要旨(まずここだけ)
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頭部前方位は胸椎過後弯+下位頸椎屈曲+上位頸椎過伸展を招き、頸椎症性神経根症・顎関節痛・緊張型頭痛などのリスクを上げます。
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下部体幹(骨盤〜下位体幹)の前後シフトも同じくらい重要。足関節や下腿の状態だけでも全身アライメントをかなり推測できます。
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介入は「頸部だけを揉む」では不十分。胸郭・骨盤位・足部まで含めた評価と再学習が再発防止の鍵です。
なぜ頭部前方位が問題か
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胸椎過後弯 → 下位頸椎屈曲 → 上位頸椎過伸展の連鎖。
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結果:
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上位頸椎椎間関節への伸展ストレス↑/後頭下筋群の過緊張・圧痛
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下位頸椎椎間板への圧負荷↑、椎間孔狭小→神経根症リスク
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顎位の前方化→咬筋・側頭筋緊張、顎関節症・頭痛の誘発
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下部体幹“前方”シフトの影響(スウェイバック/カイホロードシスに多い)
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足関節:背屈位を強いられやすく、膝伸展位での背屈“過可動”。
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下腿三頭筋:相対的延長位→アーチ支持低下、外反母趾・扁平足・過回内リスク↑。
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腰椎:上半身のバランス補正で下位腰椎伸展が増え、椎間関節障害/椎間孔狭窄リスク↑。
下部体幹“後方”シフトの影響(ロードシス/フラットバックにしばしば)
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足関節:背屈制限を呈しやすい(下腿三頭筋の短縮傾向)。
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足部:背屈可動域不足 → 内反捻挫リスク↑、甲高になりがち。
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前面筋:大腿直筋の緊張↑ → 膝蓋腱炎・鼡径部痛に連動。
ポイント:足関節の背屈可動域+骨盤触診(うつ伏せで足をベッド端に出す)だけでも、全体アライメントの当たりがつけられます。
例)仙骨・尾骨が触れて「角」が立つ=骨盤前傾傾向の目安。
すぐ使える評価ルーチン(3分)
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うつ伏せ:足部をベッド外に出す
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膝伸展位での背屈:左右差/痛みの質(詰まり vs 筋性)
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骨盤ランドマーク触診
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仙骨・尾骨の突出感(前傾傾向)/PSIS・ASISの相対位置
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座位〜立位:顎引き・胸骨やや挙上で頭部前方位の可逆性を確認
介入の道筋(要点だけ)
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頭部前方位
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胸椎伸展モビリティ:椅子背でエクステンション、上肢挙上で前鋸筋・僧帽下部を同調
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上位頸椎屈曲(チンタック)と舌骨下筋群の促通
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後頭下筋群の過緊張は軽圧+呼気でリリース
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下部体幹前方シフト
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呼気ドリル(肋骨下制)→腰椎伸展代償を抑える
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股関節ヒンジ再学習(殿筋主導;RDL系)
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足部は過回内の是正(距骨下の回外誘導、アーチ介助/必要時インソール)
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下部体幹後方シフト
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下腿三頭筋ストレッチ+足関節背屈の質(距骨前方滑りの補助)
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大腿直筋のトーン低下(大殿筋・腹横筋の先行活性)
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胸郭前方移動の再学習(壁スライド+プラス)
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よくある質問(Q&A)
Q1:頸部だけ治療してもすぐ戻るのはなぜ?
A:胸郭・骨盤・足部の代償が残ると、頸部はまた前方へ引かれます。全体のアライメント連鎖を一緒に整える必要があります。
Q2:下部体幹シフトはどう判定する?
A:足関節背屈の質(過可動/制限)と骨盤前後傾の触診で概ね推定可能。立位の写真も併用すると客観性が上がります。
Q3:デスクワークでまず1つだけやるなら?
A:毎時1回の胸椎伸展+チンタック10回。同時に座面を前下がりに調整して骨盤前傾を作ると頸部負荷が軽くなります。
Q4:足部介入はいつ検討?
A:過回内/背屈制限が頑固で、上流の介入だけで再現性が乏しい場合にタップ・テーピングや簡易インソールを併用します。
まとめ
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頸部痛の評価は頭部前方位+下部体幹の前後シフトをセットで。
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足関節の背屈の質と骨盤位は、全身アライメントを映す“早見表”。
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介入は胸郭・骨盤・足部まで含めた姿勢再学習+呼吸+ローカル筋の促通で、再発を抑えます。
最終更新:2025-10-08



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