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三角筋


三角筋に関する充実したデータ(ストレッチ、筋力トレーニング、マッサージ方法など)をここでは閲覧できます。目次は以下になります。

三角筋の概要

三角筋(deltoid)は上肢で最も体積が大きい筋肉であり、その作用の違いから、①鎖骨部(前部)、②肩峰部(中部)、③肩甲棘部(後部)の3つに分けられます。

ギリシャ文字のdelta(Δデルタ)と、eidos(~のような)という単語が組み合わされて名付けられ、筋全体を広げると三角形(Δの形)になります。

三角筋は肩関節を動かすうえで最も強力に作用しますが、その力を発揮するためには腱板筋(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)による肩甲上腕関節の固定力が必要不可欠です。

三角筋中部のみは筋線維が羽状となっており、前部と後部は筋線維が平行に伸びています。

三角筋

1.鎖骨部(前部)

前部・後部は筋線維が起始から停止に向かって平行に走行します。腕を高く上げ続ける作業で損傷しやすい部位です。

 1.前方から見た三角筋鎖骨部
三角筋前部|正面
 2.側方から見た三角筋鎖骨部
三角筋前部|側面
 3.後方から見た三角筋鎖骨部
三角筋前部|後面

2.肩峰部(中部)

中部は起始、停止より4,5本の腱がお互いに伸び、その間の筋線維が羽根状に走行する多羽状筋になります。三角筋の中で最も損傷しやすい部位です。

 1.前方から見た三角筋肩峰部
三角筋中部|正面
 2.側方から見た三角筋肩峰部
三角筋中部|側面
 3.後方から見た三角筋肩峰部
三角筋中部|後面

3.肩甲棘部(後部)

三角筋の中では最も損傷しにくい部位です。筋力トレーニング中などに過度な負担がかかることで損傷する場合があります。

 1.前方から見た三角筋肩甲棘部
三角筋後部|正面
 2.側方から見た三角筋肩甲棘部
三角筋後部|側面
 3.後方から見た三角筋肩甲棘部
三角筋後部|後面

三角筋のデータ

支配神経 腋窩神経
髄節 C5-6
起始 ①鎖骨部:鎖骨の外側1/3の前縁
②肩峰部:肩甲骨の肩峰
③肩甲骨棘部:肩甲骨の肩甲棘の下縁
停止 上腕骨の三角筋粗面
動作 ①鎖骨部:肩関節屈曲,水平外転,内旋
②肩峰部:肩関節外転
③肩甲骨棘部:肩関節伸展,水平外転,外旋
筋体積 792㎤
筋線維長 9.7㎝
速筋:遅筋(%) 42.9:57.1

三角筋の運動貢献度(順位)

貢献度 肩関節屈曲 肩関節伸展 肩関節外転
1位 三角筋(前部) 広背筋 三角筋(中部)
2位 大胸筋(上部) 大円筋 棘上筋
3位 上腕二頭筋 三角筋(後部) 前鋸筋
4位 前鋸筋 上腕三頭筋(長頭) 僧帽筋

ポジション別にみる三角筋作用の変化

三角筋の作用は肩関節のポジションによって多様に変化するため、それを考慮したうえで筋機能については評価していく必要があります。

以下にまとめた表を掲載しておきます。ちなみに、三角筋中部線維は肩関節90度屈曲位にて水平内外転の軸を通過するため、前方線維は水平内転に、後方線維は水平外転に作用します。

下垂位 90度屈曲位 90度外転位
前部線維 屈曲・内旋 屈曲・内旋 水平内転
中部線維 外転 水平内転・水平外転 外転
後部線維 伸展・外旋 水平外転 水平外転

肩関節外側部に痛みを訴える場合

三角筋中部(肩関節外側)に痛みを訴える患者は多いですが、実際にそれで三角筋をマッサージしてみても痛みがとれない場合がほとんどです。

その理由として、三角筋に問題があるのではなく、三角筋を支配している腋窩神経に問題がある場合が多いからです。肩関節周囲炎や腱板損傷は疼痛にて肩関節周囲筋に過度な緊張を起こします。

そうすると腋窩神経の通り道である外側腋窩隙(四角間隙)で神経が絞扼されてしまい、腋窩神経麻痺を起こすことになります。

腋窩神経は肩関節外側の知覚領域を支配していますので、その領域に知覚異常が起こり、結果的に三角筋中部あたりの痛みを訴えるようになります。

外側液過隙|四角間隙

また、肩関節拘縮(関節包の短縮)をきたした患者に屈曲運動を実施すると、三角筋部に痛みを訴えることがよくあります。

これは肩関節の後方関節包を腋窩神経が支配しており、屈曲時に上腕骨頭が短縮した後方関節包を刺激し、結果的に腋窩神経の支配領域に痛みを感じることに由来しています。

そのため、この場合も三角筋に圧痛などを認めることがなく、マッサージなどをしても痛みの改善を得ることはできません。

三角筋の触診方法

三角筋は簡単に自分で触ることができますので、是非とも写真を見ながら触って確認してみてください。

1.鎖骨部(前部)

前部の内縁は肩屈曲に伴い出現する鎖骨下窩(三角形のへこみ部分)の外縁ですので、視診ですぐに把握できます。写真では、人差し指で前部と中部の筋間中隔を触診しています。

自己触診:三角筋前部

2.肩峰部(中部)

中部は肩関節を外転させることで、前部と後部との筋間中隔を探るようにして触診します。写真では、軽度伸展位にて外転させ、人差し指で後部との筋間中隔を触診しています。

自己触診:三角筋中部

3.肩甲骨棘部(後部)

後部は肩関節を90度外転させた状態から水平伸展させることで、容易に触診することが可能です。写真では、肩関節を外転させて中指で中部と後部の筋間中隔を触診しています。

自己触診:三角筋後部

ストレッチ方法

1.鎖骨部(前部)

①端座位にて肩関節伸展・外旋、前腕回外位とし、両手をベッド後方に置きます。肘を徐々に屈曲していきながら、肩関節を伸展・内転させます。

三角筋鎖骨部,ストレッチ,ベッド,自主練習

②肩関節を軽度伸展・最大外旋位、肘関節屈曲位とし、もう片方の手で肘を把持しながら肩関節内転に誘導していきます。

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2.肩峰部(中部)

肩関節を軽度屈曲位、肘関節軽度屈曲位、前腕回内位とします。もう片方の手で肘を体幹に引き寄せ、肩関節を内転させていきます。

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3.肩甲骨棘部(後部)

肩関節と肘関節を屈曲位、前腕を回内位にし、もう片方の手で肘を側方に引き寄せながら、肩関節を水平内転させていきます。

三角筋肩甲棘部,ストレッチ,方法

筋力トレーニング

1.鎖骨部(前部)

立位にてダンベルを把持し、肩の高さになるまで上肢を屈曲させていきます。フロントレイズという方法で三角筋前部を選択的に強化します。

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2.肩峰部(中部)

立位にてダンベルを把持し、肩の高さになるまで上肢を外転させていきます。サイドレイズという方法で三角筋中部を選択的に強化します。

サイドレイズ,肩関節外転,三角筋,筋トレ,方法

3.肩甲骨棘部(後部線)

立位にてダンベルを把持し、上がるところまで上肢を伸展させていきます。バックレイズという方法で三角筋後部を選択的に強化します。

バックレイズ,三角筋,方法,筋トレ

ダンベルがない場合のトレーニング

ダンベルや重りがない場合は、健側の上肢で抵抗をかけることにより鍛えることができます。上腕の遠位に抵抗をかけることで、より強力に負荷を与えることができます。

三角筋,徒手抵抗運動

トリガーポイントと関連痛領域

三角筋のトリガーポイントは前部と後部に現れやすく、前部では肩前部から外側部へ、後部では肩後部から外側部へ、局所筋肉上を放射状に拡がります。

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三角筋はSBAL(スーパーフィシャル・バックアーム・ライン)の筋膜経線上に位置しています。

アナトミートレイン|SBAL|スーパーフィシャル・バックアーム・ライン

マッサージ方法

指関節や母指を用いて三角筋全体を深く圧迫していき、硬結部がないかを確認していきます。硬結部を見つけたら持続圧迫を加えてリリースしていきます。

硬結部が認められないにも関わらず肩関節外側に痛みを訴える場合は、腋窩神経に問題がある可能性が高いです。

そのため、四角間隙を構成している小円筋や大円筋、上腕三頭筋長頭、肩甲下筋の緊張を確認していき、必要に応じて緩めていきます。

三角筋中部|浅層筋

お勧めの一冊

筋肉の走行を見ながら触診やマッサージ方法を学ぶことができるベストセラー書です。付属のDVDで実際の流れを見て覚えることができるのでお勧めです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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