この記事では、頸板状筋に関する充実したデータを閲覧できます。
頸板状筋の概要
頸板状筋は頸椎の伸展および回旋の主力筋です。
板状筋には、①頭板状筋、②頸板状筋の2つが存在しており、頭板状筋は頭部(環椎後頭関節)の動きに作用します。
頭板状筋が白筋線維が豊富(75%)なのに対して、頸板状筋は白筋線維と赤筋線維の割合はほぼ同じです。
赤筋線維は日常的に使用される筋肉に多いことから、頸板状筋は頭板状筋よりも姿勢を保つ働きが強いといえます。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 脊髄神経の後枝 |
髄節 | C1-5 |
起始 | 第3-6(又は4,5)胸椎の棘突起 |
停止 | 第1-2(又は3)頸椎の横突起の後結節 |
動作 | 頸部の伸展,回旋(同側),側屈(同側) |
筋体積 | 10.1㎤ |
筋線維長 | 10.2㎝ |
速筋:遅筋(%) | 50.0:50.0 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
頸部伸展 |
頸部側屈 |
頸部回旋 |
1位 | 板状筋群 | 胸鎖乳突筋 | 胸鎖乳突筋(反対側) |
2位 | 半棘筋群 | 斜角筋群 | 板状筋群(同側) |
3位 | 脊柱起立筋 | 脊柱起立筋 | 脊柱起立筋 |
4位 | 後頭下筋群 | 板状筋群 | 回旋筋 |
頸板状筋の触診方法
![]() ※黄色部分が頸板状筋 |
頸板状筋は起始から筋腹のほとんどをいくつの筋肉で覆われており、その作用は頭板状筋と類似するので筋腹での触知は困難です。
触知しやすいのは、第1-2頸椎横突起の後結節(停止部)で、頸部の伸展運動を行わせることで肩甲挙筋の深層で筋収縮を触知できます。
頸部の断面図
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板状筋は固有背筋の中で最も浅層に位置する筋肉であり、頸椎横突起に向かって斜め外側に走行しています。
ストレッチ方法
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手で頭部を斜め下方(屈曲・側屈)に引き寄せていきます。
頸板状筋は頭板状筋よりも外側に位置しているため、側屈角度をあげることでより選択的に伸張できます。
筋力トレーニング
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頭にタオルを巻いて両端を手で握り、頸部を屈曲方向に引っ張ります。頸部はそれに逆らって伸展方向に力を入れていきます。
アナトミートレイン
![]() |
頸板状筋はSPL(スパイラルライン)に属しており、このラインは乳様突起にまで繋がります。
乳様突起の前方には顔面神経が通過しているため、SPLの異常は顔面神経に影響を与えることがあります。