肋骨挙筋(levatores costarum)

肋骨挙筋

肋骨挙筋

胸椎の横突起から肋骨角付近へ放射状に走る小筋群で、肋骨を挙上して努力性吸気を補助します。
2型あり、短肋骨挙筋(breves)は直下の肋骨へ、長肋骨挙筋(longi)は2肋下へ付着します(長肋骨挙筋は主に下位胸椎起始に限局:T7–T10 付近が典型)。

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経後枝(背側枝)C8–T11
起始 C7–T11 の横突起
停止 短肋骨挙筋:起始の直下の肋骨(肋骨角付近)
長肋骨挙筋:起始の2つ下の肋骨(肋骨角付近)
動作 呼吸:肋骨挙上→努力性吸気の補助
体幹:両側で胸椎伸展、片側で同側側屈反対側回旋

触診と評価のヒント

  • 体位:座位または腹臥位。

  • 手順:目的肋間の肋骨角上で軽く圧をかけ、患者に鼻吸気→口すぼめで長く吐く→再度吸気を強調。吸気相で肋骨が背側・頭側へわずかに持ち上がる張力を拾う。

  • 鑑別:外肋間筋は肋骨間(側胸部寄り)、肋骨挙筋は背側でより深層。肩甲骨内側縁近くでの触知がコツ。

セルフ介入

  • 吸気促通(2分):背臥位。鼻で3秒吸う/口すぼめで6–8秒吐くを10呼吸。吸気では背側肋骨が広がるイメージを持つ。

  • 胸椎モビリティ:椅子座位で胸椎を軽く伸展→回旋→側屈(痛みない範囲)。下位胸椎(T7–T10)での背側肋骨の持ち上がりを意識。

臨床メモ

  • 姿勢:円背・胸郭下制が強いと吸気時の肋骨挙上が出にくい→吸気促通+胸椎伸展の併用が有効。

  • スポーツ持久系・吹奏での努力性吸気に関与。過緊張では脊柱起立筋と混在した背部の張りとして自覚されることあり。

  • 連結:肋椎関節・肋横突関節の可動域低下があると効果が減弱。胸郭後方の関節モビライゼーションで相乗的に改善。


よくある質問(Q&A)

Q1:長肋骨挙筋はどこにでもありますか?
A:いいえ。**長肋骨挙筋は主に下位胸椎(T7–T10 付近)**から起こり、2肋下へ伸びます。個体差・左右差がしばしばあります。

Q2:主な役割は呼吸ですか?体幹運動ですか?
A:主役は努力性吸気の補助ですが、小関節の近傍で働くため胸椎の微細安定化(伸展・回旋・側屈補助)にも寄与します。

Q3:外肋間筋との使い分けは?
A:両者とも吸気補助ですが、肋骨挙筋は背側深層で肋骨角を直接引き上げるイメージ。外肋間筋は肋骨間でのポンプ/バケツハンドル運動の伝達が主体。