胸腸肋筋

胸腸肋筋の概要

胸腸肋筋の起始停止

  • 脊柱起立筋の**最外側列(腸肋筋)**の胸椎レベル担当。

  • **第7–12肋骨(肋骨角付近)**から起こり、**第1–6肋骨(肋骨角付近)**へ停止。

  • 椎骨に直接は付着しないため、腸肋筋の中でも肋骨‐肋骨連結がはっきりした“特殊筋”。

  • 作用は胸椎伸展(両側収縮)同側側屈(片側収縮)。肋骨を近接・下制気味に引き、胸郭運動にも関与。

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経の後枝
髄節 概ね上胸~下胸レベル(記載上 C4–L3 などは腸肋筋全体の広い表現。胸腸肋筋では胸椎域が主)
起始 第7–12肋骨(肋骨角)
停止 第1–6肋骨(肋骨角)
栄養血管 肋間動脈、腰動脈
動作 胸椎伸展/同側側屈、胸郭の肋骨近接(間接的に呼吸運動へ寄与)

触診のコツ

  • 被覆:上部は肩甲骨、全体に広背筋が表層を覆う。

  • ランドマーク胸最長筋(longissimus thoracis)外側縁のさらに外側、肋骨角上を縦走するやや縦長の膨隆。

  • 手順:うつ伏せで胸椎伸展を軽く入れてもらい、肩甲骨下角のやや内下方から外側へ指を滑らせると、第1–6肋骨角~第7–12肋骨角に沿った縦の盛り上がりとして触知しやすい。


ストレッチ

  • 座位で脚を組み、体幹を前屈+反対側へ側屈。必要に応じてわずかに反対回旋を加えるとテンションが乗る。

  • 20–30秒×2–3回、痛みのない範囲で。呼吸はゆっくり呼気優位にして肋骨の可動も促す。


筋力トレーニング(選択的に)

  • バードドッグ(四つ這いで対側上肢・下肢挙上保持):体幹の抗伸展・抗側屈で胸腸肋筋を含む外側列を賦活。

  • サイドベンド系(立位ダンベル、ケーブル)で同側側屈をコントロール。

  • うつ伏せ胸椎伸展(小可動域):胸最長筋との共収縮。頚の過伸展や肩すくめ代償は避ける。

トリガーポイント(TP)

  • 主訴:胸椎レベルの背部外側〜肋骨沿いに広がる鈍痛・張り感、深呼吸や体幹の側屈での違和感。

  • 誘因:長時間の前屈み姿勢・片手作業での体幹側屈保持・掃き掃除やゴルフなどの反復体幹回旋。


クリニカルメモ

  • 肋椎関節(肋骨角周囲)の滑走不全があると、胸腸肋筋が過活動になり胸椎伸展パターンが硬くなりやすい。

  • 広背筋過緊張肩甲帯下制位が続くと、外側列に負担集中。**胸郭モビリティ(前額・水平面)**と併せて介入すると安定。

  • 背部痛の鑑別では、胸最長筋(やや内側)広背筋(表層・外側)、**菱形筋(内側縁寄り)**との位置関係を押さえる。


よくある質問(Q&A)

Q1:胸腸肋筋は“背筋”トレで自然に鍛わる?
A:はい。ただし腰椎主導の伸展になりやすいので、胸椎だけを長くする意識で小可動域から始めると狙いやすいです。

Q2:呼吸運動との関係は?
A:肋骨角に付着するため、肋骨近接/下制寄与が出ます。**呼気ドリル(長めの呼気)**と組み合わせると過緊張の緩和に有効。

Q3:広背筋との見分け方は?
A:広背筋は上腕骨小結節稜へ向かう表層の斜走線維。胸腸肋筋は肋骨角に沿う縦走線維で、胸椎伸展で縦に盛り上がるのが目安。

Q4:ストレッチで肩や首が詰まる
A:肩甲帯下制・頚リラックスを優先し、体幹の前屈+反対側屈を小さく。痛みやしびれが出るポジションは避けてください。

Q5:どの姿勢で硬くなりやすい?
A:猫背固定+肩甲帯下制、あるいは反り腰で胸椎が伸展しないパターン。肋骨の前後・回旋モビリティ再獲得がカギです。


最終更新:2025-10-07