筋膜性疼痛に上行性と下行性がある理由

問題のある部位とは離れたところに疼痛が起きる現象を関連痛といいますが、その原因の多くに筋膜が関与しています。

筋線維の一部は停止部とは別に筋膜に付着しますが、それがいくつも繋がっていくことで筋膜は全身を覆っています。

これが離れた部位に問題が波及する理由ですが、その痛みには上行性と下行性が存在しています。

例えば、足部の筋膜に問題があって腰痛をきたしている場合、問題部位より上に痛みが波及しているので上行性の疼痛になります。

それに対して、肩の筋膜に問題があって手指に痺れをきたしている場合、問題部位よりも下に痛みが波及しているので下行性の疼痛になります。

これらの違いはどこで生まれるのかを考えたときに、筋肉は基本的に停止部が動きますが、場合によっては起始部が動くのと似ている気がします。

どういうことかというと、例えば、腓腹筋は足関節底屈に働きますが、足関節が固定されている場合は膝関節屈曲に働きます。

これは停止側の足関節が動かない状態にあるため、起始側の膝関節が引っ張られることで動いている状態といえます。

私が経験している限りでは、筋膜性疼痛は基本的に下行性ですが、腰痛に関しては上行性であるパターンもかなり多いです。

これには立位姿勢が関与していると考えられ、立位では基本的に末梢の動きが出現しない(固定されている)状態にあります。

例えば、立位では腓腹筋が姿勢保持のために収縮していますが、足関節は中間位であるために底屈方向へは動きません。

そうすると膝関節側が引っ張られるように張力が働きますが、基本的に立位は膝関節も伸展位のため、その張力はさらに上行していきます。

その上の股関節も立位では伸展位であるため、その張力はさらに上行し、最終的に腰椎の椎間関節を伸展させるようにして収束します。

そうすると腰椎に過度な前弯が出現し、椎間関節を痛めるなどして腰痛を引き起こすことにつながるわけです。

これが立位姿勢で腰痛が増悪する原因のひとつであると考えられ、上肢ではあまり上行性の疼痛が出現しない理由ともいえます。

例外として、上肢でも術後の固定や術創の伸張性低下により、末梢の動きが制限されるために痛みが上行するケースはあります。

そのため、どの部位に伸張性低下(硬結)が存在しているか、どのような姿勢で痛みが出現するかは確認することが大切です。

このあたりがみえてくると筋膜の繋がりもより理解できるようになるので、意識しながらアプローチすると面白いですよ。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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