川平法の概要
川平法(促通反復療法:Facilitation Repetitive Therapy)は、
医師・川平和美氏によって考案された、脳卒中後遺症(片麻痺)に対するリハビリ治療法です。
近年明らかになった**脳の可塑性(ニューロプラスティシティ)**を最大限に引き出すことを目的としており、
従来のPNFなどの「努力性」やCI療法などの「試行錯誤性」を排除し、効率的に運動性下行路を再建・強化することを目指します。
⚙️ 促通反復の考え方
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目的動作の随意運動(自動/自動介助)を繰り返すことで、運動性下行路を再建・強化
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促通はコントロールしやすい近位部 → 遠位部へ段階的に行う
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1セット100回を目安(疲労や集中力を考慮した上限)
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反復中に複数の「促通手技」を併用し、より効率的に神経路を活性化
🧩 促通を高める手技
| 手技 | 内容 |
|---|---|
| ① 意識集中 | 麻痺肢を注視しながら動かすと、下行路への入力が増し、痙縮コントロールもしやすい |
| ② 伸張反射 | 筋を軽く素早く伸ばして筋紡錘を刺激→筋収縮を誘発 |
| ③ 共同運動 | 目的筋だけでなく近接筋も同時に働かせることで、目的筋への緊張集中を高める |
| ④ 姿勢反射 | 姿勢変化によって特定筋を促通(例:立位→伸筋優位、腹臥位→屈筋優位) |
| ⑤ 皮膚筋反射 | 目的筋の皮膚を擦る・タップする→筋収縮を促す |
| ⑥ TES・FES | 電気刺激で筋収縮を補助→意図した運動を可能にし神経路を強化 |
📌 姿勢反射の代表例
| 反射名 | 姿勢 | 高まる筋緊張 |
|---|---|---|
| 緊張性迷路反射 | 立位・背臥位 | 体幹・下肢伸筋 |
| 側臥位・腹臥位 | 体幹・下肢屈筋 | |
| 緊張性頚反射 | 頚部回旋側 | 上肢伸筋 |
| 非回旋側 | 上肢屈筋 |
💤 休息と学習効率
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運動後はシナプス結合が強固化する時間が必要
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別の運動をすぐに実施すると学習が阻害されるため休息が重要
| 休息間隔 | 学習率 |
|---|---|
| 4時間 | 70% |
| 1時間 | 30% |
| 5分 | 25% |
| 0分 | 5% |
📌 実際の臨床では、30〜60秒の小休止を挟みながら続けるのが現実的です。
💪 非麻痺側・体幹の強化も重要
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体幹や非麻痺側が弱いと、麻痺側の遠位筋の随意性が発揮しにくい
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麻痺側だけに固執せず、非麻痺側・体幹筋も併行して強化する
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リハ室だけでは練習量が不足するため、自主トレや家族指導も重要
🖐 上肢の川平法(促通反復パターン)
目的:近位から遠位へ随意性を引き出し、分離運動を再学習させる
📌 ポイント
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肩関節・肘関節など大関節の近位運動から開始
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麻痺肢を注視しながら実施
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手関節・手指は他動介助→自動介助→自動へ移行
① 肩屈曲・外転・肘伸展(リーチ動作)
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姿勢:座位 or 半座位
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手技:上腕骨遠位を把持し、肩を前方・外上方へ誘導しながら肘伸展
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目的:伸筋群優位のパターンで屈曲共同運動からの分離
② 肘屈曲・前腕回外(物を取る動作)
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姿勢:座位
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手技:前腕回外位に保持し、肘屈曲を反復
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注意:上腕二頭筋に痙縮がある場合は伸張反射で軽く誘導してから
③ 手関節背屈・MP伸展(手指伸展)
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姿勢:前腕回外位・机上に前腕支持
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手技:手掌を支えつつ、手関節背屈とMP伸展を促す
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目的:屈筋痙縮に拮抗する伸展パターンの学習
④ 指の分離運動(つまむ・開く)
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姿勢:肘屈曲・前腕回外位
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手技:示指・母指から介助→徐々に自動
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併用:皮膚タッピング・視覚注視で促通
🦵 下肢の川平法(促通反復パターン)
目的:立位・歩行動作に必要な下肢伸展パターンの再建
📌 ポイント
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体幹や非麻痺側の安定性を先に確保
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股・膝・足関節を協調的に動かす
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伸展相の促通 → 屈曲相の促通の順で進める
① 股関節伸展・膝伸展・足底圧(立ち上がり)
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姿勢:端座位 → 立位
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手技:膝を押し下げつつ股伸展・足底圧入力
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目的:下肢伸展共同運動の促通(立脚相)
② 膝伸展・足関節背屈(荷重位安定)
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姿勢:立位
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手技:大腿前面を軽く押圧、下腿を軽く前方へ誘導
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併用:足底圧センサーや体重計で荷重感覚入力
③ 股関節屈曲・膝屈曲(遊脚相)
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姿勢:仰臥位 or 立位支持
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手技:大腿を前上方へ誘導、膝屈曲介助
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目的:振り出し動作の再建
④ 足関節背屈・外反(クリアランス確保)
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姿勢:背臥位・座位
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手技:下腿遠位を軽く保持し、足関節背屈と外反
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併用:FES・皮膚タッピングで前脛骨筋促通
💡 実施のコツ
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100回/セット × 複数セットを目安に
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反復中に「注視」「皮膚刺激」「伸張反射」などの促通手技を組み合わせる
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集中力が切れる前に30〜60秒休憩を挟む
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可能な限り**自動運動(または自動介助)**で行う
💬 Q&A
Q1. 川平法はどんな目的で行うの?
A. 脳卒中後の片麻痺で、運動性下行路を再建・強化し、随意運動を再獲得することが目的です。
Q2. 何回くらい繰り返すの?
A. 1セット100回を目安に、疲労や集中力に応じて実施します。
Q3. 他の促通法と何が違うの?
A. CI療法のような試行錯誤性やPNFのような努力性を排除し、効率的な反復で下行路を強化する点が特徴です。
Q4. どんな工夫をすると効果的?
A. 意識集中・視覚フィードバック・皮膚刺激・伸張反射・FESなどを併用することで促通が高まります。
最終更新:2025-09-19