極的なアプローチを実施してみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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