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光線療法の治療効果と方法|適応と禁忌について解説

光線療法の効果について解説していきます。

光線療法の歴史

赤外線療法

赤外線は、1800年にHerschelによって発見され、ヒトへの応用は1894年にKelloggによって始められました。

それ以降、赤外線治療器の開発が盛んに行われるようになりましたが、1980年以降は極超短波治療器が主流となり、現在はあまり活用されなくなりました。

しかしながら、その安全性から家庭用治療器として普及するようになり、市販で安価に購入することも可能となりました。

紫外線療法

紫外線は、1801年にRitterによって発見され、1910年に紫外線を電気的に発生させる装置が販売され、臨床応用されるようになりました。

特に、1919年にHuldschniskyが太陽光線とくる病の関連性を報告して以来、紫外線発生装置へのニーズが高まったとされています。

こちらも家庭用治療器として普及しており、その殺菌効果から水虫の治療目的などで使用されています。

レーザー光線療法

現在、臨床で使用されているレーザーの原型となっている装置は、1951年にTownesによって開発されました。

それ以降、さまざまな分野でレーザーの利用・応用が進み、物理療法としても1973年にMesterが潰瘍の治療に、Progが疼痛の治療に応用しています。

こちらは使用に関して専門的な知識を要することから、家庭用治療器としては普及していません。

光線の波長スペクトルについて

光線は一種の電磁波で、波長スペクトルでは下記の図のように分類されており、マイクロ波とX線の中間に位置しています。

可視光線/電磁波のスペクトル

引用画像(1)

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紫外線療法

紫外線療法は古くから行われてきた物理療法のひとつであり、それは日光浴という形で我々も幾度となく経験しているものです。

人体に対する光の作用は感覚的には良いものですが、科学的には有害なものが多いのが実状です。

人体最大の臓器である皮膚が紫外線によって癌リスクが高くなることは周知の事実です。その作用は波長が短くなる(x線に近付く)ほど顕著に現れます。

紫外線の特徴

日光は可視光線(51.8%)、赤外線(42.1%)、紫外線(6.1%)で構成されています。

紫外線は可視の限界である紫色の外側に位置するということで、そう呼ばれるようになりました。

紫外線は皮膚の透過性が低く、0.1-1㎜程度の深達性しかなく、シャツ1枚でも紫外線の90%以上、ストッキングでも50%以上が遮断できます。

日焼け止めに使うサンスクリーンは、薄い膜を皮膚上に張りめぐらせることで深達性の乏しい紫外線の通過を予防しています。

紫外線の波長による分類

名称 波長 有害性
長波長紫外線(UVA) 320-400nm
中波長紫外線(UVB) 290-320nm
短波長紫外線(UVC) 200-290nm

※UVCは波長が短く、人体にとって最も有害な紫外線になりますが、そのほとんどはオゾン層により吸収されるため地表には届きません。

紫外線の生体への作用

紅斑反応短波長紫外線

紫外線が生体に吸収されると化学反応により皮膚の細胞刺激と破壊を起こします。その結果ヒスチジンがヒスタミン様物質に変わり、ヒスタミンと同じような反応を引き起こします。

具体的には、①毛細血管拡張、②毛細血管の透過性の亢進、③軸索反射による小動脈拡張が起こり、これを三重反応と呼びます。

色素沈着

波長0.29-0.33μの紫外線は表皮深部に吸収され、メラニンの前駆物質であるアミノ酸チロジンをメラニンに変換します。従来は、色素沈着は皮膚癌に対する抵抗になると考えられてきました。

しかし現在では、紫外線は真皮より上層部の変性をきたし、光線過敏性皮膚炎、悪性腫瘍などの発生を誘発することがわかっています。

これは日中、長い間太陽にさらされる屋外労働者に皮膚癌が多発していることでも証明されています。

ビタミンDの生成

皮膚組織にはプロビタミンDの7-デヒドロコレステロールが含まれており、これは紫外線UVB照射によりビタミンD3に変化します。

ビタミンDはCaイオンおよびリン酸イオンの正常代謝の維持に関係し、腸管からのCaイオン、P酸イオンの吸収を助長して血清中のCa、Pの量を適正比に保ち、骨組織の成長を促します。

殺菌作用

0.265μ付近の短波長紫外線は殺菌作用が認められており、特に皮膚表面のウイルス感染は紫外線そのものがウイルスのRNA(リボ核酸)、あるいはDNA(デオキシリボ核酸)を破壊することがわかっています。

また紅斑作用により血管拡張や血管透過性が亢進し、白血球、抗体の増加をもたらします。紫外線はその他、空気殺菌も行い、食品衛生管理や、手術室の殺菌灯などにも使用されています。

紫外線療法の適当と禁忌

適応は、皮膚疾患(尋常性座瘡、乾癬、褥瘡、火傷、帯状疱疹など)、骨関節疾患、結核性疾患が主になります。

しかし現在では、骨関節疾患や結核性疾患に対して紫外線療法が適用されることはほとんどありません。

禁忌は、出血傾向の強い急性期の皮膚疾患、光線過敏症、光感性薬剤を服用している場合などがあります。

赤外線療法

赤外線は可視の限界である赤色の外側ということで、そう呼ばれるようになり、電磁波スペクトルでは可視光線とマイクロ波の間にある不可視光線になります。

赤外線は日光エネルギーの42%を占め、輻射波が物体を透過する際に熱を発生させる物理的な作用があることから別名、熱線とも呼ばれています。

赤外線の波長による分類

名称 波長 特徴
近赤外線(NIR) 0.75-2.5μm 赤外線通信、リモコンなどで使用
中赤外線(MWIR) 2.5-4μm 近赤外線の一部としても分類される
遠赤外線(FIR) 4-1,000μm 物体に吸収されやすく、熱線とも呼ばれる

赤外線の生体への作用

温熱効果

赤外線の作用は温熱が主ですが、波長によりその温感、透過性が異なります。波長30μまでのものは皮膚に暖和な温感を与え、2-3㎜の透過性があります。

波長30μ以上は皮膚に強い灼熱感を与え、透過性は0.1㎜程度です。

紅斑反応

紫外線とは異なり潜伏期をもたず、照射後直ちに紅斑を生じます。これは温熱により皮膚の血管拡張が起こるからであり、普通照射終了後1時間ほどで消失します。

色素沈着

赤外線を長時間繰り返して照射すると、大理石斑様の色素沈着を生じます。

鎮痛作用

温熱作用により血管の拡張と充血を起こさせるため、局所の代謝を改善させる効果があります。臨床では、温熱作用による鎮痛効果を目的に実施される場合が多いです。

赤外線療法の適応と禁忌

適応は、広範囲の浅部組織に対してであり、皮膚温の上昇に伴う血流の増大、疼痛の緩和などを期待して実施されます。

禁忌は、一般的な温熱療法の禁忌(出血傾向や悪性腫瘍など)、光線過敏症、光感性薬剤を服用している場合などがあります。

レーザー光線療法

レーザーを使用している最も身近なものとして、CDプレーヤーやビデオディスクなどがあり、我々の生活にも広く普及しています。

医療においては外科用CO2レーザーメスで使用されています。物理療法で使用されるレーザー発生装置には、He-Neレーザーと半導体レーザーがあります。

He-Neレーザー

He(ヘリウム)とNe(ネオン)の混合ガスを硬質ガラス性のレーザー管に封入し、放電にて細管にプラズマが発生し、これがレーザー媒質となります。

実際のレーザー発振を行っているガスはNeですが、Neだけでは発振できるほどの利得が得られません。

そこで励起されやすいHeガスを混入することにより、たくさんの励起原子が生じ、この励起されたHeは、Ne原子と衝突し、これをレーザー・レベルにポンピングし、レーザー作用が可能となります。

半導体レーザー

半導体とは抵抗率によって物質を分離したとき、抵抗率の小さいものを導体、大きい物を絶縁体といいますが、その中間的抵抗率をもった物質です。

その半導体を材料に光や電子線を照射したり、あるいは半導体でp-n結合ダイオードをつくって順方向に流すことにより、レーザー発振を起こします。

レーザー光線の生体への作用

鎮痛・消炎作用

低エネルギーレーザーは非熱性でありながら光が生体の中で散乱することにより局所の温度上昇を起こし、血流増加や自律神経を介して末梢循環の改善が行われ、炎症反応に起因する発痛物質の代謝改善を行います。

創傷治癒促進作用

レーザー光吸収過程において光の生体分子の励起現象を介して細胞膜に作用し、毛細血管の新生、血流の改善、アミノ酸の結合、コラーゲンの合成、RNA合成、細胞分裂の亢進などにより創傷の自然治癒能力を促進します。

レーザー光線の適応と禁忌

適応は、非常に多数の障害が該当するのですが、下表のレーザー光線の照射部位と選択基準を参考にしながら決定していきます。

また、総称治癒の促進作用があるため、褥瘡や皮膚潰瘍、熱傷、術創部などに対しても使用されます。

禁忌は、眼や甲状腺部、性腺部、妊産婦、新生児、乳児、悪性腫瘍部、ペースメーカー、出血素因の高い人などが挙げられます。

ポイント 備考
Symptomatic 患者が痛みを訴える部位への直接照射(最もよく用いられる)
Trigger 筋線維に存在する硬結部。それが引き金となって関連痛を起こす発痛点
Melzack ゲートコントロール理論に基づく皮膚分節に沿った点。痛みと同じ皮膚分節に存在する抑制部位
Connective Tissue 筋膜、骨膜、筋付着部、腱ならびに腱移行部
Meridian いわゆる東洋医学的経路に沿った経穴(ツボ)
Motor 筋肉の運動点。神経の入り口で非常に多くの終末機能が密集している領域

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引用画像/参考資料

  1. スガツネ工業
  2. 株式会社日本メディックス

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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