歩くと膝が痛い理由は大腿脛骨関節にある

膝関節の基本(FT関節/PF関節)

FT関節とPF関節1

  • FT(大腿脛骨)関節:大腿骨×脛骨。体重を受け、歩行時の荷重応答を担う。

  • PF(膝蓋大腿)関節:膝蓋骨×大腿骨滑車。大腿四頭筋の滑走補助/力の伝達を担う。間には**膝蓋下脂肪体(IFP)**が介在。

関節軟骨自体はほぼ無神経。痛みの主源は滑膜・半月板辺縁・脂肪体・靭帯・骨膜など。


歩行で痛い=まずFT関節を疑う

FT関節は荷重関節

歩行・立位で痛む場合、荷重を直接受けるFT関節由来のことが多いです。
典型は滑膜炎:摩耗片や微小な関節内刺激→滑膜が炎症→腫脹/熱感/関節水腫→荷重時痛・びっこ歩き。

  • 痛み源:滑膜、周辺半月板辺縁骨髄浮腫など

  • 所見:朝のこわばりは短め~中等度、歩行開始で増悪→慣れて軽快することも

※例外:強い階段降り痛・しゃがみ痛が優位ならPF要素も併存しやすいです。


立ち上がり・しゃがみで痛い=PF関節を疑う

PF関節が痛い理由

荷重をかけたまま膝を曲げ伸ばし(椅子から立つ、しゃがむ、階段)での突出症状は**PF関節/膝蓋下脂肪体(IFP)**が濃厚。

  • IFPは膝周囲で最も痛覚が鋭敏。滑走不全・インピンジで刺すような前膝部痛

  • 重度拘縮やPF関節の強い不整では、非荷重の屈伸でも痛むことあり。


歩行時の「膝裏痛」は?

膝裏が痛い理由

多くはハムストリングス(特に大腿二頭筋→半腱様筋→半膜様筋の順)の過緊張/異常収縮
背景には

  • 大殿筋の機能不全→ハムが股伸展を代償

  • 関節変形や恐怖回避での屈曲保持姿勢
    が重なり、膝窩部への牽引痛や付着部痛を生みます。


臨床での見分け方(超要約)

  • 歩行・立位で痛い:FT優位(滑膜炎・半月板辺縁)

  • 立ち上がり・階段・しゃがみで痛い:PF/IFP優位

  • 膝裏中心:ハム過緊張・付着部/ベーカー嚢胞なども鑑別

  • 水が溜まる:多くは滑膜炎(FT)だがPF由来で反応性に貯留することも


対応のヒント(原因別)

FT(滑膜炎)優位

  • 急性期は負荷軽減・冷却・圧迫、可動域は痛み0–3/10で維持

  • 荷重線の最適化:杖の反対手使用、インソール(内外楔)、体重管理

  • 大腿四頭筋(特に内側広筋)と股外転筋の段階的強化

PF/IFP優位

  • 腫脹コントロール膝蓋骨モビリティIFPの圧痛域回避肢位での四頭筋再教育

  • 股関節外転・外旋筋/殿筋群を先に整え、膝蓋骨トラッキングを改善

  • 深屈曲・ニーインつき動作は一時回避、可動域は痛みの出ない範囲で分割して再学習

ハム過緊張(膝裏痛)

  • 殿筋優位の股関節ヒンジ学習(グッドモーニング軽負荷/ブリッジ)

  • ハムの遠心コントロール→スライダー系、坐骨周囲の軟部組織リリース

  • 膝窩部腫脹があれば**嚢胞(ベーカー)**や半月板病変も鑑別


よくある質問(Q&A)

Q1.「軟骨がすり減って痛い」と言われました。
A. 軟骨自体はほぼ無神経。痛みは主に滑膜・脂肪体・骨膜などの反応です。炎症を抑え、力学を整えることで痛みは変えられます。

Q2. 歩くと痛いのに、立ち上がりは平気。
A. FT要素優位の典型。まずは炎症鎮静と荷重線調整、歩容の最適化を。

Q3. 立ち上がりや階段だけ痛い。
A. PF/IFPの関与が濃厚。膝蓋骨の滑走性と殿筋・股関節のコントロールを先に整えましょう。

Q4. サポーターは有効?
A. 急性期や不安定性が強い時は短期的に有効。ただし筋機能の再獲得が本丸です。

Q5. 画像はキレイなのに痛いのはなぜ?
A. 画像所見と疼痛は必ずしも相関しません。滑膜・脂肪体・軟部の問題や運動学的エラーが痛みの主体のことが多いです。


最終更新:2025-10-07