腰仙関節と仙腸関節の構造と関節可動域

腰仙関節と仙腸関節の構造と関節可動域について解説していきます。

腰仙関節の概要

腰仙関節とは、第5腰椎の下関節突起と仙骨の上関節突起で構成される平面関節です。その構造は椎間関節と同様で、椎間板も内在しています。

第5腰椎は脊椎の中で最も大きな椎骨であり、とても頑丈な構造となっていますが、それ以上に荷重ストレスが大きいため、椎間板ヘルニアなどを起こしやすい関節になります。

また、全ての脊椎間で最も大きな屈伸方向への可動域を有しており、平均で20度ほどあります。側屈や回旋は小さく、どちらも約3度ほどです。

腰仙関節正面

仙腸関節の概要

仙腸関節は、仙骨の耳状面と寛骨の耳状面が連結することで構成される平面関節(多軸関節)になります。

しかし、関節面は凸凹で不規則な形状をしており、それらがはまり込んでいるために可動性はほとんどありません。

仙骨が腸骨に対して前屈する可動域は約1.3度、後屈する可動域は約1.7度ほどといわれています。

そのため、半分は関節で半分は骨結合であるという意味で半関節と呼ばれます。しかし実際は関節内には滑液が確認されており、滑膜関節の一種になります。

仙腸関節正面

骨盤の可動性について

仙骨尾骨が連結している骨盤も可動域を有しており、骨盤の動きは脊椎に、脊椎の動きは骨盤に影響を与えることになります。

 1.骨盤の前傾後傾
骨盤前傾
 2.骨盤の回旋
骨盤回旋
 3.骨盤の内転外転
骨盤外転

仙腸関節周囲の靱帯

仙腸関節の周囲には靱帯が密集し、とても強固に結束しています。そのため、全体の動きは1-2㎜程度になります。

仙腸関節障害における圧痛は、仙腸関節裂隙より外側で認められる場合が多いことから、主に後仙腸靱帯由来の痛みと考えられています。

1.仙腸関節周囲の靱帯(前面)
仙腸関節の靱帯|前面
2.仙腸関節周囲の靱帯(後面)
 仙腸関節の靱帯|後面
靱帯 機能
腸腰靭帯 腰仙関節の補強
腰仙靱帯 腰仙関節の補強
骨間仙腸靱帯 仙腸関節の固定
前仙腸靱帯 仙腸関節の固定
後仙腸靱帯 仙腸関節の固定
仙結節靭帯 大殿筋の起始になる
仙棘靭帯 寛骨の仙骨に対する外転を防止
外側仙尾関節 仙尾関節の安定

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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