小菱形筋(rhomboid minor)

小菱形筋の概要

小菱形筋の起始停止

  • 菱形筋は**小菱形筋(上位)大菱形筋(下位)**の総称。明瞭な境界は乏しく、**約1割で連続筋(単一の菱形筋)**として観察されることも。

  • 小菱形筋は大菱形筋の上方を走行し、肩甲骨内側縁上部へ付着。

  • 作用は肩甲骨の内転(後退)・下方回旋・軽度の挙上。僧帽筋・前鋸筋との拮抗協調で肩甲帯の安定化に寄与。

基本データ

項目 内容
支配神経 肩甲背神経
髄節 C4–C5(臨床ではC5寄与が目立つ)
起始 C7–T1棘突起(記載ゆらぎとしてC6–C7やC7–T1が用いられる)
停止 肩甲骨内側縁上部(肩甲棘付近)
栄養血管 肩甲背動脈
動作 肩甲骨内転/下方回旋/軽度挙上

触診のコツ

  • 体位:腹臥位。**手背を腰へ回す(肩甲骨軽度内転・挙上)**と筋腹が浮きやすい。

  • 手順:肩甲骨内側縁上部をランドマークに、上外側へ向かう斜走線維を浅層から追う。

  • 境界:小・大菱形筋の移行は不明瞭。C7・T1棘突起—肩甲棘近傍を結ぶ上帯域を“小”、それより尾側を“大”の目安に。


ストレッチ

  • 立位または座位で、反対手で対象側肩峰を前下方へ引く。同時に肩甲骨を外転+下制して内転筋群を伸張

  • 20–30秒×2–3回。肩甲帯の**すくめ(上方回旋)**が入らないよう注意。


筋力トレーニング(選択的活性)

  • Prone row(うつ伏せロー):肘を体側寄りに引き、肩甲骨を“背骨に寄せる”意識でフィニッシュに軽い下方回旋を加える。

  • バンデッド・リトラクション:チューブを胸の前で引き、肩甲骨内転→軽い下方回旋をセットで。

  • 代償の肩すくめ(僧帽上部優位)肘主導を避け、肩甲骨主導で動かす。


トリガーポイント(TP)

  • 主訴:肩甲骨内側縁の線状の鈍痛/圧痛、就寝中や朝の強いこわばり。

  • 誘因:長時間の肩甲骨寄せ姿勢(良い姿勢の固定)、投球・ボート漕ぎ等の反復牽引、大胸筋短縮による伸張性過負荷(エキセン)。

  • 関連記事:菱形筋(小・大)トリガーポイント


よくある質問(Q&A)

Q1:小菱形筋と大菱形筋、どう使い分ける?
A:臨床では層・位置・線維角の違いを意識。上部(肩甲棘近傍)×軽い挙上+内転は小の寄与が高い。

Q2:前鋸筋が弱いとどうなる?
A:肩甲骨が外転・上方回旋で固まりやすく、菱形筋の過緊張痛みを助長。前鋸筋の活性化を並行。

Q3:肩甲骨の“ゴリゴリ音”は関係ある?
A:肩甲胸郭滑走不全で起こりやすい。菱形筋の過緊張+前鋸筋の滑走低下を整えると改善例が多い。

Q4:どんな姿勢で悪化しやすい?
A:猫背+肩前方突出。肩甲骨が外転・上方回旋に偏って内転筋群が持続伸張される。

Q5:家庭でできるセルフケアは?
A:壁リトラクション(壁に背中、肩甲骨だけを寄せる意識)とフォームローラーで内側縁周囲の軽圧+呼吸


最終更新:2025-10-07