アキレス腱炎のリハビリ治療

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

アキレス腱炎の概要

アキレス腱|下腿を外側から見た図

アキレス腱(Achilles tendon)は下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)の腱であり、長さは15㎝ほどで人体最大の腱になります。

非常に強力な腱ではありますが、走行する血管が乏しいため、一旦痛みが出現すると難治性に陥りやすいです。

アキレス腱障害は過剰なストレスが繰り返し加わることによって起こる過用症候群の一種であり、運動を習慣にしている方に好発します。

アキレス腱炎は男女問わず、幅広い年齢層に発生しますが、特に中年(35〜45歳)の男性に多いとされています。

スポーツ種目別では陸上競技に多く、プロアスリートの約8%、レクリエーションレベルランナーの約10%にアキレス腱障害を有していることが報告されています。

下腿三頭筋①:腓腹筋

腓腹筋の起始停止

腓腹筋は下腿表層に位置しているため、ふくらはぎに手を触れることで簡単に触診することができる筋肉です。

ヒラメ筋とは異なり、白筋線維が豊富な筋肉であるため、動物などから走って逃げるような緊急時に活躍します。

現代ではそのような危険はほとんどないので、主にスポーツや短距離走を実施する場合などに働くことになります。

下腿三頭筋②:ヒラメ筋

ヒラメ筋の起始停止

ヒラメ筋は腓腹筋の深部に位置しており、主に歩行時に使用される筋肉です。

日常的に活動することから人体で最も赤筋線維の割合が多い筋肉であり、非常に重要な役割を担っています。

アキレス腱周囲炎との違い

アキレス腱炎と周囲炎の違い

アキレス腱炎は腱自体の炎症であり、病理学的にはアキレス腱の部分断裂、腱内の肉芽組織、瘢痕化粘液変性などが認められます。

アキレス腱周囲炎は、アキレス腱を包む組成結合組織(パラテノン)の炎症であり、腱自体の変化は少ないとされています。

両者は同時に発症していることも多いため、厳密に区別することは困難です。

また、アキレス腱付着部に生じるアキレス腱滑液包炎という病気もありますが、それは両者とは別の病態に分類されます。

アキレス腱炎の臨床症状

アキレス腱炎と臨床症状

主な症状は、アキレス腱付着部から2〜6㎝近位部の痛みと腫脹です。

運動後や起床時の歩き始めに痛みが強く、症状が進行すれば安静にしていても痛みを伴うようになります。

軋轢音が発生する理由|アキレス腱

アキレス腱炎が進行すると、徐々に足関節の動きが悪くなっていき、動かす度にアキレス腱部に軋轢音が発生する場合があります。

不適切なトレーニング方法が原因となっているケースもあるので、靴の適合状態や扁平足の有無なども診る必要があります。

アキレス腱炎の検査方法

アキレス腱炎|MRI

引用元:広島県医師会

X線検査では明確な診断がつかないことも多いですが、石灰沈着している場合にはわかる場合もあります。

主な診断方法はMRIが有用で、腱が膨らんでいるのがよくわかり、変性の程度などの詳細な診断も可能となります。

また、超音波検査も簡便で有効な方法とされています。

リハビリテーション方法

1.疼痛期
薬物療法 鎮痛薬、湿布薬
患部安静 LICE処置、松葉杖の使用、足底板、テーピング
物理療法 電気、アイスパック
2.疼痛緩解期
物理療法 超音波
徒手療法 ストレッチ、マッサージ
筋力強化 低強度エクササイズ、バランストレーニング
3.競技復帰期
筋力強化 坂道走行、ジャンプ
特異動作 競技特性に応じたトレーニング

アキレス腱の負荷を軽減

アキレス腱の負荷を軽減するためには、下腿三頭筋の収縮や伸張を少なくすることが必要になります。

その方法として、安静指示や歩行補助具(松葉杖)の使用、ヒールサポート、テーピング、サポーターの装着などがあります。

また、扁平足などの足部変形がある場合には、アーチサポートなどの足底板を処方することによりアキレス腱への負荷が軽減できます。

高齢者のアキレス腱炎

高齢者に起こるアキレス腱の痛みのほとんどは腱炎が基礎にあり、瘢痕や線維化によって滑走性が低下しています。

そのため、足首を他動的に底背屈させると強い抵抗感を感じられます。

そのようなケースには、安静指導よりもアキレス腱部のストレッチやマッサージ、滑走性を促す運動を実施することで痛みの訴えが減少します。

難治性に対する手術療法

受傷後、3〜6ヶ月間の保存的治療が奏功しない場合、観血的治療として縦断的腱切除術による線維性癒着の剥離が行われます。

観血的治療では、80%以上の患者に満足が得られたとの報告があります。

しかし、手術の適応になるまで悪化するケースは稀であり、基本的には過用症候群なので早期発見と早期治療が大切です。

炎症は負荷を徹底的に管理することで確実に抑えることができますので、その辺りの説明と免荷方法の選択が重要になってきます。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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