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鎖骨骨折のリハビリ治療


鎖骨骨折のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

鎖骨骨折の概要

鎖骨骨折は、ラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツで発生しやすい骨折であるため、若年者に比較的多い骨折でもあります。

全骨折の10-15%を占めるといわれており、新生児から高齢者まであらゆる年代に発生します。血行がいい部位ですので、若年者の多くは保存治療で治癒します。

整復しやすい部位ですが、付着する筋肉の収縮により動きやすい部位であるため、整復位が保持しにくい状態にあります。

鎖骨骨折

鎖骨中枢骨片は上後方へ、末梢骨片は下方へ転位して短縮することが多いため、治療期間中はポジショニングに注意します。

骨癒合が得られるまでは肩甲上腕関節の拘縮予防に努め、肩関節の複合運動は医師に確認してからの開始となります。

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引用画像(1)

鎖骨の構造

鎖骨は胸骨と肩甲骨を連結するS字状の長骨で、内側端は胸骨と胸鎖関節を構成し、外側端は肩甲骨と肩鎖関節を構成しています。

古代中国では、鎖骨の後方に穴を空けて、鎖を通して囚人の脱走を防いだことから鎖骨と名付けられたそうです。

鎖骨

鎖骨の持つ機能的役割

  1. 肩甲骨を支持して上肢が自由に動かせるよう上腕骨を躯幹から遠ざける
  2. 筋の付着できる骨格を与える
  3. 血管および神経を保護する
  4. 烏口鎖骨靱帯を介し僧帽筋の肩甲骨支持力を与える
  5. 肩甲骨の可動性を増す

鎖骨骨折の予後

予後は良好で、鎖骨骨折のほとんどは保存療法で治癒します。完全に癒合するまでには、若年者で約2ヶ月、高齢者では4,5ヶ月かかる場合もみられます。

転位の大きいものや粉砕骨折などでは手術が適応となる場合もあります。また、鎖骨中1/3の骨折では、2㎝以上の転位にて短縮や偽関節の頻度が増加します。

ただし、偽関節を呈したところで生活に大きな支障がない場合も多いようです。

”【偽関節とは】骨折部がつながらないままに骨癒合が終了した状態を指す。骨折の重篤な後遺症のひとつである。隙間は結合組織で満たされ、異常可動性が認められる。
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鎖骨の脆弱部

鎖骨を横断面で見ると、中央部の丸形から外側に移行するにつれて三角形の形状になっていきます。

この丸形から三角形へ移行する部分が脆弱部とされており、鎖骨骨折の8割がこの部分で発生します。

鎖骨部の脆弱ポイント

鎖骨に付着する筋肉

鎖骨に付着する筋肉
筋肉 起始 停止 作用
胸鎖乳突筋【鎖骨頭】 鎖骨内方の1/3 側頭骨の乳様突起、後頭骨の上項線 頸部の回旋、側屈、屈曲回旋
三角筋【鎖骨部】 鎖骨の外側1/3の前縁 上腕骨の三角筋粗面 肩関節屈曲,水平外転,内旋
大胸筋【鎖骨部】 鎖骨の内側半分 上腕骨の大結節稜 肩関節の水平内転、屈曲(鎖骨部)
鎖骨下筋 第1肋骨の軟骨境界あたりの前面 鎖骨の外側で下面 鎖骨を前下方に引き下げ
僧帽筋【上部線維】 後頭骨上項線、外頭骨隆起、項靭帯を介して頸椎の棘突起 鎖骨外側1/3 肩甲骨の上方回旋、内転、挙

※特に鎖骨の脆弱部である中央よりやや外側に付着する三角筋については注意を払う。

保存療法について

ギプスや三角巾、鎖骨バンドなどを用いて外固定を行います。基本的には、痛みがないようならADLでの患側上肢の使用は許可されます。

過剰に制限しすぎると、かえって拘縮などの原因となってしまい、肩関節の機能を低下させてしまう恐れがあります。

偽関節となっても生活に大きな支障はないので、痛みがないようなら過剰な制限はしないことが大切です。

リハビリテーション

1.安静期(受傷後から約4週間)

方法 内容
装具療法 ギプス、三角巾、鎖骨バンド
生活指導 負担のかからない動作指導
運動療法 周囲筋リラクゼーション、モビライゼーション
物理療法 超音波療法

2.運動期(約4週間以降)

方法 内容
装具療法 鎖骨バンド
運動療法 関節可動域運動、振り子運動

生活指導

鎖骨骨折では、鎖骨の回旋が生じるため、骨癒合が完了するまでは肩関節の屈曲(90度以上)や水平屈曲は控えることが大切です。

筋収縮が入ることで骨折部が動いてしまい、骨癒合が遅延しますので、できる限りに鎖骨に付着のある筋肉の緊張や収縮は抑えるようにします。

固定肢位によって前胸部を含む体幹前面の柔軟性が低下することがありますので、深呼吸の練習や体幹下部・骨盤体からアプローチすることも有用です。

装具療法(三角巾と鎖骨バンド)

受傷して約2週間はギプスや三角巾にて固定となるのですが、一人でも簡単に装着できる三角巾としてアームスリングはお勧めです。

メッシュ素材で通気性に優れており、左右兼用で使用できます。また、位置調節が可能なパッドがあるので、通常の三角巾と比べて快適な装着感があります。

痛みが落ち着いたら三角巾は除去することになりますが、その後は鎖骨バンドを装着することで肩関節を外転位に保持し、鎖骨部への負担を減らすようにします。

鎖骨バンドがあることで、日常生活の中で患側の上肢を使用しても、離開しにくい状態で過ごすことが出来ます。また、一人でも簡単に着脱が可能です。

超音波による骨癒合促進

超音波の非温熱効果として、細胞内カルシウムの増加させ、骨折部の仮骨形成を促進させる働きがあります。

通常、骨折に対する超音波は深達性があって温熱効果の少ない1MHzが使用されますが、鎖骨は皮下なので3MHzの低出力でも構いません。

頻度は1日1回、毎回20分、骨癒合が完了するまで実施します。

鎖骨骨折は血行がいい部位なので使用される頻度は少ないですが、粉砕骨折のように早期の治癒が望まれる場合は有効な手段となります。

関節可動域運動

固定期間中に拘縮が起こらないように、周囲筋のリラクゼーションや関節モビライゼーションを用いて軟部組織を伸張していきます。

仮骨が形成されてからも鎖骨の付着筋に強い収縮が入らないように注意し、振り子運動などのように力が抜けた状態で実施できるメニューを中心に行います。

完全に癒合するまでに若年者で2ヶ月、高齢者では4ヶ月以上もかかる場合があるので、本格的なトレーニングはそれから実施していくことになります。

引用画像/参考資料

  1. 古東整形外科

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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