変形性膝関節症が起こる機序について解説

どのようにして変形性膝関節症が起こるのかについて、レントゲン写真を用いてわかりやすく解説していきます。

膝関節が変形する前には膝蓋大腿関節症をきたしていることが多く、膝蓋骨の動きが悪くなっているケースが非常に多いです。

具体的には、膝蓋骨が外側に偏位している場合が多く、変形性膝関節症と同様に女性に発生しやすい傾向にあります。

上のレントゲン写真(膝蓋骨スカイライン)を見ていただくとわかりやすいですが、左側は膝のお皿が外側にズレています。

この状態で膝を動かし続けるとどうなるかを想像してみると理解しやすいですが、膝裏の外側が衝突しやすくなるはずです。

そうなると徐々に膝裏の軟骨がすり減っていき、滑膜を刺激して水が溜まるなどの障害をきたしていくことになります。

上のレントゲン写真(膝関節側方)を見ていただくとわかりやすいですが、左側は膝蓋骨と大腿骨の隙間が消失しています。

膝裏の軟骨が擦り減り、骨硬化して膝蓋骨そのものが分厚くなっており、パテラセッティングを行うとガリガリとした軋轢音が聞こえます。

重度の場合は周囲の組織が硬くなってしまい、ほとんど膝蓋骨を動かせない状態にまで陥っている症例も多くいます。

上のレントゲン写真(膝関節正面)は膝蓋大腿関節症の患者ですが、正面像ではほとんど変形を確認することはできません。

それでは、ここからどのようにして膝蓋大腿関節症が変形性膝関節症を引き起こすのかですが、そこには「内側広筋の機能不全」があります。

膝蓋骨が外側に偏位しやすいことは前述しましたが、そこには外側広筋の優位や外側膝蓋支帯の硬さなどが影響しています。

そうすると内側広筋が本来の筋出力を発揮することができず、さらに外側に偏った状態になりやすいです。

また、膝関節の関節包内(膝蓋上包)に水が溜まると内側広筋が機能しなくなることがわかっており、炎症の有無も大きく関与しています。

内側広筋の機能不全による最大の問題点が「ラテラルスラスト」であり、歩行時に膝関節(大腿脛骨関節)が外側に動揺する原因となります。

膝が外側へ動揺するということは、大腿脛骨関節が内反するということであり、大腿骨と脛骨の内側がすり減ることにつながります。

つまりは膝関節の内反変形(O脚)を起こすということであり、変形性膝関節症を発生させる原因になるわけです。

1度変形してしまった関節は元には戻らないため、膝蓋大腿関節症の時点で適切なリハビリや運動を行うことが必要となるわけです。

具体的にどのようなリハビリが必要かというと、膝蓋骨の外側偏位に対しては外側膝蓋支帯のストレッチを行います。

正しい位置に調節することができたら、膝蓋大腿関節の隙間が狭くて押し出されていた膝蓋下脂肪体を膝蓋骨の裏に流し込むように誘導します。

その後に膝関節の屈伸やパテラセッティングを実施してみて、膝蓋下脂肪体の摩擦による痛みや軋轢音をできる限りに取り除きます。

ラテラルスラストは内側広筋の遊脚期における筋活動開始時間が重要であり、つまりはスムーズに収縮できることが大切です。

そのためには、前述した治療を実施したあとに内側広筋の促通を目的としたリズミカルでスピード感のあるパテラセッティングを行います。

ここまでが最も重要な変形性膝関節症を予防するアプローチであり、膝蓋大腿関節症の時点で介入すべきリハビリとなります。


vc

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中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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