膝外側側副靭帯の概要
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外側側副靱帯(LCL)は、大腿骨外顆 → 腓骨小頭へ走る紐状の靱帯。
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役割:下腿の内反(varus)不安定性を強力に制動。後方不安定性の抑制にもわずかに寄与。
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内側側副靱帯(MCL)と違い、外側半月板と直接の結合はない。
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LCL単独損傷はまれ。多くは**後十字靱帯(PCL)や後外側複合体(PLC:弓状膝窩靱帯・膝窩筋など)**と合併。
受傷機転と症状
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交通事故・ラグビー等の高エネルギー外傷で下腿が後方へ急激に変位、あるいは内反ストレスが強くかかると受傷。
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PCL損傷との合併が多い理由:LCLは後下方へ走行し、下腿後方変位で伸張ストレスがかかるため。
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主症状:外側関節裂隙の圧痛、内反ストレスでの疼痛・不安定感。重度で歩行時のぐらつき。
外側回旋不安定性とスクリューホーム
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LCLや弓状膝窩靱帯は伸展位で下腿外旋方向の制御に関与。
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スクリューホームムーブメント(終末回旋):膝伸展終末で下腿が外旋してロック。
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膝窩筋は屈曲・下腿内旋筋。短縮や機能不全があると終末回旋が阻害され、外側不安定感に関与。
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重症度(目安)
| Grade | 損傷 | 伸展位動揺 | 30°屈曲位動揺 | 所見のめやす |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 伸長なし(線維損傷軽度) | - | - | 圧痛のみ |
| 2 | 部分断裂 | - | + | 内反ストレスで痛み+軽度動揺 |
| 3 | 完全断裂 | + | + | 明らかな内反動揺、しばしばPCL/PLC合併 |
Grade3は単独LCL損傷は稀。後外側複合体(PLC)損傷やPCL損傷の合併を強く疑う。
画像検査
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X線:骨折や関節裂隙の左右差、ストレスX線で動揺の推定。
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MRI:靱帯実質・付着部の信号変化、**PLC要素(弓状膝窩靱帯・膝窩筋腱・外側関節包)**の評価に有用。
治療の基本方針
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単独LCL損傷は保存療法が原則。
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Grade1:1–2週の外反制動サポーター。
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Grade2–3:4–6週の支柱付き装具(内反抑制・ROM管理)+松葉杖で荷重調整。
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合併損傷(PCL/PLC/骨折)や明らかな外側不安定性持続では手術的修復・再建を検討。
リハビリテーション(保存療法の枠組み)
急性期(疼痛・腫脹がある時期)
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RICE(冷却・圧迫・挙上)、内反ストレスを回避。
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装具下で疼痛の出ない範囲のROM(屈伸の小振りから)。外反方向の他動ストレスは禁止。
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四頭筋セッティング、殿筋・ハムの等尺性開始。
亜急性〜回復期
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四頭筋・ハム・下腿三頭筋の漸増的強化。特に四頭筋は下腿後方変位の抑制に寄与。
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股外転筋(中殿筋)・殿筋群の強化でニーイン・内反モーメントの抑制。
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足部機能:過回外/過回内の是正(扁平足があればインソール検討)→ラテラルスラスト低減。
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片脚荷重訓練で膝トラッキングを再教育。内反ラインに入らないことを徹底。
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神経筋制御:バランスボード、Y-Balance等で外側支持の協調性を高める。
復帰の目安
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痛み0–2/10かつ翌日悪化なし。
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片脚スクワット×10回で膝の内反・回旋の逸脱なし。
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競技復帰は外側ストレスの強いカット・ターンを段階的に再開。
日常で気をつけること
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O脚姿勢・ニーインでの荷重を避ける(立位・階段・荷物運搬)。
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ラン・ジャンプは接地を体幹直下に、骨盤水平保持。
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痛みが続く/“抜ける感じ”が残る場合は早めに再診。
よくある質問(Q&A)
Q1. LCLを痛めました。歩いていいですか?
痛みが強い時期は装具+杖で荷重を軽減し、内反ストレス回避が基本。主治医の許可範囲で進めましょう。
Q2. どの筋トレが一番大事?
四頭筋(特に内側広筋)と中殿筋・大殿筋。内反モーメント抑制と下腿後方変位の制御に直結します。
Q3. いつ手術が必要?
Grade3で外側不安定性が残る、PCL/PLC合併、骨性損傷を伴うときは再建術が検討されます。
Q4. 走ると外側が痛い。LCL?ITB?
LCLは内反ストレスで関節裂隙の圧痛。腸脛靱帯炎は外側上顆周囲の擦れ痛や走行距離で増悪。鑑別は医療機関で。
最終更新:2025-10-05




