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肩関節の触診部位と検査方法


肩関節を診ていく場合に、最低限に確認しておくべき触診部位と検査について解説しています。

肩関節の触診部位

触診を実施していく際は、骨格の形態、炎症の有無(腫脹・発赤)、付着筋の萎縮、圧痛の有無を確認していきます。

1.肩関節前方

肩関節前面|触診部位
部位 主な疾患
胸鎖関節 胸鎖関節炎、胸鎖関節脱臼
鎖骨 鎖骨骨折
肩鎖関節 肩鎖関節炎、肩鎖関節脱臼、鎖骨遠位端骨折
肩峰下滑液包 肩峰下滑液包炎、腱板断裂、石灰沈着性腱板炎
腱板疎部 腱板疎部炎、烏口上腕靱帯損傷
烏口突起 烏口突起炎、烏口突起骨折
結節間溝 上腕二頭筋長頭炎、上腕二頭筋長頭断裂
上腕骨小結節 肩甲下筋損傷

2.肩関節側方

肩関節側面|触診部位
部位 主な疾患
肩峰 肩峰骨折
上腕骨大結節 棘上筋損傷、棘下筋損傷、石灰沈着性腱板炎
上腕上外側部 腋窩神経麻痺(知覚異常)、肩関節脱臼、loose shoulder

3.肩関節後方

肩関節後面|触診部位
部位 主な疾患
肩甲骨上角 僧帽筋の過緊張、肩甲挙筋の過緊張
棘上窩 棘上筋損傷
大結節後方 棘下筋損傷、小円筋損傷
四角腔 腋窩神経麻痺
棘下窩 棘下筋損傷、肩甲上神経麻痺
肩甲骨内側縁 長胸神経麻痺(翼状肩甲)、菱形筋の過緊張
肩甲骨下角 広背筋損傷、大円筋損傷

肩甲骨の位置を確認する

肩甲骨と胸郭は筋肉のみで連結される関節であるため、付着する筋肉の異常によって容易に位置がずれてしまいます。

正常な肩甲骨は第2-7肋骨の上に位置しており、肩甲棘は第3胸椎レベルにあります。

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肩甲骨の動きは平面上で6方向あり、以下にそれぞれの動きに関与する筋肉を記載しています。位置の異常が認められる場合は、関与する筋の異常を確認してください。

肩甲骨の動きと筋肉

肩甲上腕リズムを確認する

肩関節の可動域を測定する際は、肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の共同運動がスムーズに行えているかを確認する必要があります。

正常であれば、肩関節外転180度の場合に肩甲胸郭関節が60度、肩甲上腕関節が120度の可動域を担います。

肩甲上腕リズム

肩の痛みの原因を探る診断チャート

肩の痛みに対する簡易的な診断チャートを用いながら、肩痛の原因がどこにあるかを解説していきます。

肩関節痛に対する診断チャート

レントゲンで骨の異常を確認

病院などを受診した場合は、まずは単純X線(レントゲン写真)にて骨に異常がないかを確認していくことになります。

骨折や脱臼の場合は、受傷機転がはっきりとしている場合がほとんどですので、とくに間違えられることもありません。

石灰性腱板炎とは、肩関節の中にある筋肉(多くは棘上筋腱)に石灰(カルシウム塩)が沈着することで炎症が生じ、肩に激痛が走るようになることが特徴です。

レントゲン写真で簡単に診断は可能ですが、接骨院などでは五十肩(肩関節周囲炎)と間違えられやすいので注意が必要です。

軟部組織の問題を検査する

骨に異常が認められなかった場合は、筋肉などの軟部組織に問題がないかを確認するためにMRI検査を実施します。

肩の痛みで多いのは、腱板筋(肩の深部にある筋肉)や上腕二頭筋長頭(肘を曲げる筋肉)の炎症です。

肩峰下滑液包とは、関節や筋肉の中に位置している潤滑油のようなものであり、肩関節が動くことで中の組織が擦れることを防止する役割があります。

しかし、なんらかの障害で滑液包に炎症が起きた場合は、うまく筋肉が滑走せずに痛みを生じることになります。

肩関節周囲炎

画像検査で異常がない場合

レントゲン写真やMRI検査にて異常が認められず、痛みが長期間にわたって長引いている場合は肩関節周囲炎といった診断名になります。

これは痛みの原因部位が特定できないときに付けられる名称であり、診断名としては曖昧な表現になります。

そのため、MRIなどの精密検査が実施できない医療機関などでは、しばしば腱板筋損傷や肩峰下滑液包炎も含めてまとめられる場合があります。

五十肩や四十肩は肩関節周囲炎と同義語であり、その年代に発生しやすいことからそう呼ばれるようになりました。医学用語では肩関節周囲炎と表現されます。

肩関節周囲炎と腱板損傷を鑑別する

MRIなどの精密検査を実施せずに鑑別する方法として、以下のポイントを診ていくことが有用です。

  1. 肩関節周囲炎では、90%に烏口突起の圧痛がある(腱板断裂は11%、石灰沈着性腱板炎は14%)
  2. 肩関節周囲炎では、95%に肩外転時の代償運動(肩甲骨拳上)が出現する
  3. 腱板損傷では、周囲炎と比べて拘縮が少なく、外転60-120度の範囲で痛みが出現する(それ以上では痛みが楽になる)
  4. 腱板損傷では、挙上時に軋轢音(ミシミシ)が発生する
  5. 腱板損傷では、球技などの既往歴がある場合が多い

腱板損傷と肩峰下滑液包炎を鑑別する

腱板筋と肩峰下滑液包は密接しているため、徒手検査のみで確実に鑑別することはほとんど不可能といえます。

提唱されている方法としては、手のひらを下に向けた状態で肩を外側に開いていくことにより、関節の圧迫を高める方法があります。

痛みの原因が痛みの場所にない場合

肩の痛みがどの部分にあるか指差してもらったときに、一本指でピンポイントに痛みの部位を指す場合はそこに疼痛の原因があります。

しかし、手の平で肩あたりを包み込むようにして「この辺りが痛む」と訴える場合は、痛みの原因がそこにない可能性が高くなります。

肩の痛みの訴え方 ワンポイントフィンガー

肩あたりに痛みが存在する場合

なぜ痛む場所と原因部位が違うところにあるかを理解するためには、神経の走行を知っておく必要があります。

①関節包の短縮

肩を包み込むようにして痛みを訴える場合は、一見すると三角筋に原因があるように見えます。

しかし、多くの場合は三角筋ではなく、三角筋を支配している腋窩神経に問題があります。

腋窩神経は上腕骨頭の下部を走行しており、下方の関節包を支配しています。下方の関節包に短縮があると、腋窩神経が圧迫されて三角筋部に痛みを感じます。

三角筋部に痛みが起こる理由

②QLSの狭小化

QLS(Quadri lateral space)は、①大円筋、②小円筋、③上腕三頭筋長頭、④上腕骨からなる間隙で、腋窩神経や後上腕回旋動脈などが通過しています。

そのため、これらの筋肉に攣縮や短縮が認められると、肩関節挙上時に腋窩神経が圧迫されて痛みを生じます。

QLSの問題が考えられる場合は、大円筋や小円筋、上腕三頭筋長頭に過度な緊張がないかを確認してみてください。

三角筋部に痛みが起こる理由|QLS

③棘上筋のトリガーポイント

棘上筋は肩関節の中で最も損傷しやすい筋肉であり、筋硬結が形成されると肩外側から肘にかけて関連痛が生じます。

棘上筋のトリガーポイントは起始付近に出現しやすいため、ストリッピングしながら圧痛の有無を確認していきます。

もしも圧痛点が見つかり、圧迫することで痛みの再現ができた場合は、棘上筋が疼痛の原因と推察されます。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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