頸部神経根症のリハビリ治療

頸部に起きる神経根障害(頚椎椎間板ヘルニアと頚椎症性神経根症)のリハビリ治療に関して解説していきます。

頚椎の加齢的変化

頚椎は加齢的変化に伴い、①椎間板の変性(線維輪の膨隆や髄核の脱出)、②黄色靱帯の肥厚、③椎間関節に肥厚などが起こります。

これらの変化は脊柱管や椎間孔に狭窄をきたし、脊髄や神経根を圧迫して様々な症状を発現する原因となります。

神経根症を圧迫する原因は大きく分けて2つで、頚椎椎間板ヘルニアと頚椎症性神経根症があります。

神経根症の好発部位としては、①C5-6、②C6-7、③C4-5の順に多く発生します。

ちなみに、C5-6は第5頸椎と第6頸椎のことであり、C5-6の椎間孔からは第6頚神経が通過しているため、C6神経根障害を意味します。

頚椎椎間板ヘルニアとは

頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎の間にある椎間板というクッションが加齢によって変性し、後方に出て神経を圧迫する障害です。

後方に飛び出すと脊髄を圧迫して脊髄症が発生し、斜め後ろに飛び出すと神経根を圧迫して神経根症となります。

好発年齢は30〜50歳代で、原因としては、悪い姿勢でのデスクワークやラグビー、アメフトなどのコンタクトスポーツが挙げられます。

頚椎症性神経根症とは

頸椎は加齢によって周囲組織に変性をきたしやすい場所であり、変性が進行すると頚部に痛みを訴えるようになり、その状態を頚椎症と呼びます。

椎間関節の肥厚などで椎間孔が狭窄すると、そこを通る神経根が圧迫されて神経障害を起こすことになります。

それを頚椎症性神経根症(頚椎の加齢的変化に伴う神経障害)と呼びます。

黄色靭帯の肥厚などで脊柱管が狭窄すると、神経根ではなく脊髄が圧迫されるため、頚椎症性脊髄症という診断名になります。

加齢による変化であるため、主に50歳以上に発生しやすいです。

頚神経の支配領域

神経根が圧迫されると、その神経の支配領域に疼痛やしびれなどの知覚障害や筋力低下を引き起こします。

そのため、神経根障害の有無を検査するためには、①腱反射、②筋力低下、③感覚障害の3つを確認することが大切です。

以下に、頚椎症性神経根症で障害を受けやすい神経の支配領域を示します。

神経根 C5 C6 C7
腱反射 上腕二頭筋反射↓ 腕橈骨筋反射↓ 上腕三頭筋反射↓
筋力低下 三角筋 上腕二頭筋 上腕三頭筋
感覚障害 上腕外側 前腕外側、母指、示指 示指、中指
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上肢に関しては、知覚の神経支配(デルマトーム)は神経間の重なりや個人差が大きいため、筋肉の神経支配(ミオトーム)のほうが信頼性は高いとされています。

そのため、知覚にて障害部位を特定していく場合は、重なりなどの要素も考慮しながら、慎重に診ていく必要があります。

神経障害の誘発検査

椎間孔の狭小化が神経根症を引き起こしている場合は、頚部を伸展や側屈させることで神経障害を増悪させることが可能です。

理由としては、頚部を伸展または障害側へ側屈させることで椎間孔が狭小化し、椎間孔を通過する神経根への圧迫が強まるためです。

反対に頚部を屈曲または障害側とは逆に側屈させることで椎間孔は拡大するため、その動きでしびれが軽減するかも確認します。

他動的に椎間孔を狭小化させる徒手検査の方法として、スパーリングテストが用いられます。

スパーリングテスト(Spurling test)
スパークリングテスト
頚椎を患側へ伸展・側屈させて軸圧を加える。椎間孔が狭小化することで神経根症状を増幅させることができる。(感度:0.77、特異度:0.92)

リハビリテーションの考え方

頚椎症性神経根症のリハビリで重要なのは、①椎間関節の拘縮除去、②胸椎過後弯(猫背)の改善です。

頚椎症を起こしている症例では周囲組織(とくに関節包)の短縮が存在しているため、椎間関節のモビライゼーションを要します。

猫背の症例では、頸椎を過伸展させて頭部の位置を保つため、椎間関節の負担を高めることにつながっています。

これらの保存療法でも症状の軽減が認められない場合は、手術療法にて椎間孔の拡大を目的とした除圧術が行われます。

椎間関節モビライゼーション

方法としては、患者に仰臥位をとってもらい、治療対象となる椎間関節を正中位に保持した状態で頭部を把持し、棘突起間を開くように力を加えます。

非障害側に側屈した状態で行うことにより、さらに椎間孔の周囲組織を伸張することが可能となります。

障害のある椎間関節以外にも、隣接する関節の拘縮が原因で過剰な動きを求められている場合もあるので周囲の可動域制限にもアプローチします。

姿勢の改善トレーニング

猫背や円背などで胸椎の過後弯が存在していると、頭部が前方変位し、頭部を支えるために頸椎の過伸展が起こります。

頸椎の過伸展は椎間関節の負担を増加させて頚椎症を進行させ、さらに椎間孔の狭小化にもつながるので矯正することが必要です。

近年はパソコンでのデスクワークが増えてきており、慢性的な不良姿勢が原因となっている場合が少なくありません。

そのため、定期的に胸椎を伸展させるストレッチングを実施し、頭部が前方位とならないように意識させることが大切になります。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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