下双子筋(inferior gemellus)

下双子筋の概要

下双子筋の起始停止

下双子筋は臀部後下方の深層にある小筋で、内閉鎖筋腱の直下に沿って走り、その外旋作用と関節安定化を補助します。
深層外旋六筋の一員だが、単独の外旋トルクは小さく、実際には**内閉鎖筋(+上双子筋)と一体の“スリング”**として働くのが臨床的イメージです。

基本データ

項目 内容
支配神経 仙骨神経叢の分枝
髄節 L4-S1
起始 坐骨結節
停止 内閉鎖筋腱を介して大転子内面の転子窩
栄養血管 下殿動脈
動作 股関節の外旋
筋体積 10
筋線維長 2.3
速筋:遅筋(%) 50.050.0

覚え方上双子=坐骨棘下双子=坐骨結節。いずれも内閉鎖筋腱に合流して転子窩へ。

触診・評価(MMTのコツ)

  • 体位腹臥位で膝90°屈曲(大殿筋の緊張を減らす)。

  • 誘導:下腿を内側へ押し(股関節は外旋努力)脛骨遠位で抵抗

  • 触診ポイント坐骨結節の外側縁〜大転子内側深部。表在からは直接分離触知は困難なので、抵抗外旋での深部収縮感・圧痛変化で推定。

  • 代償骨盤回旋/腰椎伸展膝だけの回旋に注意。腸骨稜を固定し、股関節から回す意識づけを。


ストレッチ

  • 目的:深層外旋群の伸張=股関節内旋方向

  • 方法(例):腹臥位で膝90°屈曲、足部を外側へ倒して“股関節内旋”をゆっくり増やす。必要に応じ軽い内転を加える。

  • 注意骨盤の反対回旋でごまかさない。痛みが出る手前で止め、反動は避ける


筋力トレーニング

  • バンド外旋(座位/長座):足部前方にバンド、小可動域の等尺→等張

  • クラム(小可動域)骨盤中間位・腰椎中立TFL/大殿筋の過活動を抑え、股関節の回旋軸を意識。

  • フォームのコツ膝を開く動きではなく大腿骨頭を臼蓋内で回す感覚で。


臨床メモ・鑑別

  • 疼痛局在大転子下内側〜坐骨結節外側の深部痛に関与しやすい(外閉鎖筋/大腿方形筋との鑑別を)。

  • 坐骨神経との関係:後方で近接。梨状筋症候群様の症状があれば神経滑走や姿勢評価を併用。

  • “貢献度が小さい”のに重要な理由外旋トルクの総量より、**股関節の微細安定化(求心化)**で価値が高い。着地・方向転換で効く。


Q&A

Q1:上双子筋との違いは?
A:起始上双子=坐骨棘/下双子=坐骨結節。いずれも内閉鎖筋腱に合流して転子窩へ到達し、機能は近い。

Q2:外旋トレで大殿筋ばかり入る
A:股関節屈曲を抑えて(0–20°)骨盤固定+小可動域等尺から。**“膝ではなく股関節から回す”**キューが有効。

Q3:どの姿勢で働かせやすい?
A:ニュートラル〜軽屈曲・中間回旋。深屈曲では他筋(梨状筋・内閉鎖筋)が優位になりやすい。

Q4:ストレッチで腰が反る
A:骨盤固定不足上前腸骨棘を抑える/腹圧を軽く入れると代償が減る。

Q5:画像で何が見える?
A:IF(坐骨大腿)インピンジメントでは下双子〜大腿方形筋の浮腫がMRIで見られることがある(臨床像と併せ判断)。