手関節の概要
狭義の手関節は橈骨手根関節のことを指し、橈骨下端と近位手根骨(舟状骨・月状骨・三角骨)にて構成されています。
手は8個の手根骨と5個の中手骨、10個の指骨から構成されます。手掌面で凹形をとりますが、これを手のアーチ(手弓)と呼びます。
手の運動(特に把握動作)に際しては手掌中央部の陥凹部と手指の屈曲によって生じる手弓に機能上重要な意義があります。
このアーチを利用することにより、摘む、握る、掴む、引ったくる、持つなどの複雑な動作が可能となっています。
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手の3つのアーチ
| アーチ | 特徴 |
|---|---|
| 近位横アーチ | 遠位手根骨列で構成され、静的かつ強固 |
| 遠位横アーチ | 第1–5中手指節関節で構成され、可動性がある |
| 縦アーチ | 第2・3の手根中手関節から中手指節関節を通り指先へ伸びる |
手の関節可動域と測定方法
| 運動方向 | 参考角度 | 基本軸 | 移動軸 | 参考図 |
| 屈曲(掌屈) | 90 | 橈骨 | 第2中手骨 | ![]() |
| 伸展(背屈) | 70 | |||
| 橈屈 | 25 | 前腕の中央線 | 第3中手骨 | ![]() |
| 尺展 | 55 |
測定時の注意点
-
掌屈:手指が屈曲していると伸筋群の緊張で可動域が制限される → 手指は伸展位にする。
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背屈:手指が伸展していると屈筋群の緊張で制限される → 手指は屈曲位にする。
手関節の作用筋
| 方向 | 主な筋肉 |
|---|---|
| 掌屈 | 浅指屈筋、深指屈筋、尺側手根屈筋、橈側手根屈筋、長掌筋、長母指屈筋 |
| 背屈 | 総指伸筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、示指伸筋、小指伸筋 |
| 橈屈 | 長橈側手根伸筋、長母指外転筋、長母指伸筋、橈側手根屈筋、長母指屈筋 |
| 尺屈 | 尺側手根屈筋、尺側手根伸筋、小指伸筋 |
手関節の靱帯
手関節は多くの靱帯で補強され、安定性と柔軟性を両立しています。
| 1.手関節の靱帯(掌側) |
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| 2.手関節の靱帯(背側) |
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| 靱帯 | 機能 |
|---|---|
| 伸筋支帯 | 伸筋腱の浮き上がり防止 |
| 屈筋支帯 | 屈筋腱の浮き上がり防止、手根管の形成 |
| 掌側橈骨尺骨靱帯 | 下橈尺関節の安定 |
| 背側橈骨尺骨靱帯 | 下橈尺関節の安定 |
| 掌側橈骨手根靱帯 | 橈骨手根関節の安定 |
| 背側橈骨手根靱帯 | 橈骨手根関節の安定 |
| 掌側尺骨手根靱帯 | 下橈尺関節の安定 |
| 背側尺骨手根靱帯 | 下橈尺関節の安定 |
| 三角線維軟骨(TFCC) | 橈骨尺骨靱帯・尺骨手根靱帯とともに手関節安定化 |
| 外側手根側副靭帯 | 手根間関節の補強 |
| 内側手根側副靭帯 | 手根間関節の補強 |
| 背側手根間靱帯 | 手根骨同士を連結 |
| 掌側手根間靱帯 | 手根骨同士を連結 |
| 豆鈎靭帯 | 尺側手根屈筋腱の延長 |
| 豆中手靱帯 | 豆状骨と第5中手骨底を連結 |
| 掌側手根中手靱帯 | 手根中手関節の補強 |
| 背側手根中手靱帯 | 手根中手関節の補強 |
| 掌側中手靱帯 | 中手骨近位を連結 |
| 背側中手靱帯 | 中手骨近位を連結 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 手関節はなぜ可動性と安定性を両立できるのですか?
A. 複数の手根骨と多数の靱帯が連結し、強固さを保ちながらアーチ構造で柔軟性を確保しているためです。
Q2. 手関節の可動域が制限される原因は?
A. 掌屈では伸筋群、背屈では屈筋群が緊張すると制限されます。測定時に手指の位置を調整することが大切です。
Q3. TFCC(三角線維軟骨複合体)の役割は?
A. 橈骨と尺骨の間でクッションの役割を果たし、手関節の安定に重要です。損傷すると尺側手関節痛や不安定性を引き起こします。
Q4. 手関節のリハビリで重要なポイントは?
A. アーチ構造を保ちながら、屈筋群と伸筋群のバランスを整えることです。可動域訓練に加えて握力・巧緻性の強化も必要です。
最終更新:2025-09-04




