骨の構造と機能について|関節が重度に変形しても痛くない理由

骨が担う5つの役割

  1. 支持:硬い柱として体を支える

  2. 運動:骨格筋が付着しテコとして働く

  3. 保護:脳・胸腔・骨盤内臓を保護

  4. 造血:赤色骨髄で血球産生

  5. ミネラル貯蔵:Ca・P などの貯蔵・放出

成人の骨数は約206個(解剖学的変異で前後)。これらが関節で連結され骨格を形作ります。


骨の構成(5要素)

  • 緻密骨(皮質骨):外層。骨単位(オステオン)で構築。中央にハバース管、横走するフォルクマン管が連絡。

  • 海綿骨:内層。骨梁が格子状に配列し荷重を分散。

  • 骨膜:関節面を除く外表を覆う膜。神経・血管に富む。痛みの主な発生源。

  • 軟骨(関節軟骨):関節面を覆う硝子軟骨無血管・無神経で摩擦低減。

  • 骨髄:髄腔・海綿骨内を満たす。赤色骨髄は造血、黄色骨髄は脂肪優位。

痛みのポイント:軟骨は無神経だが、**滑膜・骨膜・靱帯・とくに骨下(皮質/軟骨下骨)**は神経があり、変形性関節症の痛みはこれら周辺組織や炎症・骨髄浮腫が主因です。「軟骨が擦り減っても痛くない」わけではありません。


骨の材料と力学

  • 有機成分(約30%):Ⅰ型コラーゲン主体 → 靱性

  • 無機成分(約60%):ハイドロキシアパタイト(Ca・P)→ 剛性

  • 水分(残り)
    この複合で軽くて強い構造を実現。


骨の血行と神経

  • 栄養動脈:栄養孔から髄内へ入り骨幹部を主に灌流

  • 骨端・骨幹端動脈:骨端・骨幹端を灌流

  • 骨膜動脈:外側皮質の外1/3を栄養(成人で重要)

  • 神経骨膜神経(痛覚に富む)、骨髄神経

※割合は骨・年齢で変動するため厳密な定率は設けません。


骨の成長・骨化

  • 軟骨内骨化長管骨など。成長軟骨板(骨幹端)で長さが伸びる。

  • 膜内骨化(膜性骨化)扁平骨(頭蓋骨の一部、鎖骨の大半など)。間葉組織内で直接骨形成。

  • 骨膜による骨添加:太さ(骨径)を増す添加性成長


骨のリモデリング(入れ替わり)

  • 破骨細胞が吸収 → 骨芽細胞が新生。

  • 骨格全体で**年間約5–10%**が更新(海綿骨は20–30%と高回転、皮質骨は低回転)。

  • 調節:副甲状腺ホルモン(PTH)ビタミンDエストロゲンなど。閉経で骨吸収亢進→骨量低下。

骨粗鬆症:骨密度(約**70%が強度に寄与)と骨質(約30%)**がともに重要。


骨の形態分類(代表)

種類 構造 主な骨化
長管骨 上腕骨・大腿骨・脛骨など 皮質外層+海綿内層 軟骨内
短骨 手根骨・足根骨 同上 軟骨内
種子骨 膝蓋骨など 同上 軟骨内
扁平骨 頭蓋骨・腸骨・肩甲骨 二枚皮質の間に海綿骨 膜内

赤色骨髄は胸骨・腸骨・椎体・肋骨・頭蓋骨・近位上腕骨/大腿骨など体幹寄りに残存。


骨と骨の連結(関節のタイプ)

連結 可動性
骨性連結(骨性癒合:synostosis) 不動 寛骨(腸・恥・坐の癒合)、成長板閉鎖後 など
線維性連結(synarthrosis) ほぼ不動~微動 縫合(頭蓋骨)、靭帯結合(脛腓遠位のsyndesmosis)、歯根—歯槽(gomphosis)
軟骨性連結 微動 一次軟骨結合(synchondrosis)=成長板など/二次結合(symphysis)=恥骨結合・椎間板
滑膜性連結(関節) 可動 肩・肘・股・膝などすべての可動関節

「軟骨は痛みを感じない」一方、滑膜炎・関節包・靱帯・軟骨下骨が痛みの主因になり得ます。


よくある質問(Q&A)

Q1. 変形が強ければ痛いはず?
A. 痛み=変形度ではありません。滑膜炎・骨髄浮腫・軟骨下骨・骨膜などの炎症が痛みを規定します。

Q2. 成人の骨は毎年30%入れ替わる?
A. 全身では5–10%/年が目安。海綿骨20–30%/年と高回転、皮質骨はもっと遅いです。

Q3. 赤色骨髄はどこに残る?
A. 胸骨・腸骨・椎体・肋骨・頭蓋骨、および近位上腕骨/大腿骨など体幹に近い骨。

Q4. 関節軟骨がすり減ると必ず痛い?
A. 軟骨自体は無神経で痛みは出しません。滑膜・軟骨下骨など周囲組織の病変が痛みの主因です。

Q5. 骨を強くするには?
A. 荷重運動(レジスタンス・歩行/階段)十分なCa/ビタミンD禁煙・節酒適正体重転倒予防が基本。


最終更新:2025-10-02