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むち打ち症(外傷性頚部症候群)のリハビリ治療


むち打ち症(whiplashinjury of the neck)の診断とリハビリ方法について解説していきます。目次は以下になります。

むち打ち症の概要

頸部が鞭を打つようなしなった動きをして損傷することから名付けられており、正式名称を「外傷性頸部症候群」や「頚椎捻挫」といいます。

発生要因として最も多いのが交通事故で、頸部に急激な過屈曲や過伸展が起こることで周囲組織が損傷して起こります。

周囲組織とは、①筋肉、②靱帯、③椎間板、④椎間関節(包)、⑤神経などで、どの方向に衝撃が加わったかで損傷する組織は変化します。

一般的に軽症のものなら1〜3ヶ月ほどで自然に完治しますが、中には難治性の障害も含まれているので鑑別診断が必要です。

障害部位を特定する検査

頚椎捻挫を起こした場合は、まず最初に単純X線写真にて頸椎を2方向より撮影し、骨折や脱臼がないことを確認します。

骨折が確認できないにも関わらず、激しい痛みを伴う場合にはCT検査を実施して見落としがないか詳しく診ていきます。

通常、MRI検査を実施する必要はありませんが、神経症状を訴える場合には鑑別目的で実施されることもあります。

むち打ち症の分類

むち打ち症はその症状から、以下の5つの型に分類することができます。

  1. 頚椎捻挫型
  2. 神経根症状型
  3. バレー・リュー症状型
  4. 脊髄症状型
  5. 脳脊髄液減少症

それぞれに特徴的な症状が認められ、治療法も異なってくるので個別に解説していきます。

1.頚椎捻挫型

むち打ち症の約8割を占めており、最も一般的なむち打ち症の症状を訴えることになります。

具体的には、首を動かした時に痛む、首や肩が動きにくい、首や背中が凝る、頭痛や目眩などを訴えます。

頸部の筋肉や靭帯、軟部組織を損傷することで起こるため、損傷組織を伸張することで痛みが増強するといった特徴があります。

筋損傷の場合は、首への衝撃(交通事故)が加わってから2〜3日後に筋肉痛のような形で起こることになります。

治療法としては、組織損傷の初期は炎症が起きるので、アイシングをすることで痛みをやわらげることが可能です。

炎症期が過ぎると筋肉痛に似た症状が出てくるので、治癒促進(血行促進)を目的とした温熱やマッサージなどを行っていきます。

頚椎カラーの使用に関しては、軽症の場合は逆に血行を低下させて自然治癒を遅らせてしまうため、重症の場合を除いてはお勧めしません。

2.神経根症状型

頸部が急激に伸展や側屈した際に、頸部の神経根が強く圧迫されることで損傷することにより起こります。

交通事故の場合は急激な屈曲が多いため、水泳の飛び込みやラグビーでタックルを受けた際などに発症しやすいです。

頚椎捻挫のように2〜3日後に症状が出るということはなく、損傷した瞬間から症状が現れることになります。

神経が障害されるために、神経根の支配領域に限局した疼痛やしびれなどの知覚障害や筋力低下といった末梢性麻痺が生じます。

損傷している神経が伸張または圧迫されることで症状の増悪が認められるため、痛みが強くなる方向を確認して運動を制限します。

神経根症状型には頚椎カラーが有効であり、症状が緩和するまでは安静を保つことが推奨されます。

ただし、頚椎捻挫型などと混合している場合もあるため、症状に合わせた施術を行うことが求められます。

3.バレー・リュー症状型

後頸部交感神経(自律神経)が損傷することで起こるのがバレー・リュー症状型で、別名「後頚部交感神経症候群」とも呼ばれます。

自律神経が障害を受けるため、めまいや耳鳴り、難聴、目のかすみ、眼精疲労、頭痛や吐き気、全身の怠惰感などが起こります。

神経根症状型と併発する場合が多く、その場合は上記の症状に加えて知覚障害や筋力低下を訴えることになります。

自律神経に刺激が加わることで症状が増悪するため、頚椎カラーなどを使用して、症状が緩和するまでは安静を保つことが推奨されます。

4.脊髄症状型

いわゆる脊髄損傷の状態であり、障害部位より下位の神経に障害(中枢性麻痺)が起こるようになります。

中枢性麻痺の場合は筋緊張が亢進するため、歩行時に足関節がツッパる(底屈する)などして歩行障害が現れます。

また、尿や便が出にくいといった膀胱直腸障害が起こり、早期の手術が必要となるケースもあります。

基本的には状態が安定するまで絶対安静が必要であり、医療機関への入院を必要とします。

5.脳脊髄液減少症

急激な外力によって一時的に髄液圧が上昇し、その圧が下方に伝わって硬膜が裂けることにより、髄液が漏れて減少することで起こります。

症状は非常に多彩であり、いわゆる不定愁訴にちかいといえます。特徴としては、天候や気圧の変化に敏感な反応を示します。

私が以前に担当した患者では、飛行機に乗った際に意識がとびそうになるほどの辛さがあったと話していました。

主な症状としては、頭痛や吐き気、全身倦怠感、血圧障害、記憶力の低下、不眠、うつ、頸部や手足の痛みなどがあります。

治療としては、自分の血液で漏出部分に蓋をする硬膜外血液パッチ(ブラッドパッチ)が施術されます。

リハビリテーション

むち打ち症のほとんどは頚椎捻挫型であるため、通常は1カ月程度で症状は改善し、リハビリが必要となるケースはあまり多くありません。

しかし実際は、医師から外来リハビリが処方されることもあるため、介入しなければならない場面は結構あります。

その際に治療家がとるべき対応としては、まずは徒手的に頸部を動かしていき、どの組織が損傷しているかを特定していきます。

頚椎捻挫型の場合は、患者に症状は経過とともに治まってくることを伝え、少しずつ痛みのない範囲で頸部は動かすように説明します。

炎症期に首を揉んだりするとかえって痛めてしまうことも多いため、最初は皮膚レベルのマイルドな刺激から開始します。

そこから徐々に軽いマッサージや徒手牽引を加えていき、原因組織の治癒を促進するようにアプローチしていきます。

保険の関係もあって治療が長引くケースは多いですが、評価との整合性があるかを常に確認しておき、適切な対応がとれるようにお願い致します。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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