薄筋(gracilis)

薄筋の概要

薄筋の起始・停止:恥骨前面から起こり、脛骨内側面(鵞足)に停止

大腿内側表層を走る細長い帯状筋。股関節内転筋群で唯一の二関節筋(股関節+膝関節)。縫工筋・半腱様筋とともに鵞足を形成し、とくに鵞足炎の一因になりやすい。各運動の主動作筋ではないため、ACL再建の腱移植に選ばれることがある。薄筋は大腿内側表層の細長い帯状筋で、股関節内転筋群の中で唯一の二関節筋。

基本データ

項目 内容
支配神経 閉鎖神経(前枝)
髄節 L2–L4
起始 恥骨結合の下前面・恥骨弓上部(坐骨恥骨枝)
停止 脛骨内側面(鵞足
栄養血管 内側大腿回旋動脈
主な動作 股関節:内転・軽い屈曲
膝関節:屈曲・下腿内旋
筋体積 88 ㎤
筋線維長 23.4 ㎝
速筋:遅筋(%) 50.0:50.0

 ※薄筋は出力が小さいため、臨床では共同筋とのバランスを評価するのが実際的です。


触診方法

 

  • 股関節内転を指示し、脛骨内側(鵞足部)で収縮を触知。
  • 起始近位は脂肪組織の影響を受けやすいため、停止側での触診が確実

ストレッチ方法

  • 股関節:最大外転+軽度屈曲下腿:外旋位で保持。
  • 体重を非ストレッチ側へ移動し、20〜30秒×2〜3セット。

筋力トレーニング

  • 足首にチューブを巻き、股関節を内転
  • 下腿をやや内旋しながら行うと薄筋の選択性が高まりやすい。
  • 10〜12回×2〜3セット、痛みがある場合は負荷を下げて可動域を小さく。

歩行時の筋活動


薄筋は前遊脚期(PSw)〜荷重応答期(LR)初期まで長く活動。遊脚前半は腸骨筋とともに振り出し補助、後半は減速に寄与します。

トリガーポイント(TP)

  • 主訴:大腿内側〜膝の内側(鵞足部)にずきっとする痛みや張り、膝内側の不安定感。

  • 誘因:長時間の歩行・ランやサッカーのインサイドキック・側方ステップ・股関節外転ストレッチのやりすぎで薄筋が過伸長+反復収縮したとき。

アナトミートレイン(筋膜連結の機能的ライン)


薄筋はDFL(ディープ・フロント・ライン)に属し、同区画の内転筋群と連動。大腿内側の深筋膜が硬いと薄筋に圧痛が集中しやすい特徴があります。


関連疾患と鑑別

  • 鵞足炎/平泳ぎ膝/ACL損傷後/OA膝など。

  • 鵞足炎の鑑別

    • 膝内側圧痛股関節外転位での膝強制伸展で痛みが増強 → 薄筋関与を疑う

    • MCL・半月板内側後角縫工・半腱由来痛と鑑別。


FAQ

Q1. 鵞足炎のセルフチェックは?
A. 膝内側の圧痛と、股関節外転位+膝強制伸展で疼痛増悪があれば薄筋関与の可能性。自己判断に偏らず評価を。

Q2. 痛み期はどう鍛える?
A. 低負荷・小可動域・等尺性から開始。痛み残存=刺激過多のサイン。チューブは後回しでOK。

Q3. ACL再建に薄筋腱が使われる理由は?
A. 単独寄与が小さく、採取後の機能低下が比較的少ないため移植材として選択されることがある。


最終更新:2025-10-13