上腕骨外側上顆炎の概要
腕骨外側上顆炎は、テニス肘とも呼ばれる肘外側の痛みです。
名称に「炎」がつきますが、実際には明確な炎症所見を伴わない(腱変性が主体)ケースも多く、受傷機転がはっきりしないこともしばしばあります。
「テニス肘」という名前に反して、テニスが直接の原因となる例は一部(報告では少数)にとどまります。
類似した病名にゴルフ肘がありますが、そちらは上腕骨内側上顆炎の別名です。
実際はテニスでも上腕骨内側上顆炎が生じ、その原因となる動きから『フォアハンドテニス肘』、『バックハンドテニス肘』と呼び分ける場合もあります。
上腕骨外側上顆へのストレス
上腕骨外側上顆にかかる牽引ストレスは主に2つの軸から考えます。
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上腕からの問題
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代表:肘関節屈曲筋の過使用(荷物運搬、子ども・孫の抱っこなど)
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上腕の過緊張→外側筋間中隔を介し、付着部の外側上顆へ牽引
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前腕からの問題
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代表:手関節背屈筋の過使用(テニスのバックハンド、芝刈り機など振動機械の使用)
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前腕伸筋群の過緊張→外側上顆起始部の負荷増大
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影響しやすい筋肉(1)上腕側
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上腕筋(brachialis)
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腕橈骨筋(brachioradialis)
どちらも外側筋間中隔(上腕外側の厚い筋膜隔壁)に起始・付着を持ち、短縮や滑走不全が起こると、筋間中隔を介して外側上顆へ強い牽引ストレスが波及します。
上腕中央断面では、外側筋間中隔は上腕筋と上腕三頭筋外側頭の間に位置。
影響しやすい筋肉(2)前腕型
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短橈側手根伸筋(ECRB):外側上顆起始。変性が生じやすい主座。
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外側上顆には計7筋が起始し、牽引ストレスが集中しやすい構造。
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長橈側手根伸筋(ECRL)は厳密には上腕骨外側上顆ではなく外側顆上稜起始。
肩から肘に痛みが拡がるメカニズム
肩関節周囲炎などで三角筋が過緊張すると、その停止部から外側筋間中隔へ牽引が伝わり、肘外側の痛みを助長することがあります。
肩の機能障害が遠隔の外側上顆痛に関与するため、肩〜肘を一連で評価するのが実践的です。
画像診断と所見の活かし方
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MRI等で炎症所見が乏しい例は少なくありません(腱付着部の変性・微小損傷が主体)。
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炎症優位の時期は徒手刺激で増悪することがあり、安静・負荷管理を優先。
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変性優位では、負荷最適化+手技・エクササイズが奏功しやすい傾向。
最終更新:2025-10-11










