足関節に関節可動域制限が起こる原因はなにか

要点サマリ

  • 足関節は背屈制限(尖足)になりやすい。臥床で底屈位が続き、下腿三頭筋(とくにヒラメ筋)や後方組織が短縮しやすい。

  • 正常ROM:背屈20°/底屈45°/内反(内がえし)30°/外反(外がえし)20°。

  • 制限因子の原則

    • 背屈:主に筋腱・後方関節包(アキレス腱・ヒラメ筋/腓腹筋)

    • 底屈:前方関節包・前方軟部組織

    • 内反:外側靱帯群(ATFL・CFLなど)

    • 外反:外果の骨性ブロック+三角靱帯

  • 評価は膝伸展位/屈曲位の両方で背屈を測る(腓腹筋かヒラメ筋かを切り分け)。

  • 内反捻挫は外側靱帯損傷が最多(ATFL>CFL)。再発予防は腓骨筋群強化+バランス訓練が要。


なぜ背屈が固くなるのか

  • 臥床では足首が自然に底屈位で固定されやすく、抗重力筋のヒラメ筋(単関節で姿勢維持に常時働く)が非荷重で活動低下→短縮・硬化しやすいのが主因。
    ※「赤筋だから萎縮が早い」ではなく、抗重力で日常的に使う筋が使われなくなることが大きい。


足関節の構造と“どこが止めているか”

足関節捻挫|内反捻挫が多い理由

  • 距腿関節(蝶番)=底背屈。

  • 距骨下関節+ショパール関節=内外反(内/外がえし)に関与。

  • 外果は内果より遠位・後方へ長いため、外反は骨性に制動されやすい。

正常時の主な終末制限

  • 背屈:アキレス腱・ヒラメ筋/腓腹筋、後方関節包

  • 底屈:前方関節包・前方軟部組織(前脛腓靱帯など)

  • 内反:外側靱帯群(前距腓・踵腓・後距腓)

  • 外反:三角靱帯+外果の骨性ブロック

この「正常で何が止めているか」を知っておくと、制限が出たときの犯人探しが早くなります。


評価のコツ(背屈を例に)

  1. 膝伸展位で背屈角度を測定 → 腓腹筋+ヒラメ筋+後方包の影響。

  2. 膝屈曲位で再測定 → ヒラメ筋+後方包の影響(腓腹筋は二関節筋なので緩む)。

  • 伸展位でだけ固い=腓腹筋優位

  • 両方で固い=ヒラメ筋/関節包優位

  • 触診でアキレス腱・筋腹の張り・痛み、前方のつっぱり感(前方包)も併せて確認。


介入(安全第一で段階的に)

1. ポジショニング/予防

  • 尖足予防:フットボード・AFO・踵浮かしクッションなどでニュートラル保持

  • ベッドで足先が下がらない工夫(掛け布団の重み対策)も効果的。

2. ストレッチ(毎日、痛み0–3/10で)

  • カーフストレッチ(膝伸展)=腓腹筋狙い:壁押しでかかとを床、体を前へ30–45秒×3。

  • ソレウスストレッチ(膝屈曲)=ヒラメ筋狙い:同姿勢で膝を軽く曲げて30–45秒×3。

  • 前方つっぱりが強いタイプは、無理な底屈反復は控えめに。

3. 筋力・神経筋

  • 前脛骨筋・長趾伸筋背屈筋トレ(チューブで背屈)

  • 腓骨筋群強化(外反方向チューブ)— 内反捻挫再発予防に必須。

  • 片脚立ち・不安定面でバランス訓練(30–60秒×3)。

4. 関節モビライゼーション(専門家管理下)

  • 背屈不足には**距骨後方滑り(posterior glide)**が有効なことが多い。

  • 捻挫急性期や腫脹・骨傷疑いがある場合は施行しない


内反捻挫と外側靱帯

  • 最多損傷:前距腓靱帯(ATFL)→ 次いで踵腓靱帯(CFL)

  • 再発予防:腓骨筋群強化、バランス訓練、テーピング/足関節サポーター、足関節背屈可動域の維持。

  • 痛み・腫れ・不安定感が続く、骨端部圧痛が強い→画像評価を含め医療機関へ


よくある質問(Q&A)

Q1. 背屈は何度あれば日常生活に困りませんか?
A. 目安は10–15°。歩行や階段で必要です。スポーツでは**20°**近く欲しい場面も。

Q2. どのくらいで柔らかくなりますか?
A. 筋・腱は数週単位、関節包はもう少し長期で変わります。毎日の積み重ねが前提。

Q3. 伸ばすと前が痛いのですが?
A. 前方関節包・前脛腓靱帯の張りや関節内の問題が疑われます。無理に反復せず専門家に相談を。

Q4. 捻挫後は温める?冷やす?
A. 急性期(24–48時間)はRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)。腫れが落ち着いたら可動域と筋力の回復へ。

Q5. 臥床中の家族に自宅でできることは?
A. 足関節をこまめに背屈方向へ動かす(痛みの出ない範囲)、ポジショニングで尖足予防かかと圧迫の予防


最終更新:2025-09-27