外側半月板損傷のリハビリ治療

外側半月板損傷の概要

半月板は内側外側の2枚ある線維性軟骨。
損傷は大きな捻りで起こる急性型(若年スポーツに多い)と、荷重や微小ストレスの蓄積で起こる慢性型(中高年に多い)の2タイプがあります。外側半月板は膝の外反(X脚)+回旋ストレスで障害されやすく、**動的外反(着地で膝が内側に崩れる)**が強い人はリスクが高めです。

円板状外側半月(半月板奇形)

外側半月板が円形に厚く発達した先天的形態。発生率はおよそ3〜5%多くが外側で、両側性は15〜25%程度と報告されます。厚く引っかかりやすいためクリック・ロッキングが出やすく、損傷の頻度も上がります。


何が痛むの?

半月板自体の中心部は無侵害受容ですが、辺縁部は滑膜由来の血管・神経があり、そこに変性・腫脹・挟み込みが起きると痛みます。
典型例:屈伸での引っかかり/ロッキング、関節裂隙の圧痛、腫れ(関節水腫)、荷重時痛


受傷パターンの要点

  • 外反膝(X脚)+脛骨の回旋で外側コンパートメントに圧縮+剪断が集中。

  • 過回内足(オーバープロネーション)→脛骨内旋→膝の動的外反が助長され、外側負荷が増える。

  • スポーツでは切り返し・着地、日常では階段降段・しゃがみ込みで増悪しやすい。


評価のポイント(現場でサッと)

  • 徒手:外側関節裂隙の圧痛、McMurray(外側)、Apley圧迫での外側痛/クリック。

  • 観察:スクワット/片脚着地での膝内側崩れ(動的外反)足の過回内

  • 可動域伸展ロス(+5°程度の伸展制限でも動揺が増える)、股関節外転・外旋筋の出力低下。

  • レッドフラッグ:持続ロッキング(完全伸展不能)、著明な腫脹/発熱、外傷直後の激痛+不安定感 → 整形受診を優先


リハビリの進め方(段階的)

① 痛みと腫れを落とす

  • 疼痛誘発動作の制限(深いしゃがみ、ねじれながらの屈伸、反復ジャンプは一時中止)。

  • RICE相当(急性/亜急性)+圧迫スリーブ。

  • 関節の“挟み込み”回避の自動可動域無痛域での浅い屈伸、踵触りの軽いヒールスライド。

  • 伸展可動域の回復:タオル膝下で終末伸展保持(痛みなし)。伸展が戻るとラテラルスラストが減ります。

② 動きの修正(外反を減らす)

  • 股関節戦略

    • 中殿筋後部・大殿筋の促通(クラムシェル、ヒップヒンジ、モンスターバンドウォーク)。

    • 体幹コントロール:片脚立位で骨盤の落ち込みを防ぐドリル。

  • 足部/足関節

    • 内側縦アーチの再学習(ショートフット)、後足部の過回内コントロール(踵骨の中間位での荷重練習)。

    • 必要に応じてインソールヒールカップで後足部の安定性を補助(過回内が強いタイプ)。

③ 組織の滑走と柔軟性

  • 外側組織の過緊張の是正TFL/腸脛靱帯、外側広筋、外側膝蓋支帯を穏やかにリリース。

  • 前面の可動性膝蓋上包モビライゼーションで屈伸時の“前方つっぱり”を軽減。

  • ハムストリングス痛みのない範囲で動的に(挟み込み誘発の静的強伸張は避ける)。

④ スキル統合と復帰

  • ニーインを出さないスクワット(股関節主導、脛は軽い前傾、膝はつま先と同方向)。

  • 着地ドリル:両脚→片脚、低床→高床、水平→前後/回旋へ段階的に。

  • 競技復帰条件

    • 腫れ・圧痛なし

    • 片脚スクワット10回で膝が内側に入らない

    • 方向転換ドリルで痛み・不安定感なし

補助具・テーピング

  • 膝スリーブ/ヒンジ付きサポーター外反動揺を抑制

  • McConnell系テーピング腸脛靱帯抑制テープは一時的な疼痛軽減に有効なことが多い。


やりがちな誤り

  • 痛みを我慢して深屈伸(変性を進めやすい)。

  • 外側だけを揉みほぐし続ける(一次原因の股関節・足部の制御不全が残る)。

  • 伸展ロスの放置(ラテラルスラストが増え、外側負荷が持続)。


よくある質問(Q&A)

Q. 手術は必須ですか?
A. ロッキングの持続や大きなバケツ柄断裂などは手術検討ですが、多くの慢性・軽中等度例は保存療法で改善が見込めます。画像だけで決めず症状・機能で判断を。

Q. 走ってもいい?
A. 腫れ・圧痛が消失し、歩行・片脚スクワットでニーインなしが条件。再開はジョグ→距離延長→坂/方向転換の順で段階的に。

Q. どの筋トレが効きますか?
A. 中殿筋後部・大殿筋のヒップヒンジ系、外旋・外転、そして**内側広筋のタイミング改善(テンポの良い膝伸展セッティング)**が柱です。

Q. インソールは有効?
A. 過回内が強いタイプでは有用なことが多いです。既製品でも効果を試し、必要なら専門店や医療機関で調整を。


最終更新:2025-10-08