総論(原法の考え方)
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Stage I:弛緩。自発運動なし。
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Stage II:わずかな随意性、**共同運動(シナジー)**の出現開始、痙縮発現。
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Stage III:共同運動内での随意運動が可能、痙縮最強。
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Stage IV:共同運動外の分離運動が一部可能、痙縮減弱。
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Stage V:より複雑な分離運動へ拡大。
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Stage VI:分離運動がほぼ正常、協調性良好、痙縮ごく軽微~消失。
Stage I(弛緩期)
目的:連合反応の有無を確認
方法例:非麻痺側の肘伸展に徒手抵抗を加え、麻痺側大胸筋の収縮(連合反応)を触診・視認。
判定:収縮なし=Stage I/あり=Stage II-1以上
ポイント:強刺激は反射的共同運動を誘発しうるため、安全な抵抗量で。
Stage II(痙縮出現・シナジー出現期)
目的:随意収縮の“芽”を捉える
方法例:麻痺側の手に**「反対側の腰へ」(伸筋共同運動)を指示。
判定:目に見える運動がなくても随意収縮が触診で確認できれば Stage II-2以上
ポイント:わずかな筋腹の張り・腱の緊張変化を触診で丁寧に**。
Stage III(共同運動内の随意性)
判定規則(2課題×2点法)
不可能=0/不十分=1/十分=2
合計でⅢ-1~Ⅲ-4を運用(下表参照)。
| 判定 | 伸筋共同運動 | 屈筋共同運動 |
|---|---|---|
| Ⅲ未満 | 不可 | 不可 |
| Ⅲ-1 | 不十分 | 不可 |
| Ⅲ-2 | 不十分 | 不十分 |
| Ⅲ-3 | 十分 | 不十分 |
| Ⅲ-4 | 十分 | 十分 |
1)伸筋共同運動:「反対側の腰へ」
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十分:臍下まで移動
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不十分:臍上~乳頭下
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不可:乳頭上で停止
2)屈筋共同運動:「反対腰 → 同側耳へ」
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十分:乳頭上まで
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不十分:乳頭下~臍上
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不可:臍下
目安ランドマークは同一肢位で評価。体幹代償は不可。
Stage IV(共同運動外の分離運動が一部可能)
判定:3課題中1つ十分=Ⅳ-1/2~3つ十分=Ⅳ-2
1)肩内旋(結帯):背中へ回し、体幹代償なし・1動作。棘突起から5cm以内に到達で十分。

2)肩屈曲(~90°):肘屈曲**≦20°、水平内外転±10°以内。60°以上で十分。

3)前腕回内:肘90°±10°屈曲・体側固定で50°以上**回内できれば十分。
Stage V(より高度な分離運動)
判定:3課題中1つ十分=Ⅴ-1/2つ=Ⅴ-2/3つ=Ⅴ-3
1)肩外転:肘屈曲**≦20°、肩屈曲≦20°。60°以上で十分。
2)肩屈曲(~180°):肘屈曲≦20°、水平外転≦30°。130°以上で十分。

3)前腕回外:肩60~90°屈曲**・肘伸展位、肘屈曲**≦20°**、50°以上回外で十分。
Stage VI(ほぼ正常の分離・協調)
判定:2課題のいずれか1つ十分でStage VI
1)肩挙上テスト:手先→肩に触れて真上へを10回。
- 条件:肘屈曲**≦20°、肩屈曲≧130°**
- 十分:麻痺側タイムが非麻痺側の1.5倍以内(例:非20秒→麻痺≦30秒)
2)肩外転テスト:外転10回。

- 条件:肘屈曲**≦20°、外転≧60°、水平内転≦20°**
- 十分:同上、1.5倍以内
反復計測は痛み・痙縮の増悪に配慮し、休息を挟む。
評価時の共通注意
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代償の管理:体幹の傾き、肩甲帯の挙上・回旋、手指の屈曲拘縮による見かけの到達を不可に。
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疼痛・関節可動域:痛みが閾値やROM制限を左右。先に痛み管理とROM準備を。
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一貫した肢位とランドマークで再現性を担保。
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サブステージ(Ⅱ-1/Ⅱ-2、Ⅲ-1~Ⅲ-4など)は臨床運用上の便宜であり、原法の公式区分ではない点を患者・多職種に明示。
よくある質問(Q&A)
Q1. ブルンストロームは“筋力テスト”ですか?
A. ちがいます。共同運動の影響下での随意性・分離性の段階評価です。筋力そのものを表す指標ではありません。
Q2. 痙縮が強いとStageは必ず低い?
A. 相関はありますが必ずしも一致しません。Stage IIIでも共同運動内での随意性は高まり得ます。
Q3. サブステージ(Ⅳ-1/Ⅴ-2等)は必須?
A. 任意の運用基準です。経時的変化を細かく追う目的で有用ですが、原法はI~VIの6段階です。
Q4. 代償で“到達”した場合は?
A. 不可扱いにします。体幹代償・肩甲帯代償は分離性の判定を歪めます。
Q5. 訓練はStageに合わせてどう進める?
A. 概ね、I–II:誘発・感覚入力 → III:共同運動内で反復 → IV–V:分離運動の練習と課題指向 → VI:協調・速度・二重課題へ。
最終更新:2025-10-02




