首の痛み(寝違え)を治すための方法について解説していきます。
寝違えの原因
グーグルで「寝違えの原因」と調べると、腋窩神経の圧迫と出てくることが多く、脇の下を揉むと効果的だと書かれています。
しかし、腋窩神経の支配筋は三角筋などの肩筋群が中心であり、頸部回旋に作用する斜角筋などは支配していません。
寝違えの主な症状は首の痛みと可動域の制限であり、三角筋の麻痺によって上肢が挙上できなくなるといったことはありません。
それでは、どこが痛みの原因かというと、腋窩神経(C5-7)を分岐している腕神経叢の牽引ストレスではないかと考えています。
首の痛みが主訴の症例
以前に担当した患者で、頸部を左回旋させたときに強い左頸部痛があり、屈曲でも伸ばされたような痛みがあるとの訴えがありました。
この時点で、腕神経叢の牽引ストレスが関与していると考えられたので、患者の左脇に手を入れて、肩甲骨を持ち上げた状態で疼痛誘発動作(頸部の左回旋)を再度してもらいました。
そこで痛みが消失(軽減)したので、ここからは牽引ストレスを増強させている因子を取り除くようにアプローチを考えていきました。
牽引ストレスを高める要因
肩甲骨が下方回旋または下制すると、腕神経叢(腋窩神経)が牽引されることになり、結果的に頸椎神経根がストレスにさらされます。
また、寝違えには広背筋の緊張が関与していることも多く、圧痛が認められる場合はリラクゼーションを図ることが大切です。
寝違えを治す方法
ご存知の方もいるかもしれませんが、以前に「ゴッドハンド輝」という漫画に寝違えを治す方法が書かれて効果があると話題になりました。
具体的には、以下に記述する3つの運動が提唱されています。
①脇の下を揉む
頸部痛がある側の脇の下をゆっくりと揉むことにより、緊張している広背筋や大円筋を緩めていきます。
広背筋が緊張していると肩甲骨を下方回旋させる方向に働くため、自分で軽くマッサージをしてあげると効果的です。
②広背筋のリラクゼーション
頸部痛がある側の手の平で腰背部の中央部を軽く抑え、その状態から肘を後方に引いて20秒間保持します。
緊張している筋肉は収縮させることで弛緩するため、この方法では広背筋のリラクゼーションに繋がります。
③僧帽筋上部の強化
頸部痛がある側の肘関節を60°屈曲位、肩関節を90°屈曲位とし、その状態から肘を後方に引いて20秒間保持します。
なで肩(肩甲骨の下方回旋)となっているケースでは、僧帽筋上部が低緊張の状態にあります。
そのため、僧帽筋上部を収縮させることで筋力強化を図り、姿勢を修正することで神経の牽引ストレスを軽減させていきます。
頸部マッサージの効能について
結論から書くと、寝違えに対する頸部マッサージは逆効果であり、強く圧迫するような方法はかえって痛みを悪化させてしまいます。
なぜなら、前述したように頸部痛の原因が首にはないからであり、どれだけ揉んだとしても改善は期待できません。
そのため、頸部痛(寝違え)を訴える患者を治療する際は、ここで紹介した運動をまずは参考にしてみてください。