腸脛靭帯炎(ランナー膝)のリハビリ治療

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腸脛靭帯炎の病態とリハビリ方法について解説していきます。

腸脛靭帯の概要

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腸脛靭帯は大腿外側の筋膜が肥厚したものであり、厳密には靱帯ではなく、大腿筋膜の一部になります。

腸脛靭帯は大腿外側を下行していき、大腿骨外側上顆を越えて、脛骨粗面の外側(ガーディー結節)に停止します。

一部の線維束(最浅層の前方線維)は膝蓋骨の外側から表面に停止し、外側膝蓋支帯となります。

腸脛靭帯は、①大殿筋(表層筋束)、②中殿筋(表層筋束)、③大腿筋膜張筋の3つの筋肉から構成されています。

腸脛靱帯炎の病態

腸脛靱帯炎は膝関節の屈曲と伸展が繰り返されることにより、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆が擦れることにより生じます。

正常のアライメントなら炎症を起こすことはほとんどありませんが、大腿骨外旋や脛骨内旋、膝関節内反があるヒトでは腸脛靭帯が伸張されることで摩擦力が増加します。

その状態で膝の屈伸が反復される運動(ランニングや自転車など)を行うと、腸脛靱帯炎を引き起こすリスクが高まります。

通常、走り始めたときに痛みはなく、しばらく走っていると痛みが出現し、さらに走り続けると痛みが増すことが特徴です。

ランニングを主体とするスポーツに多く発生するため、別名でランナー膝と呼ばれることもあります。

整形外科検査

グラスピングテスト
方法)大腿骨外側上顆の近位部を圧迫して膝関節を伸展させる
意味)腸脛靭帯と外側上顆部に摩擦力を高める
判定)腸脛靭帯炎が存在すると屈曲30度付近で疼痛を訴える

リハビリテーションの考え方

腸脛靱帯炎を起こす患者の多くは腸脛靭帯のタイトネスを有しており、その原因には、①股関節外旋(内旋制限)、②足部内反があります。

歩行時の立脚初期には骨盤も大腿骨も下腿骨も最初は内旋しますが、後期になると全て外旋していきます。

そのため、基本的には歩行で膝関節が捻れが生じるはありませんが、前述した問題を含んでいる場合は捻れる可能性があります。

①股関節外旋(内旋制限)

立脚初期に大腿骨が過度に外旋しているケースでは、脛骨との捻れ(脛骨内旋)が生じてしまうことがあります。

このパターンは股関節に内旋制限のある男性に多いことが特徴で、膝蓋骨が外向きにある姿勢を呈しやすいです。

脛骨が内旋方向に捻じれると腸脛靭帯に伸張ストレスが加わることになり、タイトネスや圧痛を有することにつながっていきます。

そのような患者では腸脛靭帯や股関節内旋のストレッチングに加えて、普段から膝蓋骨を正面に向けるように意識して立つように指導します。

腸脛靭帯を緩める方法としては、側臥位にて股関節外転および膝関節屈曲位とし、腸脛靭帯を短縮させた状態で外転方向に収縮させます。

3秒ほど収縮させると腸脛靭帯は緩みますので、そこから股関節を内転させて伸張位に持っていくようにして伸ばしていきます。

②足部内反

立脚後期に足部内反(甲高)が生じるケースでは、下腿が内旋してしまうことで膝関節に捻れが生じます。

単純に足部が内反するだけでは膝関節も内反しそうですが、実際には歩行時に内反すると脛骨は内旋して下肢は内方に傾斜していきます。

そうすると膝関節外側の圧が高まることになり、ストレスが繰り返されることで変形性膝関節症(X脚)の原因になります。

治療では足部外反の運動を実施したり、足底板を利用することで足部内反を改善させることが有効です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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