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維持期にはもう理学療法士はいらないんじゃないかって話

私は老人保健施設(いわゆる維持期)で働いている理学療法士ですが、以前からひとつだけ抱いていた疑問があります。その疑問を、三好先生の著書である「間違いだらけのリハビリテーション」という本が見事に解決してくれました。

本当に清々しいぐらいに胸に響きましたよ。その疑問というのは、「維持期に理学療法士はいらないんじゃないか」ってことです。何故、私がそのような考えに至ったかを書いていきたいと思います。

老健から自宅復帰できない理由

老健はリハビリをして在宅復帰を目指す場所であるにも関わらず、ほとんどの方々は自宅に帰ることができません。帰れない理由として、端から家族が受け入れる気がない場合もあれば、在宅復帰できるまでの状態に改善しない場合もあります。

また、積極的に在宅復帰させるよりも、ずっと入居してもらって部屋を回転させない方が経営効率がいいといった施設側の不純な理由まで存在します。

今回の介護報酬改定にて、在宅復帰している施設をより評価するように加算が引き上げられましたが、実際はそれでもまだ足りないぐらいです。厚労省に言ってやりたいですよ。頑張ってるところはもっと評価しろって。

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老健でのリハビリ頻度について

老健では、基本的に週2回(1回20分)のリハビリを実施することが法律で定められています。はっきり言って、この回数だけを実施してもまったく改善は望めません。

むしろ、頻度が少なすぎて状態は低下していく可能性すらあります。しっかりとした老健では、週2回といった枠にとらわれず、毎日のようにリハビリを実施して状態の改善に取り組んでいます。

しかしながら、週2回やっても週5回やっても料金は変わらないので、職員を減らすことで経費を削減している施設もあるほどです。その煽りを受けているのが、なにを隠そう理学療法士です。

リハビリだけに全てを任せても効果は出ない

たとえ週5回のリハビリを実施しても、リハビリの時間以外は車椅子で一日中座っているだけの生活であれば、やはり効果は出てきません。

また、体力がない高齢者に20分の運動を実施しても、実際にはその半分以上は休憩時間にとられてしまいます。そんな状態では、いくら時間があっても足りませんよね。

本当に素晴らしい老健というのは、生活の中で介護士が歩行を見守りで行っていたり、レクリエーションに明確な目的を持っていたり、生活の随所でリハビリを取り入れています。

老健の生活は一日のすべてがリハビリであり、在宅復帰につなげていくことを理解しておかなければなりません。そんな共通認識を持つことって本当に大切なことだと思います。

理学療法士がいなくても効果のあるリハビリは可能

「間違いだらけのリハビリテーション」に書かれていた方法は、「起立-着席運動」です。とてもシンプルな方法ですが、これが本当に凄まじいまでの効果を発揮しています。

それを三好先生が実際に行った結果として証明してくれました。まず、その回数が凄くて、一日に400-600回を実施するそうです。本気で状態を改善しようと考えたら、これだけの頻度と量の運動が必要だということです。

そう考えたら、ほとんどの施設はまったくと言っていいほどに量が足らないことがわかるはずです。しかも、これならリハビリの専門職がいなくたって実施することができます。

もうマジで維持期に理学療法士なんていらないんじゃないかって気になります。

実際にどれだけの効果があるか

以下の表は、脳卒中を発症した患者が回復期病棟で平均156日間入院して専門的リハビリを受けた後、再入院して起立-着席運動を平均69日間入院して実施した後の状態変化です。実に80%の患者が改善を示しています。

再リハビリ後
  不能(9) 介助歩行(10) 監視歩行(11) 室内自立(12) 屋外自立(4)
不能(17) 9 6 1 1
介助歩行(18) 4 10 4
監視歩行(6) 0 6
室内自立(5) 1 4

まさに驚きの効果です。方法の詳細については本書を確認していただきたいのですが、ざっくりと書くと1セットが50-80回、1日に6-8セットを実施することで400-600回という数を実現しています。

また、筋力が弱い方にはシートを高くして楽に実施できるようにし、筋力が付いていくのと同時にシートを少しずつ下げるようにしているそうです。たったこれだけです。これなら誰にだって出来ますね。

いまだにふざけたリハビリを実施するリハビリ職

以前にも書きましたが、もう動かない麻痺側の上肢をマッサージして終わりとかいうふざけたリハビリが、今もまだ維持期では平気で行われていたりします。

そんなことばかりしてるから、リハビリは役割を果たしていないと責められ、単位がガンガン削られ続けているのではないでしょうか。

これはもう現場の責任以外のなにものでもありません。ただし、先ほども述べたように、リハビリの時間だけでは改善なんてほぼ不可能です。

それを他職種にも理解していただき、連携して取り組んでいくことが必要不可欠です。なにもしないのが一番楽でしょうが、理想なき現実に未来はありませんよね。

しっかりとした理学療法士もいますよ。

ここまでに維持期のリハビリをボロクソに言ってきましたが、もちろん、しっかりと頑張っている人たちも多くいらっしゃいます。

それに、在宅復帰のためにはいくつもの細かな問題が出てきますが、それらを解決する手段を考えられるのは、おそらく全職種の中でリハビリ職が最も優れているはずです。

理学療法士の閉鎖しきった未来を切り開くためにも、それぞれが地道に結果を出し続けることが大切ではないでしょうか。維持期で結果を出したいあなたへ、「間違いだらけのリハビリテーション」はお勧めですよ。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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