膝蓋下脂肪体の概要
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膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad) は膝蓋骨直下のクッション兼“潤滑スライダー”。
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内反(O脚)・下腿外旋・膝蓋骨周囲の拘縮 などで滑走不全→摩擦痛・炎症が起きやすい。
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痛みは内側前方に多い。立ち上がりやしゃがみ動作で増悪しやすい(四頭筋収縮=膝蓋骨圧迫↑)。
まず“本当にIFPが原因か”を確かめる
触診のポイント(膝は伸展位で)
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膝蓋骨を軽く尾側へ押し下げる。
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母指を膝蓋骨下縁〜裏側へそっと差し込み、内側・中央・外側を順に圧痛・硬さ・滑りをスキャン。
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立ち上がり動作やパテラ圧迫下で膝伸展を再現し、痛みが再現されるかを確認。
※屈曲位だと脂肪体が膝蓋骨裏へ逃げるため正確に圧迫できない。
治療目標は2つ
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脂肪体そのものの柔軟性を回復(浮腫・硬結・癒着の軽減)
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“動けるスペース”を確保(膝蓋骨・膝蓋上包・膝蓋支帯など周囲組織の滑走改善)
1) 脂肪体の柔軟性を高める
徒手アプローチ
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膝伸展位で膝蓋骨を尾側へ軽圧 → 膝蓋下縁〜裏へ斜めに指腹を入れ、**小振幅のシア(横ずらし)**で癒着を剥がす。
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炎症強い時期は圧は浅く・時間短く。発赤・熱感が強い日は回避。
物理療法の一例(施設で実施)
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超音波:1 MHz / 1.0 W/cm² / デューティ50% / 10分。
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膝蓋骨を押し下げ、圧痛“ど真ん中”へ照射(深部の硬化部に届きやすい)。
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皮膚保護・疼痛モニターを徹底。
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2) “動けるスペース”を作る(周囲組織)
膝蓋上包(SUPrapatellar pouch)
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中間広筋深層の膝関節筋付着を意識し、上方の膜をつまみ上げ→前後・上下へスライド。
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直後にパテラセッティング(軽荷重で膝蓋骨の上方滑走を促す)。
膝蓋支帯(MPFL/LPFL周囲)
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外側優位に硬いことが多い。膝蓋骨を内側・尾側へ誘導しつつ、外側支帯を線状にリリース。
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併行して内側広筋(VM)促通で張力バランスを整える。
膝蓋腱周囲
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膝蓋腱の縦・横シアで滑走改善。IFPの前面癒着が強いときに有効。
骨配列(O脚・下腿外旋)の“構造的矯正”は徒手では困難。必要に応じてインソールや荷重線の再教育で機能的補正を図る。
セルフケア&運動(痛み0–3/10の範囲)
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アイソメトリックVM収縮(パテラセッティング)
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膝下にタオル、膝を軽く押し付け5–6秒×10回×2–3セット。
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膝蓋骨モビライゼーション(自己)
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伸展位で皿を上下左右へ小振幅で30–60秒。痛点は避ける。
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股関節外旋・外転群の活性(殿筋)
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立ち上がり動作で膝が内側へ入らないよう、殿筋主導のヒンジを練習。
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活動修正
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立ち上がりは足幅やや広め+つま先やや外、体幹は前傾して膝前突を控える。
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長時間同一姿勢を避け、1時間ごとに皿スライド+軽い伸展エクササイズ。
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進行管理(目安)
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2–4週:圧痛低下・立ち上がりの疼痛軽減が目標。
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4–8週:再発予防段階(VM・殿筋の協調、日常動作の最適化)。
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増悪サイン(熱感・腫脹増大、鋭痛)は一旦強度を下げ、炎症コントロールを優先。
よくある質問(Q&A)
Q1. 立ち上がりが一番痛いのはなぜ?
A. 四頭筋収縮で膝蓋骨が大腿骨に押し付けられ、IFPの摩擦・圧迫が最大化するためです。
Q2. 電気や温めだけで治りますか?
A. 一時軽減はあり得ますが、脂肪体と周囲組織の“滑走”を取り戻す徒手+運動が不可欠です。
Q3. どのくらいで良くなりますか?
A. 個人差はありますが、2–4週で日常動作の痛みが和らぐ例が多いです。配列要因が強い場合は長期戦。
Q4. 走ってもいい?
A. 痛みが0–3/10以内で、翌日に残らない範囲なら可。まずは歩行・階段で痛みゼロを目安に段階復帰を。
Q5. 手術は必要?
A. 多くは保存療法で改善します。ロッキングや明確な機械的ブロックがある場合は整形外科で再評価を。
最終更新:2025-10-07





