足底腱膜炎(足底筋膜炎)のリハビリ治療

足底腱膜炎のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。

足底腱膜炎について

足底の屈筋群を覆う浅層中央部の腱膜様組織を「足底腱膜」と呼びます。

足底部の痛みは、①踵部、②土踏まず中央の2箇所に生じ、疼痛場所によって原因が異なります。

足底腱膜炎は別名で足底筋膜炎とも呼ばれますが、両者を明確に区別していることはありません。

立位時に荷重の1/2は踵部へ伝達されるため、踵骨付着部の足底腱膜は前足部よりも強靭な構造をしています。

①踵部に痛みが出るタイプ

踵部に痛みが起こるタイプは、初期段階では起床時に最も痛みが強く現れて、症状が増悪すると日中でも痛みが起こります。

起床時に痛みがある理由は、寝ているときに断裂部が少し癒合しますが、朝起きて立ち上がる際に再断裂するからと考えられています。

発症因子としては、足関節の背屈制限が影響します。

歩行時に早期のHR(踵離れ)が生じることで、TSt(立脚終期)での足趾伸展が強まり、足底腱膜を伸張させることにつながります。

足底腱膜の役割としては、歩行時に足趾が伸展することで足底腱膜が伸張し、前足部の剛性を高めています。

これをウインドラス機構(巻き上げ機構)といい、歩行時のTStにしっかりと床面を蹴り出すために必要な要素となります。

足底腱膜炎(踵部)の治療

足底腱膜炎(踵部)の治療で重要なのは、足関節の背屈制限を改善し、歩行時の足底腱膜のストレスを減らすことです。

可動域制限の原因は、主に筋・筋膜または関節包となるので、拘縮のある組織に対してアプローチすることが必要となります。

足関節底屈に作用する筋肉は、①下腿三頭筋、②後脛骨筋、③長腓骨筋があるので、それらの筋肉を中心にチェックしていきます。

体外衝撃波療法

足底腱膜炎の90%以上は自然治癒するとされていますが、残りの10%は難治性障害を示すことになります。

そのような難治性障害に対しては、手術(足底腱膜の一部を切離)や体外衝撃波療法が適用されます。

体外衝撃波療法は、踵に衝撃波を与えることで組織を破壊し、修復を促す治療法になります。

その有効率は50〜60%と高く、これまで長らく痛みで苦しんでいた患者にも効果が期待ができる治療法となっています。

②土踏まず中央に痛みが出るタイプ

踏まず中央に痛みが起こるタイプは、足底筋膜の変性部へのストレスが原因となります。

発症因子としては、足部アーチの低下が影響します。

足部アーチの低下がある場合は、立位や歩行時に過度な足関節背屈が起こりやすく、足底筋膜を伸張させることにつながります。

足趾を屈曲させて歩くことで即時にストレスを軽減することができ、痛みを緩和することができます。

足底腱膜の深層には短趾屈筋、内側縁には母趾外転筋、外側縁には小趾外転筋が位置しており、これらの筋肉は筋膜によって囲まれています。

それを足底筋膜と呼んでおり、足底腱膜炎と同様にストレスが加わり続けることで疼痛が発生し、その状態を足底筋膜炎と呼びます。

足部アーチが低下している場合は、足部回内となっているため、足底筋膜内側部をより伸張することにつながります。

足底腱膜炎(土踏まず中央)の治療

足部構造が柔軟なケースでは、インソールや靴を変更するなどして足底筋膜に負担のかかりにくいアライメントに調整していきます。

足部回内に対してはテーピングも有効で、載距突起を持ち上げて後足部を回外方向に誘導するように貼付します。

足底筋膜は母趾外転筋や短趾屈筋、小趾外転筋の緊張の影響を受けますが、その中でも母趾外転筋は最もチェックすべき筋肉になります。

滑走不全が存在する場合は、必要に応じて組織リリースを実施し、負担が一部に集中することを防ぎます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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