足関節の構造と関節可動域の測定方法

どこまでが「足関節」?

臨床では「足関節=距腿関節」を指すことが多いですが、機能的にはその遠位の

  • 距骨下関節(距踵関節)

  • 横足根関節(ショパール関節:距舟関節+踵立方関節)
    連動して動きます。評価やリハでは三者セットで捉えるのがおすすめ。

距腿関節(talocrural joint)

距腿関節

  • 構成:脛骨下関節面+内果、腓骨外果が作る「天蓋」に、距骨滑車がはまり込む蝶番関節

  • 運動軸:ほぼ1軸性(背屈・底屈)。

  • 可動域の目安背屈 20°/底屈 45°

  • 関節肢位

    • 閉鎖位(最も安定):最大背屈

    • ゆるみ位約10°底屈・中間位(評価や徒手で使いやすい)

背屈では距骨滑車の幅広い前方が天蓋に噛み、安定度UP。底屈では相対的にルーズになりやすい点を覚えておくと捻挫予防指導に役立ちます。

距骨下関節(subtalar joint)

距骨下関節

  • 構成:距骨+踵骨。

  • 主な運動内反/外反(回内・回外の一部を担う多平面運動)。

  • 可動域の目安内反 20–30°/外反 5–10°

    • 教材によっては**内転 20°/外転 10°**表記を用いることも(同義として扱われる場面あり)。

  • 力学連成

    • 距腿:背屈+距骨下:外反(回内寄り)外反位(プロネーション)

    • 距腿:底屈+距骨下:内反(回外寄り)内反位(スピネーション)

横足根関節(Chopart joint:距舟+踵立方)

ショパール関節(横足根関節)

  • 関節型:平面関節(実際は複雑な鞍面・球状成分を含む)。

  • 機能距骨下関節の位置に従属して斜めに滑走。

    • 回内(外反)位で“ゆるむ” → 地面適合性↑

    • 回外(内反)位で“締まる” → レバー剛性↑(蹴り出しに有利)

足関節の関節可動域と測定方法

運動方向 参考角度 基本軸 移動軸 参考図
底屈 45 腓骨 第5中足骨 足関節背屈・底屈
背屈 20
外反 20 下腿軸垂直線 足底面 足関節内返し・外返し
内反 30
外転 10 第1,2中足骨間 第1,2中足骨間 足関節内転・外転
内転 20

底背屈の基本軸は腓骨中央線ですが、より明確にするには腓骨頭と外果を結ぶ線とする方が望ましいです。底背屈時は内外反が入らないように注意します。

内外反では移動軸を当てる位置は、足底面の中でも彎曲の少ない中足指節関節部分が望ましいです。

内外転では、床面に基本軸の基準となるラインがあると測定の一助となります。

足関節の動きに作用する筋肉(貢献度順)

方向 筋肉
底屈 ヒラメ筋、腓腹筋、長腓骨筋
背屈 前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋
外反 長腓骨筋、短腓骨筋、第三腓骨筋
内反 後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、前脛骨筋

足関節周囲の靱帯・支帯

足関節は内果が高く、外果が低い形状のため、**内反捻挫(lateral sprain)**が多発します。

外側靱帯複合体(LCL)

  • 前距腓靱帯(ATFL):内反・底屈で緊張(最も損傷しやすい)

  • 踵腓靱帯(CFL):内反全域で制動

  • 後距腓靱帯(PTFL):高エネルギー外傷で損傷しやすい

内側(三角靱帯:Deltoid

  • 外反・外旋の制動。強固なため単独損傷は稀だが、合併損傷時は重症化しやすい。

遠位脛腓靱帯(シンデスモーシス)

  • 前・後脛腓靱帯、骨間靱帯など。**高位捻挫(high ankle sprain)**で損傷し、回復が遅いのが特徴。

支帯・足底

  • 伸筋/屈筋/腓骨筋支帯:通過腱の浮き上がり防止と滑走路保持

  • 足底腱膜縦アーチのスプリング、足底の血管・神経保護

1.足関節の靱帯(前面)
足関節の靱帯前面
 2.足関節の靱帯(後面)
足関節の靱帯後面
3.足関節の靱帯(内側面)
足関節の靱帯内側面
4.足関節の靱帯(外側面)
足関節の靱帯外側面

クリニックで役立つ“評価メモ”

  • ATFL圧痛+前方引き出し:外側捻挫の基本。腫脹ピーク(48–72h)後に安定して評価。

  • しつこい外果後方痛腓骨筋腱の腱鞘炎/亜脱臼も鑑別。

  • 背屈痛・腫脹が前脛腓間に限局高位捻挫を疑う。

  • 背屈制限:距骨前方移動、硬い下腿三頭筋、前方インピンジメント(骨棘)などを鑑別。


よくある質問(Q&A)

Q1. 足関節の“外反・内反”と“回内・回外”は同じですか?
A. 厳密には別概念です。外反/内反は主に距骨下での前額面運動、回内/回外は多平面の合成運動(距腿・距骨下・横足根の連成)。臨床上はセットで評価します。

Q2. なぜ内反捻挫が多い?
A. 外果が低く長い構造で内反方向へ行きやすいため。さらに底屈位は関節がルーズでATFLにストレスが集中します。

Q3. 高位捻挫(シンデスモーシス損傷)は何が違う?
A. 痛みが前脛腓間に出やすく、回復が遅いのが特徴。外旋ストレスで悪化しやすく、早期〜中期に無理な外旋は禁忌

Q4. ROM測定でズレやすいポイントは?
A. 底背屈に内外反が混入しやすい。腓骨頭—外果線を基本軸に、第5中足骨を移動軸に合わせると再現性が上がります。

Q5. 予防・セルフケアは?
A. 足趾把持・前脛骨筋/腓骨筋の協調トレ背屈可動域の確保、路面変化でのプロプリオセプション(片脚立位、スタンス練習)を継続。


最終更新:2025-09-05