棘間筋(interspinales)

棘間筋の概要

棘間筋
  • 上下の棘突起を直接つなぐごく短い分節筋。

  • 2椎以上を跨ぐ棘筋(spinalis)と違い、隣接椎間のみを橋渡しして微小伸展・分節安定化に寄与。

  • 頸椎・腰椎で発達し、胸椎では欠損/発達不良が多いのが特徴。

  • 筋紡錘が比較的豊富で、固有感覚(位置覚)による脊柱制御のフィードバックに重要。

基本データ

項目 内容
支配神経 脊髄神経後枝(内側枝)
起始 各椎骨の棘突起上縁
停止 1つ上位の椎骨の棘突起
動作 脊柱の微小伸展分節安定化(抗剪断・抗偏位)

臨床メモ

  • 前屈位での保持立ち上がり動作の初動で、多裂筋・棘筋と協働して分節のズレを抑える

  • 頸・腰部痛では多裂筋とともに抑制(脱条件化)が起こりやすい。低負荷の分節運動や呼吸に合わせた微小伸展が再教育に有効。

  • 触診では極めて小さく、**機能評価(分節モビリティと痛みの再現性)**を主指標に。


触診のヒント(評価)

  1. 体位:腹臥位/四つ這い。

  2. ランドマーク:目的椎の棘突起間隙に母指腹を軽く当てる。

  3. 微小課題:呼気で軽い骨盤後傾、吸気でわずかな腰椎伸展など、1–2°の分節運動で張り/痛みの変化を確認。


セルフエクササイズ(再教育)

  • 四つ這いロッキング(小振幅):背中を反らさず、胸郭の前後移動で分節に小さな伸展を入れる(10回×2–3セット)。

  • 頸椎うなずき+微小伸展:顎引き→1–2°だけ上を見る。痛みゼロ域で5秒保持×8–10回。


よくある質問(Q&A)

Q1:棘間筋と多裂筋の役割の違いは?
A:どちらも分節安定化ですが、棘間筋は棘—棘で微小伸展/位置覚多裂筋は横突—棘で抗剪断・回旋制御が得意です。

Q2:胸椎で触れない理由は?
A:胸椎は解剖学的に発達が弱く欠損が多いため。胸椎の分節制御は多裂筋・最長筋・腸肋筋の寄与が相対的に大きいです。

Q3:鍛えるべき?
A:高負荷強化の対象ではなく、低負荷での分節協調の再学習(呼吸・姿勢合わせ)を優先します。

Q4:痛みの直接原因になりますか?
A:単独より分節制御の破綻の一部として関与することが多いです。多裂筋の賦活と合わせて介入すると効果的。

Q5:画像で評価できますか?
A:一般的MRIでは明瞭でないことが多く、**機能評価(動作・疼痛再現)**が実用的です。