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仙腸関節障害のリハビリ治療


仙腸関節障害(仙腸関節炎)のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

仙腸関節の概要

仙骨と腸骨から構成される平面関節で、前方は前仙腸靱帯、後方は骨間仙腸靱帯と後仙腸靱帯により強固に連結しています。

しかし、関節面は横に並ぶ形であるため、剪断力を非常に受けやすく、関節包や靱帯が破綻しやすい構造となっています。

仙腸関節は腰痛や殿部痛の原因となりやすい部位のひとつで、慢性腰痛症の3.5-30%を占めるといわれています。

仙腸関節障害における圧痛は、仙腸関節裂隙より外側で認められる場合が多いことから、主に後仙腸靱帯由来の痛みとなります。

仙腸関節②

関節の分類では平面関節(多軸関節)に属していますが、関節面は非常に不規則な形状をしており、それらがはまり込んでいるために可動性はほとんどありません。

仙骨が腸骨に対して前屈する可動域は約1.3度、後屈する可動域は約1.7度と非常にわずかなものです。

そのため、半分は関節で半分は骨結合であるという意味で半関節と呼ばれます。しかし実際は関節内には滑液が確認されており、滑膜関節の一種になります。

仙骨

仙腸関節の働きとして、体幹重量と床反力が収束する際に、わずかな並進運動を生じ、負担を分散する作用を持っています。

仙腸関節の周囲には靱帯が密集し、とても強固に結束しており、全体の動きは1-2㎜程度になります。

仙腸関節靭帯

仙腸関節の痛みについて

仙腸関節の痛みの多くは、転落などの強い外力が加わり、周辺の靱帯が損傷することで生じます。

また、微力な外力であっても、周囲の筋群を非対称性に酷使し続けることにより負担が蓄積し、仙腸関節の炎症として痛みを誘発する場合があります。

仙腸関節の関節前方へL2-S2、関節後方へL4-S3感覚神経の後枝外側枝が分布しているため、炎症が発生すると周囲神経を刺激し、下肢にまで痛みやしびれが波及します。

仙腸関節炎|非対称な動き

ぎっくり腰になった際の椎間関節ロックと同様に、仙腸関節も捻挫や炎症が原因となって関節をロックしてしまい、うまく衝撃を吸収できずに痛みを誘発しているケースが多いです。

そのような場合には、仙腸関節へのマニピュレーションでロックを解除することにより、痛みを改善することが可能です。

仙腸関節炎の臨床像

症状として、片側の腰痛や殿部痛、下肢痛の訴えがあります。また、椅子に長く座れない、仰向けで長く寝れない、痛みがある方を下にした側臥位で寝れないなどがあります。

仙腸関節は歩行時の並進運動を担ってはいますが、痛みは歩行開始時にある場合が多く、徐々に楽になる傾向があるようです。

以下は、仙腸関節障害で痛みが出現した部位(100例)の図です。

仙腸関節障害で痛みが出現する部位

引用画像(1)

妊娠中の女性は異常可動性に注意

妊娠中の女性では通常よりも可動域が拡大した状態(異常可動性)をきたしている場合もあり、それが原因で関節部への負担が増加し、痛みを誘発している場合があります。

これは、骨盤を支持する靱帯がホルモンの作用で伸びやすくなり、出産に備えているからだと考えられています。

靱帯の損傷は骨折よりも長引いてしまい、結果的に慢性痛へと移行してしまう危険性があります。

仙腸関節靭帯②

仙腸関節の痛みかを確認するテスト

痛みの原因が仙腸関節にあると考えられる場合は、関節に負荷を与える検査を実施して障害の有無を診断していきます。

仙腸関節圧迫テスト

ベッド上で側臥位をとっていただき、両下肢の股関節および膝関節を45度屈曲位とします。この姿勢は仙腸関節のルーズパックポジション(LPP)になります。

施術者は腸骨棘中央部に両手を重ねて置き、下方に圧迫するように力を加えていきます。この動作で痛みが再現される場合は、仙腸関節に問題があると考えられます。

変法として、腹臥位にて仙骨部を背部から強く圧迫するニュートンテストなどもあります。

仙腸関節の圧迫テスト

仙腸関節の可動性テスト

仙腸関節の可動性を確認する方法として、先ほどの側臥位の状態から施術者は右前腕を回外として、腸骨稜と大転子の中間付近に置きます。

そして、仙腸関節を離開するようにして腕を下方に引き下げていきます。その際に、反対の手で仙腸関節の開大を確認しておきます。

仙腸関節がロックされている場合にはほとんど動きが感じられませんので、関節の動きを徐々に引き出していくように誘導を加えます。

反対に過剰な運動性が確認される場合は、骨盤の安定化トレーニングを実施していく必要があります。

ゲンスレンテスト

背臥位にて反対側の股関節を最大屈曲位で保持したうえで、検査側の股関節を伸展させていきます。

仙腸関節部や鼠径部に痛みが出現したら陽性となります。検査者が骨盤を固定して行った際に疼痛の軽減が認められたら、より仙腸関節障害が濃厚となります。

パトリックテスト

背臥位にて検査側の足部を非検査側の膝上に乗せて、施術者は検査側の膝部を下方に押していき、股関節を強制開排していきます。

仙腸関節部や鼠径部に痛みが出現したら陽性となります。検査者が骨盤を固定して行った際に疼痛の軽減が認められたら、より仙腸関節障害が濃厚となります。

仙腸関節スコア

日本仙腸関節研究会が作成した仙腸関節スコアによると、以下の採点項目で5点以上の場合は仙腸関節症外の可能性が高いとしています。

項目 score
1.One finger test 3
2.鼡径部痛 2
3.椅子座位時疼痛 1
4.Newtonテスト変法 1
5.後上腸骨棘の圧痛 1
6.仙結節靭帯の圧痛 1
合計点 9

仙腸関節の異常可動性を修正する

方法として、腹斜筋群および対側の股関節内転筋群を強化することにより、骨盤を中心に引き付けるような張力を発生させ、仙腸関節の可動性を最小限に止めるように調整します。

過少な可動性も過剰な可動性も結果的には関節への負担を増加させることになり、仙腸関節に痛みを誘発する原因となります。

骨盤を引き付ける筋肉

骨盤に付着する筋肉

骨盤には50ちかくの筋肉が付着しており、仙腸関節に炎症が起こることにより、骨盤周囲の筋肉が過緊張の状態となります。

仙腸関節を緩めていくためには、それらの筋肉を同時に緩めていくことが必要があるため、状態については確認しておくことが大切です。

付着部位 筋肉
背骨 腸腰筋、腰腸肋筋、胸最長筋、多裂筋、横突勅筋、腰方形筋、広背筋(上腕骨まで付着)
大腿骨 殿筋群、縫工筋、薄筋、大腿筋膜張筋、股関節外旋六筋、大腿直筋、ハムストリング、股関節内転筋群
肋骨 腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋
骨盤底筋群 肛門挙筋、尾骨筋、深会陰横筋、浅会陰横筋、尿道括約筋、外肛門括約筋、球海綿体筋、坐骨海綿体筋
骨盤に付着する筋肉

腰多裂筋と仙腸関節障害の関係性

腰多裂筋の浅層部は、後仙腸靱帯および上後腸骨棘より起始して、第1-3腰椎の棘突起に停止しています。

仙腸関節障害の痛みが後仙腸靱帯に由来する場合が多いことは前述しましたが、腰多裂筋の過緊張などは靱帯障害を起こす要因となります。

そのため、後仙腸靱帯に強い圧痛が認められる症例では、多裂筋の重点的なリラクセーションが治療においては有用となります。

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私が執筆している腰痛症の治療に関する書籍も出版されていますので、腰痛について深く理解したい場合は、是非ともご購入を検討してみてください。

引用画像/参考資料

  1. 日本仙腸関節研究会
  2. 非特異的腰痛の運動療法: 症状にあわせた実践的アプローチ

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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