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頚椎症性神経根症のリハビリ治療


頚椎症性神経根症のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

頚椎症性神経根症の概要

頸椎の神経根がヘルニアや骨棘により圧迫され、その神経根の支配領域に疼痛やしびれなどの知覚障害や筋力低下を引き起こした状態をいいます。

発生初期は片側の頚部から肩甲骨周囲の痛みが主訴で、進行すると上肢や手指にかけての鋭い痛みやしびれが出現する場合が多いです。

頚椎症性神経根症では、単独の神経根が障害されるため、その支配領域に限局した末梢性麻痺が現れます。

一般的に6ヶ月で症状の70%が自然消失しますので、保存療法が第一選択となり、手術にまで至るケースは稀です。

1.正常な頸椎
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2.頚椎症性神経根症
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頚椎の加齢的変化

頚椎は加齢的変化に伴い、①椎間板変性(膨隆やヘルニア)、②靱帯の肥厚、③骨棘の形成などが起こります。

これらの変化は脊柱管や椎間孔に狭窄をきたし、脊髄や神経根を圧迫して様々な症状を発現する原因となります。

このような頸椎の加齢的変化を変形性頚椎症、略して「頚椎症」と呼びます。頚椎症に伴って神経根症状が出現している場合を、頚椎症性神経根症と呼びます。

頚椎症は一般的な加齢的所見であるため、それ自体は障害ではありません。頚椎症によって症状が発現した場合に、そこではじめて障害と診断されます。

好発部位は、①C5-6、②C6-7、③C4-5の順に多いですが、加齢に伴う変性であるため、最終的には全頸椎レベルに起こります。

首の痛みに対する診断チャート

症状の増悪について

頸椎の神経(神経根)は、側方の椎間孔より通過して末梢に伸びていきます。

頸椎に伸展や側屈動作が加わることで椎間孔は狭小化するため、神経根の圧迫がある症例では動きに応じて症状の増悪が認められます。

1.頸椎(中間位)
頸椎|側面
2.頸椎(伸展位)
頸椎|体幹伸展時

椎間孔を他動的に狭小化させる徒手検査として、ジャクソンテストやスパーリングテストがあります。これらで麻痺症状が増悪する場合は椎間孔に原因があると推察できます。

1.Spurling test
スパークリングテスト
頚椎を患側へ後側屈させて軸圧を加える。椎間孔が狭小化することで神経根症状を増幅させることができる。(感度:0.77、特異度:0.92)
2.Jackson test
ジャクソンテスト
頚椎を後屈位にして頭部を下方に圧迫する。患側の上肢に放散痛が生じたら陽性となる

知覚よりも筋力を優先する

上肢に関しては、知覚の神経支配(デルマトーム)は神経間の重なりや個人差が大きいため、筋肉の神経支配(ミオトーム)のほうが信頼性が高いとされています。

そのため、知覚にて障害部位を特定していく場合は、重なりなどの要素も考慮しながら、慎重に診ていく必要があります。

神経根 C5 C6 C7
腱反射 上腕二頭筋反射↓ 腕橈骨筋反射↓ 上腕三頭筋反射↓
筋力低下 三角筋 上腕二頭筋 上腕三頭筋
感覚障害 上腕外側 前腕外側,母指,示指 示指,中指
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診察でチェックする項目

  1. 頭部の位置、頸椎の動き
  2. 頸部の圧痛点、頸椎の叩打痛
  3. 神経学的所見(深部腱反射、知覚、筋力、巧緻運動)
  4. Spurling test、Jackson test
  5. 手根管/肘部管のTinel徴候

リハビリテーション(保存療法)

神経根の圧迫を軽減するためには、牽引療法や関節モビライゼーションなどの手技によって頸椎を離開させる方法が有効とされています。

また、生活動作時に負荷のかかる動作を避けるように指導を実施することや、頸椎装具などで運動を制限することも併行して必要となります。

他にも、温熱療法やレーザー治療、経皮的末梢神経電気刺激(TENS)などの物理療法が臨床では多用されます。

生活動作の指導/環境調整

頚椎症の治療目的は、自然治癒を促進し、悪化を防ぐことにあります。そのためにも、まずは神経を圧迫する姿勢を探し出すことが必要になります。

例えば、頸椎伸展で症状の憎悪がみられる場合、伸展動作は神経を圧迫している考えられるため禁忌動作となります。

非常に単純な理屈ではありますが、まずはこれらの動作を制限するように生活指導を行い、必要に応じて、頸椎固定カラーなどの装具で強制的な制限を加えていきます。

とくに就寝時の姿勢も大切で、枕の高さを調節して頚部を前屈位となるように整えることで、症状が緩解する場合もみられます。

下記は神戸枕と呼ばれており、とくに神経根症の方で効果を発揮します。

姿勢の改善トレーニング

不良姿勢が頚部への負担を増加している場合もあるため、姿勢の改善トレーニングが症状改善に有効となるケースも多いです。

例えば、最近はパソコンでのデスクワークが増えてきていますが、猫背となっている人では頸椎の後屈(前弯)を増加させて保っている場合があります。

 正常 円背姿勢 
座位と頸椎の関係 円背が頚部痛を引き起こす理由

この姿勢は頸椎下部への負担が大きいので、結果的に頸椎の退行的変化を助長させることになります。

なので、この場合は背筋群などにアプローチして、姿勢保持を楽に行えるように矯正トレーニングを実施していくことが大切です。

関節モビライゼーション

頚部痛に対する他動的な関節操作は、疼痛の除去や可動範囲の拡大に効果的であることがいくつか論文で示されています。

実際に臨床場面において、徒手療法は患者満足度も高いため、プラセボ効果を期待するうえでも実施する意味はあります。

具体的な方法として、患者にはベッド上で仰向けをとってもらい、施術者は頭部側に椅子を置いて腰掛け、患者の頭部を両手で把持します。

筋肉の緊張が抜けていることを確認し、両手で頸椎をゆっくりと牽引していきます。そこから頸椎を様々な方向に低速度かつ低振幅で操作を加えていきます。

【Evidence】1年以上持続する慢性的な頚部痛,かつ若齢患者に対しては,理学療法よりもマニピュレーションの方が疼痛に対する不満において,大きな改善を認めた。(Koes BW. 1993.)

自主的に実施できる牽引療法

頚椎症と診断されて病院に通われている人たちは多いと思いますが、その大半の方々が頸椎の牽引療法をされているのではないでしょうか。

牽引療法で頚部痛や痺れが少しでも楽になるという方には、自宅でも実施できるエアーネックストレッチャーがお勧めです。こちらはひとりで簡単に頸椎の牽引が可能となります。

ちなみに自分も愛用していますが、横になって筋肉をリラックスした状態で実施することでより離開することができています。

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物理療法

頸部痛に対する物理療法として、ホットパック、低出力レーザー、TENSなどが選択される場合が多く、その効果についてはプラセボよりも優位に疼痛が軽減したとの報告があります。

しかし、これらの治療で根本的な原因が改善されるわけではありませんので、一時的な疼痛軽減という意味合いで実施することが望まれます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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