膝関節の基本(FT関節/PF関節)
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FT(大腿脛骨)関節:大腿骨×脛骨。体重を受け、歩行時の荷重応答を担う。
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PF(膝蓋大腿)関節:膝蓋骨×大腿骨滑車。大腿四頭筋の滑走補助/力の伝達を担う。間には**膝蓋下脂肪体(IFP)**が介在。
関節軟骨自体はほぼ無神経。痛みの主源は滑膜・半月板辺縁・脂肪体・靭帯・骨膜など。
歩行で痛い=まずFT関節を疑う
歩行・立位で痛む場合、荷重を直接受けるFT関節由来のことが多いです。
典型は滑膜炎:摩耗片や微小な関節内刺激→滑膜が炎症→腫脹/熱感/関節水腫→荷重時痛・びっこ歩き。
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痛み源:滑膜、周辺半月板辺縁、骨髄浮腫など
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所見:朝のこわばりは短め~中等度、歩行開始で増悪→慣れて軽快することも
※例外:強い階段降り痛・しゃがみ痛が優位ならPF要素も併存しやすいです。
立ち上がり・しゃがみで痛い=PF関節を疑う
荷重をかけたまま膝を曲げ伸ばし(椅子から立つ、しゃがむ、階段)での突出症状は**PF関節/膝蓋下脂肪体(IFP)**が濃厚。
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IFPは膝周囲で最も痛覚が鋭敏。滑走不全・インピンジで刺すような前膝部痛。
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重度拘縮やPF関節の強い不整では、非荷重の屈伸でも痛むことあり。
歩行時の「膝裏痛」は?
多くはハムストリングス(特に大腿二頭筋→半腱様筋→半膜様筋の順)の過緊張/異常収縮。
背景には
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大殿筋の機能不全→ハムが股伸展を代償
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関節変形や恐怖回避での屈曲保持姿勢
が重なり、膝窩部への牽引痛や付着部痛を生みます。
臨床での見分け方(超要約)
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歩行・立位で痛い:FT優位(滑膜炎・半月板辺縁)
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立ち上がり・階段・しゃがみで痛い:PF/IFP優位
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膝裏中心:ハム過緊張・付着部/ベーカー嚢胞なども鑑別
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水が溜まる:多くは滑膜炎(FT)だがPF由来で反応性に貯留することも
対応のヒント(原因別)
FT(滑膜炎)優位
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急性期は負荷軽減・冷却・圧迫、可動域は痛み0–3/10で維持
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荷重線の最適化:杖の反対手使用、インソール(内外楔)、体重管理
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大腿四頭筋(特に内側広筋)と股外転筋の段階的強化
PF/IFP優位
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腫脹コントロールと膝蓋骨モビリティ、IFPの圧痛域回避肢位での四頭筋再教育
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股関節外転・外旋筋/殿筋群を先に整え、膝蓋骨トラッキングを改善
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深屈曲・ニーインつき動作は一時回避、可動域は痛みの出ない範囲で分割して再学習
ハム過緊張(膝裏痛)
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殿筋優位の股関節ヒンジ学習(グッドモーニング軽負荷/ブリッジ)
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ハムの遠心コントロール→スライダー系、坐骨周囲の軟部組織リリース
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膝窩部腫脹があれば**嚢胞(ベーカー)**や半月板病変も鑑別
よくある質問(Q&A)
Q1.「軟骨がすり減って痛い」と言われました。
A. 軟骨自体はほぼ無神経。痛みは主に滑膜・脂肪体・骨膜などの反応です。炎症を抑え、力学を整えることで痛みは変えられます。
Q2. 歩くと痛いのに、立ち上がりは平気。
A. FT要素優位の典型。まずは炎症鎮静と荷重線調整、歩容の最適化を。
Q3. 立ち上がりや階段だけ痛い。
A. PF/IFPの関与が濃厚。膝蓋骨の滑走性と殿筋・股関節のコントロールを先に整えましょう。
Q4. サポーターは有効?
A. 急性期や不安定性が強い時は短期的に有効。ただし筋機能の再獲得が本丸です。
Q5. 画像はキレイなのに痛いのはなぜ?
A. 画像所見と疼痛は必ずしも相関しません。滑膜・脂肪体・軟部の問題や運動学的エラーが痛みの主体のことが多いです。
最終更新:2025-10-07



